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暮らしに役立つ情報や気になるトピックを深掘りしていく番組「青木源太・足立梨花 Sunday Collection」。
番組パーソナリティの青木源太と足立梨花が、毎回、専門家をゲストに招きトークを繰り広げ、
印象に残った“推し”をコレクションしていきます。

青木源太・足立梨花 Sunday Collection

暮らしに役立つ情報や気になるトピックを深掘りしていく番組「青木源太・足立梨花 Sunday Collection」。番組パーソナリティの青木源太と足立梨花が、毎回、専門家をゲストに招きトークを繰り広げ、印象に残った“推し”をコレクションしていきます。

2024.02.11

預けて安心!法務局の自筆証書遺言書(いごんしょ)保管制度



遺言書を書いても、相続人や大切な人に見付けてもらえなかったり、記載不備で無効になる可能性も。そうなる前に、まずは、制度を知って利用しませんか?
今回は、「預けて安心! 法務局の自筆証書遺言書(いごんしょ)保管制度」というテーマで深掘りしました。

(足立)
青木さん、「いごんしょ」とは何ですか?

(青木)
漢字で「ゆいごんしょ」と書いて、法律では「いごんしょ」と呼ばれています。ただ、ラジオでは「いごんしょ」と聞いても、すぐにピンとくるかたが少ないと思いますので、番組では、この制度の名称を言うときは「いごんしょ」、そのほかは「ゆいごんしょ」など、聞き馴染みのある「ゆいごん」を使うことにします。

(足立)
遺言書と聞くと、私はドラマの世界で見るような気がします。

(青木)
そういうかたが多いと思います。でも遺言は、遺言者が最期に大切な思いを家族や周りの人々に伝えるものですから、その制度について知っておくと、いつかきっと役立つと思います。そもそも、遺言書に種類があることはご存じですか?遺言書は主に「自筆証書遺言」と「公正証書遺言」の2種類があるんです。「自筆証書遺言」は遺言者が一人で作成することができる遺言書。「公正証書遺言」は法務大臣が任免した公証人が関与して作成し、公証役場で保管する遺言書です。

(足立)
何だかすごそうな遺言書ですね。

(青木)
今日は、このうちの一つである「自筆証書遺言」に関する制度、「自筆証書遺言書(いごんしょ)保管制度」がリニューアルされ利用しやすくなったので、スペシャリストと一緒に深掘りしてまいります。法務省民事局商事課長の土手敏行さんです。

(足立)
土手さん、まず「自筆証書遺言書(いごんしょ)保管制度」とは、どのようなものなのか教えていただけますか?

(土手)
はい。この制度は、自筆で作成された遺言書を、法務局で保管するものです。自筆の遺言書は、自宅で保管されることが多いのですが、紛失や相続人に発見されないなどの問題が指摘されていました。

(足立)
確かに、家に置いておくと、どこに行ったか分からなくなることがありそうですね。

(土手)
そうした不安を解消するために設けられたのが「自筆証書遺言書(いごんしょ)保管制度」なんです。

(青木)
では、この制度の特徴を三つご紹介してまいりましょう。その三つとは「安心」「簡単で安価」そして「親切」です。まずは、「安心」ですね。土手さん。

(土手)
はい。この制度では、遺言書の原本と画像データを、法務局が責任を持って保管し、遺言書の紛失を防ぎます。原本は遺言者の死亡後も50年間、画像データは150年間確実に保管します。

(足立)
50年間と、150年間、大分長い間保管してくれるんですね。

(土手)
また「自筆証書遺言」は、民法の定める方式にのっとって書かれる必要があります。例えば、財産目録以外の全文と日付、氏名は遺言者の自筆でなければなりません。押印も必要です。こうした不備は少なくないのですが、この制度では、法務局の職員がそれらの形式面を確認し、不備を防ぎます。

(足立)
不備があるとどうなるんですか?

(土手)
遺言書が無効になる可能性があります。そのため、遺言者にとって、法務局職員による形式面の確認は安心だと思います。

(青木)
では、二つ目の特徴、「簡単で安価」についてご説明をお願いします。

(土手)
はい。法務局に保管されている遺言書は、家庭裁判所の検認が不要です。

(足立)
家庭裁判所の検認って何ですか?

(土手)
封印されている遺言を開封する場合は、家庭裁判所で、相続人立合いのもと裁判官が遺言書を開封し、その形状や日付、訂正の状態、署名など、検認の日の遺言書の内容を明確にします。これは、遺言書が開封された後に、偽造や変造などが行われないようにするための手続きです。

(足立)
なるほど。封印された遺言書は勝手に開封できない、というか、開封してはいけないんですね。

(青木)
そうなんです。事前に家庭裁判所に検認の申立てをして、あらかじめ検認する日が決められ、検認手続きが行われますから、いくつか段取りを踏まなければならないわけです。でも、法務局に保管されている遺言書は、偽造や変造などのおそれがないため、家庭裁判所における検認が不要なんです。ちなみに、保管されている遺言書の内容は、遺言者の死亡後、相続人などが法務局から「遺言書情報証明書」を取得する、などの方法で知ることができるんです。

(足立)
原本そのものや画像データを国が保管しているわけですから、そもそも改ざんできないってわけですね。さらに簡単に内容を確認できるのも便利だと思います。では、「簡単で安価」の「安価」のほうですけど、費用はどれくらい掛かるんですか?

