暮らしに役立つ情報や気になるトピックを深掘りしていく番組「青木源太・足立梨花 Sunday Collection」。
番組パーソナリティの青木源太と足立梨花が、毎回、専門家をゲストに招きトークを繰り広げ、
印象に残った“推し”をコレクションしていきます。
暮らしに役立つ情報や気になるトピックを深掘りしていく番組「青木源太・足立梨花 Sunday Collection」。番組パーソナリティの青木源太と足立梨花が、毎回、専門家をゲストに招きトークを繰り広げ、印象に残った“推し”をコレクションしていきます。
孤立や孤独を感じていたり、家族や友人、大切な人に言えないその悩みやモヤモヤを相談員に話しませんか?
今回は、「話してみませんか 孤独・孤立相談ダイヤル#9999」というテーマで深掘りしました。
(青木)
昨年の10月にも孤独や孤立について深掘りしましたね。
(足立)
そうですね。今は昔と比べて、人と人とが関わり合う機会が減っているのに、新型コロナウイルスの影響で、その状況がさらに進んで、孤独を感じたり、社会から孤立してしまい、生きづらさを感じる人が増えているかもしれない、確か、そんなお話しが出ていましたよね。1年前に深掘りしたのに、かなり短い間隔で再び深掘りするのは意外でした。
(青木)
実は、「クリスマス」そして「年末年始」を迎えるこの時期に、「孤独・孤立相談ダイヤル」へのニーズが高まることが予想されているんです。そのため、より多くのかたに「#9999」の存在を知っていただきたいと思い、あえて、この時期に二度目の深掘りをすることにしました。スペシャリストをご紹介しましょう! 前回と同じく、内閣官房 孤独・孤立対策担当室 政策参与 大西 連さんです。
(足立)
前回、大西さんには孤独・孤立に関する基本的なことを伺いましたけど、今回は「孤独・孤立相談ダイヤル #9999」について、ということで、この時期、相談ダイヤルへのニーズが高まることが予想されているそうですね。
(大西)
はい。先ほどもお話にありましたが、クリスマス・年末年始ということもあり、多くのかたが家族や友人など、大切な人と過ごすかたが多いと思いますが、一方で、そういったことが難しかったり、そうではない状況のかたで、より孤独を感じたり、寂しさを感じたり、しんどくなってしまうかたが、たくさん出てくると言われています。そこで、内閣官房では孤独・孤立問題の取り組みの一環として、期間限定ではありますが、「孤独・孤立相談ダイヤル」による相談対応を実施しています。この取り組みは、今年だけではなく、昨年度は1年間に合計4回、24時間体制で電話相談対応を行いました。昨年の年末年始に、相談ダイヤルを利用するかたがかなり多く、今年は相談体制を手厚くし、多くのかたの声を聞けるようにしました。
(足立)
それこそ、クリスマスから年末年始にかけて、大切な人と過ごす方がいると思いますが、自分にはそういう人がいない、とか、いても寂しさを感じるかたもいると思うので、この時期は、より孤独感を増してしまうのかもしれないですね。
(青木)
あとは、年末年始は仕事が休みの場合が多いじゃないですか。考える時間ができて、何か不安があると、その不安が膨らんでしまって、一人では抱えきれなくなってしまうなど、そういったことも要因の一つかもしれないですよね。
(足立)
そうですよね。ちなみに、前回はどれくらいのかたが年末年始に「孤独・孤立相談ダイヤル」を利用されたんですか?
(大西)
昨年は、12月28日から1月4日までの1週間行ったのですが、およそ2万6,000件の相談が寄せられました。この数は、ほかの時期に1週間実施したときと比べて、およそ2倍も多いです。
(足立)
この時期に悩まれているかたが多いということですね。どういったかたからの相談が多いんですか?
(大西)
やはり、電話というツールなので、若いかたというよりは、40代以上のかたが人数傾向的には多かったと思います。一方で、10代のかたからの電話もきたり、幅広い年代のかたからの相談を受けることができました。ただ、一人暮らしのかたや、病気や障害のあるかた、仕事がないかたや不安定な状況のかたからの相談がかなり多かったというところは、特徴として出ているかと思います。
(青木)
この問題は、仕事がないという、雇用の問題ともつながってきているということですよね。
(足立)
内容はどういったものだったのでしょうか?
(大西)
一人一人、状況が違うので一概に言えない部分は多いのですが、皆さんがよく抱えていたのは「心の病気や不調」といった精神面のしんどさです。それから、「家庭や家族・同居人との関係」、先ほどもお話にありましたが、年越しだけども手持ちのお金がそんなにないといった「暮らしとお金」です。こういった状況にあるけど、なかなか相談できない、話せる相手がいない、自分の気持ちを聞いてもらえる場所や人がいないということで、困られて電話を掛けてくれた、そういったかたが多かったです。
(青木)
私が、昨年度の年末年始期間における相談ダイヤルの実施報告書を拝見して、興味深いと思ったのは、「困ったときやピンチのときに支えてくれる身近な人はいるけれど、頼れない」という人が多い点です。孤独というと、一人ぼっちというイメージがありますが、そうではなく、身近に人はいるけれど、そういった方々に頼れない気持ちになってしまう。大西さん、これはどういう背景があるんでしょうか?
