暮らしに役立つ情報や気になるトピックを深掘りしていく番組「青木源太・足立梨花 Sunday Collection」。
番組パーソナリティの青木源太と足立梨花が、毎回、専門家をゲストに招きトークを繰り広げ、
印象に残った“推し”をコレクションしていきます。
暮らしに役立つ情報や気になるトピックを深掘りしていく番組「青木源太・足立梨花 Sunday Collection」。番組パーソナリティの青木源太と足立梨花が、毎回、専門家をゲストに招きトークを繰り広げ、印象に残った“推し”をコレクションしていきます。
私たち一人一人が、先のことを考え計画を立てるように、日本も目指す未来像へ向けた計画が進められています。今回は、「日本の未来が見える! 新たな国土形成計画」というテーマで深掘りしました。
(青木)
いつも足立さんは1年の抱負は掲げないと言っていますけど、10年、20年先の未来、どんな自分になっていたいと思いますか?
(足立)
10年、20年先、考えたこともなかったけど、30歳を超え、未来のことを考えないといけない年齢なんだなと思います。逆に、どういう未来を描けばいいんですかね?青木さんは何かありますか?
(青木)
足立さんの場合は、昨年結婚し、家族のかたちがどうなっていくのかにもよると思います。僕の場合は、10年、20年先の未来を考えると、趣味をもう少し多く持っている人になりたいと思います。
(足立)
意外と、多趣味なイメージがありますよ!
(青木)
日本に生まれて、これだけ自然が豊かじゃないですか。自然に触れ合うような趣味を10年で一つずつくらい増やしていきたいなと、考えています。
(足立)
すごいですね!10年で一つずつ増やしていったら、結構数が増えますよね。
(青木)
そうなんです。もちろん、海外を旅行するのもいいんですが、日本にも素敵な地域やきれいな自然がたくさんあるじゃないですか。
(足立)
確かに!山登りしたり、湖がきれいだったり。
(青木)
釣りに行ったりとか、やってみたいなと思っています!今日深掘りするのも「未来像」なんです。その名も「新たな国土形成計画」です。
(足立)
「新たな国土形成計画」?いったい何のことなのか、さっぱり分かりません。
(青木)
そうですよね。でも実は、この「国土形成計画」は私たちの暮らしの全てに関わるとても大切な計画なんです。足立さん、日本の国土の特徴といえば、これまで番組でたびたび話題に上っていますが、何でしょうか?
(足立)
国土の7割が森林ということをやりましたよね。
(青木)
はい。木材利用がテーマのときにやりましたね。
(足立)
驚きましたが、自然豊かな国なんだなと感じました。あとは、東西南北におよそ3,000キロメートルの長さがあること。
(青木)
これは、鉄道がテーマのときでしたが、東西南北におよそ3,000キロメートルの長さがあるからこそ、気候や地域性が生まれている話をしました。この日本の美しい国土は、個性豊かな風土や文化を育みながら、長い歴史を通じて脈々と受け継がれています。国土計画は、その国土と、人との関わり合いに焦点を当てながら、日本全土がバランスよく発展することを目指す、総合的かつ長期的な計画です。簡単に説明をすると、10年後、あるいは30年後の、この国の姿、ビジョンを示しているものなんです。
(足立)
なるほど、日本が目指す未来像が描かれたものなんですね。
(青木)
初めて策定されたのは1962年で、このときは全国総合開発計画、略して「全総」と言い、当時は「所得倍増計画」という言葉もよく聞かれました。ご年配のかたは記憶にあるかもしれません。その後、制度が改正され、2008年には呼称が「国土形成計画」に変わりましたが、時代時代の社会経済状況の変化を踏まえ、昭和から平成にかけて7回、国土計画が策定されてきたんです。
(足立)
そうだったんですね。人は「なりたい姿」を思い描いて日々を送ったほうが理想に近付きやすい、なんてこともありますけど、国も同じということなんですか?
(青木)
そうですね。あとは、その時代、その時代の考え方や人口動態などにもよると思うので、昭和から平成にかけて7回、国土計画が策定されてきたということで、昨年7月には、令和になって初めて、通算8回目となる新たな国土形成計画が策定されたんです。ここからはスペシャリストと一緒に深掘りしてまいります。国土交通省国土政策局総合計画課長の倉石誠司さんです。
(足立)
倉石さん、新しい国土形成計画で「日本が目指す未来の姿」は、どのように描かれているんでしょうか?