(土手)
保管申請手数料は1件3,900円です。

(足立)
原本は遺言者の死亡後も50年間、画像データは150年間確実に保管してくれると思うと、お手頃で良いなと思いました。

(青木)
それでは、「自筆証書遺言書(いごんしょ)保管制度」三つの特徴の最後、「親切」について、土手さん、ご説明をお願いします。

(土手)
はい。この制度では、遺言者がお亡くなりになると、遺言書の存在を、相続人などに法務局からプッシュ型でお知らせします。通知には2種類あります。一つは「指定者通知」、もう一つは「関係遺言書保管通知」です。

(青木)
「指定者通知」は、文字どおり遺言者が生前指定したかたに、遺言者の死亡後に、遺言書が保管されていることを通知するものです。実は、最近制度のリニューアルにより、ここが変わったんですよね。

(土手)
はい。これまで遺言者が指定できる通知先は、相続人などのうち一つに限定されていましたが、その通知先が三つに拡大されました。また、対象となるかたも、これまでは相続人や、それ以外で遺言者が指定した財産を受取る人、そして、弁護士や司法書士などの遺言執行者に限られていましたが、このような制限がなくなりました。これにより、例えば相続手続きをサポートする金融機関なども、通知の対象とすることができるようになりました。

(青木)
指定者通知先を一つに限定すると、そのかたの住所変更の届出がされないと、通知が誰にも届かないおそれがあったんです。しかし、制度のリニューアルにより、そのリスクが減り、さらに、通知の対象者の限定をなくしたことで、広く関係者を通じて遺言書の存在を知ることができるようになりました。これらにより、相続の手続きなどを早期に、かつ円滑に行うことが期待されるんです。

(足立)
これは確かに親切ですね。

(青木)
足立さん、この制度が親切なのはそれだけではないんです。先ほど、遺言書の内容を知るには、法務局で「遺言書情報証明書」を取得する、などの手続きが必要とお話しましたよね。この制度では、相続人などのうち、誰か一人でも閲覧したり証明書の交付を請求したりすると、法務局から相続人などの全員に対して、遺言書が保管されていることが通知されるんです。

(足立)
全員ということは、つまり、その通知によって、遺言者が指定した通知対象者だけでなくて、ほかの相続人のかたも、遺言書の存在を知ることができるんですね。

(土手)
はい。これを「関係遺言書保管通知」と呼んでいます。この制度の目的は、遺言者が死亡した後、相続人や、それ以外で遺言者が指定した財産を受取る人、そしてさらに、遺言執行者などに、閲覧や遺言書情報証明書を取得していただき、遺言書の内容を知ってもらい、相続手続きを円滑にしてもらうことです。ですから、誰か一人が閲覧したり、証明書を取得したら、相続人など、遺言書に関係のあるかた全員に通知がされるのです。

(足立)
なるほど。つまりこれによって、相続手続きが円滑に、そして速やかに行われることが期待できるということですね。

(青木)
そうなんです。また、制度のリニューアルにより、遺言書の保管を申請できる法務局の管轄も拡大したんです。土手さん、これは大分便利になったんじゃないですか?

(土手)
はい。これは「職場の近くで手続きをしたい」、逆に「自宅から離れたところで手続きしたい」という要望にお応えしてできたもので、これにより、この制度がより活用されることを期待しています。

(青木)
自分がどの法務局で手続きできるかを知るには、「自筆証書遺言書(いごんしょ)保管制度」のサイトをご覧ください。「法務省 遺言」で検索すると、法務省の特設サイトをすぐに見付けることができます。

(土手)
「自筆証書遺言書(いごんしょ)保管制度」がリニューアルし、さらに利用しやすくなりました。自分のために、大切なかたのために、まずは制度を知り、理解を深めていただければと思います。

(足立)
今日の話を聞いて印象に残ったのは、原本は遺言者の死亡後も50年間、画像データは150年間確実に法務局が責任を持って保管してくれる安心感が素晴らしいなと思ったことです。

(青木)
保管申請手数料は1件3,900円ですからね!

(足立)
安心で安価というのは、良いですよね。

(青木)
私が印象に残ったのは、今日は「指定者通知」、「関係遺言書保管通知」などの内容をご紹介しましたけれども、結局のところ、相続の手続きが早期かつ、円滑かつ、便利になったと、これにつきますね!だから、この制度は皆さんに知っておいてほしいです。


【 関連リンク 】
・預けて安心!自筆証書遺言書(いごんしょ)保管制度 / 法務省
 https://www.moj.go.jp/MINJI/minji03_00051.html

・遺言書保管申請ガイドブック / 法務省
 https://www.moj.go.jp/MINJI/common_igonsyo/pdf/guidebook_r3.pdf