(大西)
そうですね。私もずっと現場で支援をしてきていますが、こういったことはすごくあります。そもそも、頼れる環境ではないというかたもいますが、そうではなく、家族や友人、大切な人がいるかたは、「心配させたくない」などの理由で一人で頑張ってしまう人や、「人の助けを借りるのはよくないことなんじゃないか」、「恥ずかしい」、「弱さを見せるのに、どうしても勇気がいる」など、社会規範的なものもあるのかもしれません。病気や子育て、介護など、お一人で抱え込んでしまっているかたがとても多いと感じています。
(足立)
とても近い存在だからこそ、言いづらいことってあったりするじゃないですか。私も、親友に言えないことは沢山ありますね。心配掛けたくない、迷惑掛けたくない、というかたがたくさんいらっしゃるんじゃないかなと思いました。
(大西)
ついつい抱え込みがちですし、もしかしたら、一人で抱え込んでしまうかたの方が多いかもしれません。勇気のいることだと思うんですが、そういったときに、身近な人だと相談できないけど、専門機関や民間で相談を聞いている場所などに、ハードルは高いかもしれませんが、是非、声を上げてほしい、連絡してほしいと思います。それは、恥ずかしいことでも気兼ねすることでもないです。特に、年末年始は、日頃相談している相手が家族と過ごしているかもしれないため、遠慮してしまうかたもいると思います。
(青木)
そんなときのために「孤独・孤立相談ダイヤル #9999」があるんです。
(足立)
大西さん、「孤独・孤立相談ダイヤル」は期間限定の相談窓口ですよね。今年の年末はいつからいつまで相談を受け付けているんですか?
(大西)
実は、すでに開設しております。今回は昨年よりも期間をかなり長く設けておりまして、期間は12月15日午前9時から1月4日の午前9時までの3週間、#9999で24時間、相談を受け付けています。日頃から生きづらさを抱えているかたの相談対応を行っているNPOのメンバーや、生活の苦しさを抱えているかたの支援を行っているメンバーなど、多くの関係団体に協力いただき、通話料は無料、24時間、数百人態勢で相談を受け付けています。この瞬間も受け付けています。
(足立)
すでに開設されているんですね。電話をすると、どのように対応していただけるんでしょうか?
(大西)
もしかしたら、時間帯によってはつながりづらいときがあるかもしれませんが、電話を掛けていただくと、まず、いくつかガイダンスが流れます。「孤独・孤立でお悩みのかた」や「18歳以下の相談はこちらです。」など自身に当てはまる案内に沿って、電話のボタンを押すと、相談員につながります。相談員は、どんなご相談内容なのか、じっくりと話を伺いますので、ご自身のペースで、ご自身の気持ちや、今の状況をゆっくりとお伝えいただければと思います。「相談をする」となるとハードルが高く、勇気がいることかもしれませんが、ちょっと話すだけでも気持ちが楽になると思います。相談員が一緒に考えていきますので、ご相談いただけたらと思います。
(青木)
昨年実施した「孤独・孤立の実態把握に関する全国調査」を見ても、「相談することで解決しなくとも気持ちが楽になる」、「相談することで解決できる」、または「解決の手掛かりが得られる」といった回答がありました。
(足立)
つらい思いを抱えているかたの中には「相談したってどうせ無駄だ」とか、「無理でしょ」と思っているかたもいらっしゃると思うのですが、通話が無料なので、思い切って掛けてみて、話してみることが大事かもしれないですね。
(大西)
匿名なので個人情報も守られますし、そこで話していただいた内容は外部に漏れることはありませんので、思い切って電話を掛けていただけたらと思います。また、お話を伺う中で、具体的な支援の必要があったり、公的なサービスを使う必要があるなど、いろいろなことが起こり得ると思いますので、そういった場合は、適切に情報提供や具体的な支援機関につないだり、様々なサポートについて、連携している団体や機関と一緒に考えていきたいと思います。
(足立)
自分一人だと、そういった支援機関にたどり着けないこともあるかもしれないですからね。
(青木)
大西さんは、貧困問題に取り組むNPO法人「自立生活サポートセンター・もやい」の理事として、以前から生活困窮されたかたなどへの相談支援に携わっていらっしゃいますが、相談を受けていて感じることはどんなことでしょうか?