(倉石)
はい。スローガンのように掲げられているのは「新時代に地域力をつなぐ国土」です。地域力というのは、地域の課題を克服する「守りの力」と、地域の魅力を高め人々をひき付ける「攻めの力」です。こうした地域力を、日本の全ての地域が持ち、国土全体にわたりつなぎ合わせ、未来へとつなげていこう。「新時代に地域力をつなぐ国土」という言葉にはこのような思いが込められています。
(足立)
やはり、地域の活性化が日本の未来には欠かせないということでしょうか?
(倉石)
はい。今、日本の国土をめぐる社会経済状況は大きく変化していて、時代の転換点とも言える局面にあります。時代の重大な岐路に立っているとも言えます。
(青木)
これまで番組でも何度も取り上げてきましたが、日本の人口は2008年をピークに減り続けていて、少子高齢化は加速しています。2050年には、およそ4割が65歳以上の高齢者となります。また、日本には巨大災害の発生リスクもありますし、気候変動による危機もより深刻化しています。こうした影響は、東京一極集中といった国土構造の歪みと相まって、特に地方の生活、経済の存立そのものを脅かしていくことが心配されているんですよね、倉石さん。
(倉石)
はい。地方における人口の減少や流出が続けば、地域の公共交通や医療・福祉・介護など、生活に不可欠なサービスの利便性は低下し、さらに人口減少・流出の悪循環となります。こうした流れが続けば、2050年には全国の居住地域のおよそ2割が、無居住化することが推計されています。
(足立)
ということは、現在、人が住んでいる地域のうち、およそ2割の地域に人が住まなくなってしまうということですか?町が滅亡しますよね?
(倉石)
そうなると、その地域を管理することが難しくなりますから、国土が再生困難なくらい荒れてしまう可能性もあります。
(足立)
これまで私たちが見てきた美しい国土や、継承してきた国土などが失われてしまうかもしれないってことですよね。それは嫌ですね。
(倉石)
一方で、コロナ禍を契機としてデジタル化が進み、テレワークの普及などにより人々の暮らし方・働き方が変化してきました。また若者世代を中心に田舎暮らしへの憧れや、ローカル思考が広がりつつあり、人々の価値観や行動様式に変化の兆しが少しずつ見え始めています。
(青木)
つまり、今こそが、地方へ人の流れを創出するチャンスでもあるんですよね。
(倉石)
はい。そのため、今回の国土形成計画では、こうした時代の背景を踏まえて、日本が目指す姿として「新時代に地域力をつなぐ国土」を掲げ、「地域力」に注目した計画を策定したんです。
(青木)
その目指す姿を形成していくことは、結果として「活力ある国土」や「災害などに強い安全・安心な国土」「個性豊かな国土」を作ることとなり、日本の国土全体の課題解決、魅力向上につながっていくんですよね。ここからは、モデル地域として、すでに課題解決に取り組み、魅力を向上させている地域があるので、具体的にどのような取組が行われているのか深掘りしていきます。
(足立)
倉石さん、その地域はどちらになるんですか?
(倉石)
香川県の西部に位置する三豊市です。
(青木)
知っています!三豊市は、SNSで日本のウユニ塩湖と言われるくらいの絶景スポットがありますよ。
(足立)
私もSNSで見ました!
(青木)
いつか仲間と行きたいなと思っているんです。
(足立)
私も思ってました!
(青木)
海外かな?と思ったら香川県の三豊市なんですよ。実は、三豊市は、そうした絶景スポットがあるだけではなく、デジタルを積極的に活用して、様々なサービスが持続的に提供される地域生活圏の形成に向けた、モデル事例なんですよね、倉石さん。
(倉石)
はい。三豊市は、他のローカルエリアと同じく、人口減少に伴う様々な課題がある自治体でした。しかし近年は、三豊市と地元企業などが共に助け合う「共助」の考え方を取り入れた様々なサービスを提供するようになり、活気を帯びてきているんです。その一つが「地元企業ら13社の出資によるAIオンデマンド交通サービス」です。
(足立)
オンデマンド交通は以前も取り上げたことがありましたね!
