暮らしに役立つ情報や気になるトピックを深掘りしていく番組「青木源太・足立梨花 Sunday Collection」。
番組パーソナリティの青木源太と足立梨花が、毎回、専門家をゲストに招きトークを繰り広げ、
印象に残った“推し”をコレクションしていきます。
暮らしに役立つ情報や気になるトピックを深掘りしていく番組「青木源太・足立梨花 Sunday Collection」。番組パーソナリティの青木源太と足立梨花が、毎回、専門家をゲストに招きトークを繰り広げ、印象に残った“推し”をコレクションしていきます。
普段、何気なく使っている水道。今、私たちが当たり前に使えるのは、先人たちのお陰!
水道を次の世代に引き継ぐためにも、まずは水道について改めて考えてみませんか?
今回は、「当たり前じゃない! 日本の水道」というテーマで深掘りしました。
青木 今回は日本の水道に注目です。
私たちが生きるために絶対に必要な水は、何もしないで手に入るものではありません。私たちの元に水を届けてくれる水道がなければ、私たちは安心して飲んだり、使用することはできません。
足立 蛇口をひねれば水が出てくるのは当たり前じゃないんですよね。
青木 そうですね。ちなみに足立さんは家にいるとき、どれくらい水を使っていると思いますか?
水道の使用量のお知らせは、例えば東京23区内の多くの地域では2か月に1度、水道局から届いているはずですが、足立さん、見たことはありますか?
足立 水道局から届く水道の使用量の紙は見るんですが、どれくらい使っているか?というよりも、水道料金の方が気になってしまって、どれだけの水を使ったかは意識して見たことがなかったです。
青木 家庭内で1日に使用する水の量を一人当たりに換算すると、およそ230リットルです。家庭内では、炊事、洗濯、トイレ、お風呂、洗面などに水を使っていますよね。
足立 そうですね。当たり前のように使っていますね。
水って飲むだけじゃないですよね。
青木 でも、この230リットルというのは、あくまでも家庭内で使用する水の量です。
仕事先で手を洗ったり、トイレを使用するときにも使いますし、レストランのお料理や飲み物にも水が使われていますよね。
そうした家庭外で使用する水道水の使用量を、家庭内の使用量と合わせると、私たちは、一人当たり1日およそ300リットルの水を使っていることになります。
300リットルは、2リットルのペットボトルに換算すると150本です。
足立 思っているより使っていますね!
当たり前のように水を使っていますが、ペットボトルのように換算したことがないので、見た目として分からないですよね。
青木 そうですよね。この300リットルの水を水道以外の方法で手に入れようとすると、ちょっと想像してみてください。
足立 自分が使うために2リットルの水が入ったペットボトル150本を毎日運ぶということですね。
水は1リットル1キログラムだから、300リットルだと300キログラム。
これは無理ですね。
青木 日が暮れてしまいますよね。
いかに私たちが水道のお世話になっているのか、改めて分かると思います。
では、足立さん、先ほど、水道料金がいくらぐらいかチェックしていると話していましたが、私たちが払っている水道料金は全国平均で水1リットル当たり、いくらぐらいだと思いますか?
足立 難しいですね。1リットル当たりの水道料金は、1円や2円くらいですか?
青木 答えは、なんと! 全国平均で約0.2円です!
足立 思っていたよりも大分安いです! でも、全国平均ってどういうことですか?
水道料金は全国統一だと思っていたんですが。
青木 そう思っている方も少なくないようですが、実際の水道料金は地域によって異なるんです。
ここからは、厚生労働省 健康・生活衛生局水道課 水道事業基盤強化専門官の向川美樹さんと一緒に深掘りしていきましょう。
足立 向川さん、水道料金は地域によって違うというのは驚きだったんですが。
向川 水道事業は法律により、原則として地域の実情に通じた市町村が経営することになっています。そして水道事業に必要な費用は、その水道を使っている人たちで負担することになっています。
足立 水道事業に必要な費用を、水道料金で賄うということですね?
それで、どうして料金に違いが出るんですか?
向川 水道事業に掛かる費用は、地域によって違うからです。
例えば、水道の水は、川や地下などの水源から集めた水を浄水場できれいにして届けられるのですが、その水源の水質が悪いと、きれいにするのに費用が掛かります。
また、水源から距離が遠いと、水道施設や家庭などに水を届けるまでに、より長い水道管が必要となり、費用が掛かることがあります。
足立 以前番組で、森の土壌は天然の浄水器とも言える機能があるっていう話もありましたよね。そういうきれいな水源の水を使えば、浄水のための費用が少なくて済むということなんですか?
向川 そのとおりです。さらに、水は高い所から低い所へ自然に流れていくので、できるだけ高い所にある上流の水を使うと、電気を使った動力で汲み上げることも極力行わずに済みます。ちなみに、電気使用量を減らすことは、CO2の削減効果もあるんです。
足立 上流に近いところにある水を使うことは、費用面だけではなくて、環境にも良いんですね。
向川 はい、そうなんです。そして、さらに水道料金に大きく関係しているのが、人口密度です。家や商業施設などがたくさんあっても、少ししかなくても、水を届けるためには、水道管が必要です。
そのため、人口密度が低い地域では、一人当たりが負担する費用が大きくなります。
足立 なるほど。同じ長さの水道管でも、使う人数によって、負担する費用の割り勘に違いが出るっていうことですね。
青木 地域による違いが、水道料金に影響するんですね。
足立 ところで、私たちが払った水道料金は、どんなことに使われているんですか?