(大西)
貧困問題や生活の苦しさの問題というと、やはりお金の問題がすごく大きいのは間違いないんですが、それだけではないんですね。やはり、仕事を失う、収入が減ってしまう、といったことがあった際、例えばそこで、頼れる人間関係やつながりがあれば、困らないかもしれない。逆に言えば、そういった関係がなく、頼れる関係性を失ってしまっていたり、すごく弱っていると、「お金がない」問題と、「孤独・孤立」がつながり、そのかたの状態がより苦しくなってしまうことがあります。また、お金の困り始めのときに相談してくれたら、様々なサービスや支援を受けられるかもしれない場合も、自分一人で頑張ってしまって体を壊してしまうとか、逆に、頼れる人間関係にあるかたにお金を借りて、より関係が悪くなってしまうなど、いろんなことが起こりがちです。介護、子育てなど、いろんな悩みが複合的に重なってくることもありますので、相談に慣れている専門のメンバーが全国にたくさんいますので、一緒に考えながら取り組んでいくことが重要かなと考えます。また、今は物価もすごく上がっていることもあり、本当に暮らし向きが苦しいかたというのは、多くいらっしゃいますので、そういった意味でのしんどさの声も上げてほしいなと思ってます。
(足立)
結構、生活に困窮しているように見えないかたもいらっしゃいますよね。
(大西)
生活に困窮しているように見えないように頑張ってしまうかたがいらっしゃいます。弱さを出しにくかったり、一生懸命、不安定な仕事をしながらも、頑張って仕事を続け、そのために体を壊してしまうなど、見えないように無理をしてしまうかたも多く、「無理しなくていいんですよ」という社会の声を届けていけたらと思います。
(青木)
心がもやもやしたり、不安や悩みがあったり、誰にも頼れず、一人で悩みを抱えていたら、「孤独・孤立相談ダイヤル」に電話を掛けてほしいと今日お伝えしていますが、周りにいる私たちにできることは、どんなことがありますか?
(大西)
そうですね。「孤独・孤立」の状況は今、すごく日本社会に浸透していると言われていて、国の調査でも、およそ4割近くのかたが孤独を感じていたり、孤立に近い状況にあることが分かってきていて、私たちの身近にも孤独を感じたり、孤立をされているかたはいるはずなんです。でも、それをなかなか見せない、または、見えない部分があります。自分はそこまで困っていない、孤独や孤立に関して関係ないと思っているかたこそ、身近に困っているかたとの、例えば学校、職場や地域でのつながりや、いろんな場所でのコミュニケーションの中で、「孤独・孤立相談ダイヤル」を積極的にお伝えいただければと思います。それだけでも変わってくると思います。これが、そういった場所に相談することがいけないことではないんだ、遠慮なく電話で相談していいんだ、というメッセージになるのではないかと考えています。
(青木)
確かに自分が声を掛けると、その悩みや問題を自分自身が抱えきれるのかな?といろんな遠慮が生まれちゃいますよね。
(足立)
あと、解決できる何かを持っていないから、聞くことしかできないけど、聞いていいのかな?とか考えちゃいます。こういう問題のときって、悩みを抱えている人に声を掛けてあげてくださいと言われますが、毎回、それが結構難しいなと思うこともあるんですよね。
(大西)
おっしゃる通りです。声を掛けること自体、負荷が掛かることもあるので、逆に声を掛けてしんどかったという経験を、「孤独・孤立相談ダイヤル」に相談していただいてもいいんです。「孤独・孤立相談ダイヤル」含め、皆さんの声をお聞きするための体制を作っておりますので、是非、専門の機関に情報を伝え、つなぐことをしていただけたらうれしいです。1月4日 午前9時まで、「孤独・孤立相談ダイヤル #9999」を開設しています。全国数百人の専門の相談員が、皆様の心のもやもや、不安や悩み、生きづらさ、生活の苦しさなどのご相談を受け付けております。「#9999」に電話を掛けて相談をしていただけたらと思います。また、身近なかたに、しんどそうだな、お困りだなというかたがいたら、是非、この情報を届けていただけたらと思います。政府一丸となって、「あなたは決して一人じゃない」というメッセージを発信しております。
(足立)
「孤独・孤立相談ダイヤル #9999」を皆に覚えてほしいと思いました。1月4日午前9時までの期間限定ですが、24時間体制でいろんな相談を受け付けていますが、話を聞いてくれるだけでなく、解決方法を一緒に見付けてくれるかもしれない。いろんな良いことがあるので、悩んでいるかたは「#9999」に電話してねと伝えたいです。
(青木)
私が印象に残ったのは「一人で抱え込まず、声を上げてほしい」ということです。相談すること、話を聞いてもらうことは決して恥ずかしいことではありません。聞いてくれるかたがいますから、一人で抱え込まず、「#9999」に電話をしてほしいなと思います。また同時に、「#9999」を運営されている方々もいらっしゃいますよね。クリスマスやお正月を返上して、相談を受けている方々がいるということに敬意を表したいと思います。
【 関連リンク 】
・あなたのための相談場所があります / 内閣官房
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