(青木)
はい。「お迎え地点」と「行き先」を指定すれば迎えに来てくれるバスで、コミュニティバスより使い勝手がよく、タクシーよりも気軽に使えるメリットがあります。料金は定額乗り放題制で一人当たり月6,000円。家族の追加は一人当たり1,000円ずつです。AIが搭載されたシステムは常に成長し、最短ルートの選択などを可能にしますから、それによりお迎えまでの待ち時間が短くて済むなど、ユーザーの暮らしに合わせた、使い勝手の良い地域交通になっているんです。
(足立)
料金はサブスクってことですよね。定額制にすることで、地域の皆で、地域の交通を支えることにもなっているんだろうなと思いました。まさに共助の地域交通ですね。
(青木)
そうですよね。行政だけで行うのではなく、地元の企業と協力しているというのは素晴らしくないですか?
(足立)
地域が活性化されていきますよね。
(青木)
地元企業の売上げや雇用などにも、きっとつながりますしね。
(倉石)
三豊市には、共助の考え方で構築されている市民大学もあります。地元企業ら18社の出資で設立していて、コンセプトは「地元がキャンパス・みんなが先生」です。年齢や職業に関係なく、瀬戸内での暮らしを豊かにする学びを提供しています。こちらも定額制を導入していて、月額1万2,000円で全てのクラスを受講することができます。
(足立)
どんなクラスがあるんですか?
(青木)
ホームページを見ると、ピラティス、フラワーアレンジメント、作詞・作曲クラスなど趣味のクラスがある一方、パソコンのクラスや、プレゼンテーション、社員研修などにも利用可能なクラスも開催されています。
(倉石)
この市民大学は、三豊市のお隣の観音寺市も含めて事業を展開しており、自治体の間での連携もなされています。三豊市では、他にも「空き家の活用」や「移住・仕事マッチング」の取組が進められていて、こうしたそれぞれのサービス事業者が持つデータを、効率的にやりとりするための基盤となるシステムを三豊市が構築しています。つまり、民間主導のプロジェクトを、行政が側面支援する形での官民のパートナーシップに取り組んでいます。
(足立)
とても魅力的な地域だなと聞いていて思いました。こうしたお話を聞くと、三豊市に移住したいと思うかたもたくさんいそうですよね。
(青木)
実際、三豊市では、ウユニ塩湖効果により観光客が増えるだけでなく、移住者も増えているんですよ。三豊市が実施するアンケート調査などによると、移住者は、平成29年度は93人だったところ、令和3年度は305人にも増えているんです。
(足立)
すごい!観光客だけでなく、移住者も!やっぱり、目に留まるって大事ですよね。コロナ禍以降、東京圏で暮らしている人の地方移住への関心が高まっているというのは、この番組でもやりましたけど、生活拠点が2か所の「2地域居住」に関心がある人も少なくないですもんね。
(倉石)
はい。国土交通省でも2地域居住などの多拠点居住を推進することは、個人の多様なライフスタイルを実現することに加えて、地域を支える人を増やすことにもつながり、より良い地域作りのための有効な手段だと考えています。そのため、2地域居住などのハードルを下げるために、「住まい」「仕事」「コミュニティ」に関わる新しい制度作りを進めていきます。
(青木)
例えば、地方の場合、住みたいのに住める家がない場合があります。そうした課題を解決するために、空き家のリノベーションや、シェアハウスの活用や整備を制度面から進めやすくしたり、資金面でサポートしていけるようにしていくんです。
(足立)
日本が目指す未来の姿を実現するために、様々なサポートをしていくんですね。
(倉石)
昨年7月に新たな国土形成計画が策定されました。ポイントは「地域力」です。国土全体にわたり地域力をつなぎ合わせ、未来へとつなげていきましょう!
(足立)
生活拠点が2か所の「2地域居住」に関心がある人が増えているんだなということが、今日の話を聞いて分かりました。私の身近にも「2地域居住」をしているかたがいるんですが、そういうかたの話を聞くと、面白そうだなと思って興味が湧いたりしますよね。コロナ禍を経て、いろんな働き方が出てきて、そういう考え方もありなんだなと思うようになりました。
(青木)
そういう選択肢がとれる職種も増えてきましたからね。
(足立)
面白そう!という好奇心もあります。
(青木)
私が印象に残ったのは、やはり、地域力を上げるために、官民のパートナーシップが大事であるということです。国や地方公共団体といった行政の力だけでなく、民間の力も結集して、それぞれの地域力を上げていってほしいなと思いました。
【 関連リンク 】
・国土計画 / 国土交通省
https://www.mlit.go.jp/kokudoseisaku/kokudokeikaku_fr3_000003.html