青木 気になりますよね。実は、水道料金の半分以上は、私たちの子や孫へ引き継がれていく非常に大切なものに使われているんです。
向川 水道で水を届けるためには、浄水場や水道管などの施設が必要です。
そのため、水道料金の半分以上が施設のために使われています。
足立 水道施設って、日本では大体整備が終わっているんですよね?
施設のためにお金が掛かるってどういうことですか?
向川 おっしゃるとおり、今では、水道を利用できない地域はほぼなくなっていますが、水道施設を維持するための、メンテナンスや取り替え工事に費用が必要なんです。
青木 施設は何十年も使われますが、そのメンテナンスや取り替え工事には、莫大な費用が掛かるため、一度に全部、ということはできません。
少しずつ順番に工事する必要があるんです。
足立 なるほど。でも、水道料金というものが、私たちの生活に必須な土台作りに使われていると考えると、とても重要な使い道ですよね。
青木 そうですよね。考えようによっては、水道施設は、水道の水を使っている私たちが皆で造って、皆で維持しているとも言えますね。
足立 確かにそうですね。
では、残りの水道料金は何に使われているんですか?
向川 水をきれいにしてお届けする費用です。
水質の検査費用や、薬品代、電気代などです。
足立 確かに、そういったものにも結構掛かりますよね!
ここで素朴な疑問なんですけど、水道がなかった頃は皆どうやって水を用意していたんですか?
向川 水道がなかった頃は、川や、地下水をくみ上げる井戸、それから田畑の用水路などの水を使っていました。
足立 川の水を飲んだり、用水路の水で洗濯をしていたということですよね?
おそらく衛生的ではないですよね。
向川 はい。そのため、伝染病が流行すると、多くの人が亡くなりました。
また、生活で使う水を、こどもたちが一日に何度もバケツなどで運ぶこともありました。そうした背景もあり、明治以降に、今のような水道が導入され、高度経済成長期に、普及が進みました。
青木 ちなみに、日本全国に整備されている水道管を全てつなげると、およそ74万キロメートル。
その距離は、地球18.5周分。地球と月を往復できる距離に相当するそうです!
足立 すごい! 日本だけでそんなに!?
青木 明治時代から何十年にもわたって、膨大な施設が整備されてきました。
でも、それだけ長期間にわたって整備されてきたということは、そういった水道施設は、老朽化が心配されます。
向川さん、この辺りはいかがでしょうか?
向川 はい。更新していかなければ、今後、老朽化がどんどん進んでしまいます。
足立 古い施設を使い続けていると、どんなリスクがありますか?
向川 例えば、古い施設を使い続けていると、水が漏れてしまって、最悪の場合は断水するかもしれません。また、昔の水道管は地震に弱いものが多いので、災害に強い新しい水道管に更新する必要もあります。
足立 災害に強い水道管があるんですね。
向川 例えば、地震などで揺れても外れない構造の水道管の継ぎ手が開発され、近年はそうしたものへの更新を進めているところです。
青木 水道管の更新は大切なことですが、費用が必要になります。
そこで、近年では水道事業のコストを削減するような取組もされているんですよね。
向川 はい。例えば、水道事業は原則として市町村ごとの経営と先ほど申しましたが、最近では、複数の市町村などで施設の管理や事務を共同で行い、重複するコストを削減したりするといった取組もあります。
足立 日頃、蛇口の向こう側がどうなっているのかなんて、想像したこともないし、考えたこともなかったんですけど、ちょっと興味が湧いてきました。その辺りの仕組みも知りたいと思いました。
青木 社会科見学で水道施設に行ったことがある方も少なくないと思いますが、浄水場見学を企画したり、資料館などを運営している水道局もあります。
例えば、東京都水道局が運営している水の科学館では、地下にある本物の水道施設「有明給水所」を見学できるガイドツアーがあるそうです。
青木 また、水道施設には水管橋という、川などに架けられた水道管の橋もあります。
日本一長い水管橋は、埼玉県にある荒川水管橋で、全長およそ1,100メートルなんですけど、その水管橋を歩いて渡るツアーも人気なんです。
足立 渡れるんですね!
写真を見たんですが、赤いアーチが架けられていて、橋の下の河川敷にはコスモスがたくさん咲いていてきれいですね。
ここを歩いて渡るのは面白そうですよね!
青木 こうした様々な施設が整備されていて、運営、管理のために多くの人が働いています。そして、その費用は、私たちの水道料金で賄われているんですね。
足立 水道って、本当に当たり前じゃないものと思ったので、私たちが払っている水道料金がこういうものに使われて、こどもや孫が過ごしやすい環境になるようにこれからも頑張ってほしいなと思いました。
向川 蛇口の向こう側には、水道管や浄水場などの施設や水源があります。
水道料金には、消費した水の代金というだけでなく、水道施設という皆の共有の財産に投資し、将来へ引き継ぐという意味があります。
私たちの前の世代がそうしてくれたように、水道というシステムを、次の世代に引き継ぐために、これからも日本の水道を皆で守っていきましょう!
足立 今日の話を聞いて、初めて知ったのですが、水道料金は地域によって違うことに驚きました。
どれくらい人が住んでいるのか、整備にお金が掛かったか、といったことで水道料金が変わってくるのは仕方がないなと思いました。
青木 そうですね。環境や事情によって違いますからね。
私が印象に残ったのは、水道料金の使い道です。
水道施設を維持するためのメンテナンスや取り替え工事に費用が必要ということです。
私たちの世代だけでなく、子や孫の世代も安心して使ってほしいなと思いました。
【 関連リンク 】
・いま知りたい水道 / 厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000087512_00010.html