オトコの幸せ、オンナの幸せ
有村 昆さん(映画コメンテーター)×湯山 玲子さん(著述家)
2016
05.08
映画コメンテーターの有村 昆さんと著述家の湯山 玲子さん。
おふたりが考える男女の幸せの形、そして、結婚とは?
おふたりが考える男女の幸せの形、そして、結婚とは?
オトコの幸せ、オンナの幸せ
- 有村
- 今、男女いろいろな幸せがあると思うんですけど、変わってきていますよ。
- 湯山
- 以前の「これが男の幸せ、女の幸せ」という定義は信じられなくなってきているよね。
- 有村
- 映画的な立場から言わせてもらうと、ディズニーが女性の幸せを体現しているんですよ。もともとは「シンデレラ」など、女性は待っていると白馬に乗った王子様がやってくるのが美徳で、家庭に入って幸せに暮らしました。という受け身だったんですね。ところが、ディズニーは、会社がだんだん落ち込んでくるんですよ。それで、90年代からの転換期、第二世代が生まれ、例えば、「美女と野獣」「リトルマーメイド」「ポカホンタス」などは女性は待っていてはダメ。むしろ、身分の差を乗り越えて女性が男性を見つけていく。アクティブなのが幸せと変わってきました。これは女性の社会進出にかかってきていますよね。それで、ディズニーが大ブレイクするのですがまた、2000年代に入ると落ち込むんですよ。そして、さらに、今、は第三世代が生まれて、これが、大ヒットした「アナと雪の女王」です。
- 湯山
- エルサは、すごかったですよね。
- 有村
- 人と違っていいじゃないというのをアピールできる時代になった。人と比べない幸せ。最終的に、「アナと雪の女王」はセクシャルマイノリティをも定義できるんですよ。マイノリティでもいいじゃないか。これが、これからの幸せの価値観だと思うんですよ。
- 湯山
- わかる!実は、結局、女を助けて導いてくれるのは、男だという発想を女の人は持っているけど、今回はオンナ同士。助け合うのは、シスターフッドや女ともだち。でも、逆に男の人の生き方と幸せはまだはっきり明示されていないよね。
まだまだ一般的には男性は競争から逃れられない。イクメンが登場して、仕事だけではないよ、家庭も大事だという風潮がやっとじわじわきているんだけど、まだまだ一般的には、男の人は出世、競争の勝ち組。結局、そこから逃げられない。競争にどう立ち向かうということは、幸せと関係しますよね。なぜなら、勝者は一握りしかいないから。全員が敗者になったら、それは全員が幸せじゃないということだもんね。
- 有村
- そう考えると男の人の生き方ってほんと大変ですよね。
人生にとっての幸せとは?
- 湯山
- 有村さんは、仕事と家庭にバランスは取れていますか?
- 有村
- 我々の場合は特殊のケースなんですけど、夫婦一緒の現場も多く、仕事も家庭もごっちゃになっているんですよ。へんな話、ロケバスの中で待機している時にちょっとイチャイチャしたくなる時もあるんですよ(笑)。
- 湯山
- あらま(笑)。すごいですね〜。
- 有村
- 家のネタを本番で放り込んできて、それ言うなよ!ってなったりすることもあるんです。でも、それが結果おもしろかったりするんで、もうプライベートと仕事の区別つかないリアリティショーですよ。
- 湯山
- イチャイチャしたいというのは本当にすごい!普通はそれをやってしまうと戦友になってしまって、エロスが関わらなくなってきてしまうんですよ。もう男の鏡だね。
- 有村
- 湯山さんは結婚生活でどんなことに気をつけているのですか?
- 湯山
- 女の人は男の人に守ってもらったり、人生の難しい決定を預けたりしながら、幸せを手にいれようとする。そういう「楽で得が好き」が自分に出てきた瞬間叩き潰すことかな。やっぱり、男性も女性も経済的なことではなくて、自立する。それは専業主婦の方だってできるから。なるべく人生の中で「楽で得」を我慢すると、じっくりとした幸せが来ると思うんですよ。「楽で得」は一瞬、何もしなくて幸せと思うけど、それは目くらまされていると思ったほうがいいな。
- 有村
- 「楽で得」こそ、籠の鳥になっている気がしますね。
- 湯山
- そうだよね。
- 有村
- なんでもしてもらえるけど、自立して好きなことをやるほうが本当の自由はありますよね。
- 湯山
- それをやったほうが、本格的な幸せだよね。幸せは充実とイコールにしたほうがいい。そのためにも「楽で得」のモードに捕らわれないほうがいいと思う。
- 有村
- 汗をかくのも大切ですよね。考えたり悩んだりするのも辛いとは思わないんですが、それによって培われていくから確固たるものになる。まかせていけはダメ。
- 湯山
- あと、幸せのひとつに、人からの尊敬があるんですよ。仕事の成果ではなくて、あの人は親切だとかそういった人からの感謝の気持ちや尊敬は受け取った時に幸せだよ。だけど、みんなサービスしないんだよ。「楽で得」に幸せを押し込めてしまう。わざわざいって説教したり、悪者になってみたりしない。でもそれが、相手にとって、結果ためになったら、ああ分かってくれてよかったと思うね。それが最大の幸せですね。最終形としては、自分のお葬式で何人が泣くかだよね(笑)。