人生をサバイブする
武井壮さん(百獣の王)×藤田晋さん(サイバーエージェント代表取締役社長)
2016
08.21
「百獣の王」というキャッチコピーでお馴染みの武井壮さんとサイバーエージェントの代表取締役社長を務める藤田晋さん。ともに1973年生まれ、現在43歳のおふたりです。今回は、武井さんからの熱烈なラブコールによって初の対面が実現。今までどんな動物にも平然と立ち向かってきた武井さんですが、果たして、藤田さんにはどう挑むのでしょうか。
藤田晋さんの著書「渋谷ではたらく社長の告白」に出会い、刺激を受け、それまで適当にしていたトレーニングを、タイムマネージメントをするようになったり、時間軸をたてて活動するようになった武井さん。そのことで人生が変わりだしたこともあり、藤田さんのことを、”恩人”と思っているほど。本の中で特に武井さんの心に残ったのは、藤田さんの社会人一年目の奮闘ぶりでした。
今では、3,800人もの社員を抱える大企業、サイバーエージェントですが一時は、身売りを決意したこともあるほど絶望の淵に立たされたこともありました。そんな浮き沈みの激しい世界の中で、どうやって、成長してきたのか?藤田さんのぶれない経営哲学を伺ってみました。
社会人1年目のビジョン
藤田晋さんの著書「渋谷ではたらく社長の告白」に出会い、刺激を受け、それまで適当にしていたトレーニングを、タイムマネージメントをするようになったり、時間軸をたてて活動するようになった武井さん。そのことで人生が変わりだしたこともあり、藤田さんのことを、”恩人”と思っているほど。本の中で特に武井さんの心に残ったのは、藤田さんの社会人一年目の奮闘ぶりでした。
- 武井
- 最初、藤田さんは、人材派遣会社に入り、その仕事っぷりが認められるのですが、その時期は、早い時間に出社してやるべき仕事を全部やってしまいますよね。どんな思いだったんですか?
- 藤田
- あれは社会人1年目で、1年間1日も休んでいないんですよ。朝、始発で出社して夜も終電ギリギリまで働いていました。あの時は、自分の人生において勝負どころだと思っていた。ここをがんばれば、見返りが大きいと思っていたので。
- 武井
- そのがんばりの狙い先というのは?
- 藤田
- いつか起業して、すばらしい会社を作ろうという思いはあったのですが、そのことを考えていたというよりは、目の前の仕事に熱中し、はまっていたんです。
- 武井
- その時のビジョンはどのくらいのものだったんですか?今あるサイバーエージェントの形は想像していました?
- 藤田
- 24歳の時にイメージはできていないですね。でも、とりあえず、すごい会社を作ることは決めていました。フジテレビの横にもっとでかい「フジタテレビ」を作ると言っていたり、目標は大きくおこうと思っていました。24歳で会社を作って、26歳で上場して、そこまでは、順風だったんですけど、その後、ネットバブルは崩壊し、株価も下がり、叩かれた。サイバーエージェントは上場して4期連続赤字だったので、5期目に黒字化して、そして、「渋谷ではたらく社長の告白」を書いたんです。会社の社長が本を書くと、その後伸びないというジンクスがあるので、それはいやだなと思っていましたが、あの時期から会社は大きくなっていったんです。
ぶれない経営哲学
今では、3,800人もの社員を抱える大企業、サイバーエージェントですが一時は、身売りを決意したこともあるほど絶望の淵に立たされたこともありました。そんな浮き沈みの激しい世界の中で、どうやって、成長してきたのか?藤田さんのぶれない経営哲学を伺ってみました。
- 武井
- 経営者としての勝ち方はあるのですか?僕も事務所に入らず、個人でタレントをやっているのですが、自分で作ったほうが勝てるんじゃないかなと思ってスタートしました。たくさん同じ様なベンチャーがありましたが、どういう会社が勝っていくんですか?
- 藤田
- 確かにみんな、いなくなったんですけど、勝手に消えていくんですよね。自滅していく。いなくなった会社の大半が、いい時に調子に乗ったり、悪い時に無理したりしていました。
- 武井
- 自滅しない、負けないというのが大事?
- 藤田
- いい時に調子に乗らない。調子が悪い時に焦らない。
- 武井
- そのへんの舵取りの感覚みたいのがあるんですね。それは、スポーツとも似ています。記録が伸びている時の自分の伸びを自分のテクニックだと思うことが多く、フォームを改善していい形にするんだけど、その形の中でうごめいている力みたいなものが自分の今まで鍛えてきた筋力とちょっとずれるんですよ。高校生の時に記録が伸びて、一流の大学に推薦で入り、いいコーチがついてフォームの指導をされて、きれいに変えたりすると全然記録が伸びなくなることがある。いいものを手にしているはずなのにいい記録ができないことがあるのと似ているのかな。
- 藤田
- 対局観的にその選手を見ると、何が問題か分かるから、一回成績を落としてでもやり直そうという判断ができると思うんですけど、若いとそれはなかなかできない。一回出した記録を落とすなんて精神的に耐えられない。だから長く勝ち続けようと思ったら対局的なものの見方をしないといけないんです。
- 武井
- さっき雑談で話していたんですけど、会社の経営が傾くと、筋トレを始める人がいるという、あの感覚と対局観は似ているのかな?
- 藤田
- 似ていますね。会社が調子悪い時にみんな不安だから足掻こうとするけど、やればやるほど状況が悪くなる。長い目でみたら、時間をやりすごすことが正解の時期があるんです。その時期は飲んだくれていも辛いので、そうすると筋トレをやり始める経営者が多いんですよ。
- 武井
- どういう心境なんでしょうね。
- 藤田
- いいことしている感じもあるし、疲れて寝られるし、余計なこと考えなくて済むから。
- 武井
- ちゃんと身体に蓄積されているし、元気にもなるし。
- 藤田
- それで1〜2年やっているうちに仕込んでいたものが花開いて、立て直すっていう人けっこういます。
- 武井
- そうなんですね。