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暮らしに役立つ情報や気になるトピックを深掘りしていく番組「青木源太・足立梨花 Sunday Collection」。
番組パーソナリティの青木源太と足立梨花が、毎回、専門家をゲストに招きトークを繰り広げ、
印象に残った“推し”をコレクションしていきます。

青木源太・足立梨花 Sunday Collection

暮らしに役立つ情報や気になるトピックを深掘りしていく番組「青木源太・足立梨花 Sunday Collection」。番組パーソナリティの青木源太と足立梨花が、毎回、専門家をゲストに招きトークを繰り広げ、印象に残った“推し”をコレクションしていきます。

2023.09.03

その行動で命を救う 適切な救急通報と応急手当



「もしも、家族が急に体調不良になったら…」、「もしも、知らない方が大きなケガをして倒れていたら…」あなたはどう行動しますか?
誰にでも起こり得る急な病気やケガだからこそ、日頃の備えが大切です。
今回は、「その行動で命を救う 適切な救急通報と応急手当」というテーマで深掘りしました。


青木  突然、病気やケガに襲われたとき、私たちは救急車を利用することがあります。
足立さん、119番通報を受けてから、救急車が現場に到着するまでにかかる時間ってどのくらいだと思いますか?

足立  結構、早く到着するイメージがあるので5分から10分くらいでしょうか?

青木  2021年のデータでは、全国平均で9.4分です。
これは10年前と比べて1.2分、伸びてしまっている状況です。

足立  1分って僅かな時間ですけど、救急車を呼ぶときは一分一秒を争うほど、早く来てほしいと思うときだから、そう考えると、この1分は長くて重い1分ですね。
到着にかかる時間が延びてしまっているのは、どうしてなんでしょうか?

青木  これは、「救急車の出動件数が増えていること」も影響していると言えるそうです。
昨年の救急車の出動件数はおよそ723万件で、実は、この数は集計開始以来、最多なんです。救急車や救急隊員の数は限られていますから、近くの救急車が出払っていると、遠くから駆け付けることもあり、それも到着時間に影響しているんです。

足立  出動件数が多いのは、新型コロナも影響しているんですか?

青木  そうですね。2022年の場合、新型コロナの陽性者が増えたことも要因の一つと考えられますが、高齢化が進んでいることも大きな要因になっているんです。
救急車で搬送される方の年齢別の内訳を見ると、およそ6割が高齢者です。
日本の人口は2008年をピークに年々減っています。
一方、高齢者数は増えていて、2030年には国民のおよそ3割が高齢者です。
この状況から推計すると、救急車の出動件数はまだまだ増加が続きそうです。

足立  ということは、このままだと、今よりもっと救急車の到着時間が延びてしまう可能性があるってことですよね?

青木  そういうことになりますね。ただ、救急車で搬送された方の中には、必ずしも救急要請が必要な方ばかりでないという現状もあるそうです。
特に困ったケースでは、「歩けるけれど、どこの病院に行ったら良いか分からないので救急車を要請した」とか、「救急車で病院に行けば優先的に診てもらえると思った」「眠れなくて、誰かに話を聞いてほしかった」など、こんな理由から救急車を要請する人も中にはいるそうです。

足立  なるほど。これは自分勝手だなと思うところもありますし、ただ、急な病気やケガで慌ててしまったり、不安のあまり的確な判断ができないということもあると思うので、救急車を呼んでしまうこともあると思うんですが、そもそも、救急車を呼ぼうかどうか判断に迷ってしまうこともありますよね。

青木  そうですよね。そこで、今日、皆さんに覚えてもらいたいのが、「#7119」と「Q助」です!
「Q助」はアルファベットの「Q」に「助ける」の漢字一文字で「Q助」です。
さぁ、ここからは消防庁 救急企画室の門口清高さんと一緒に深掘りしていきます。

足立  門口さん、「#7119」と「Q助」、どちらも気になるんですけど、まず、「#7119」から、どういったものか教えてください。

門口  はい。「#7119」は、急な病気やケガをしたとき、救急車を呼んだほうが良いか、今すぐに病院に行ったほうが良いかなど、判断に迷ったときに利用していただきたい電話相談窓口です。電話相談には、看護師などの資格を持つ相談員が対応し、病気やケガの症状を把握して、緊急性や救急車を要請したほうが良いかどうかについて、助言をしてくれます。

青木  緊急性が高い場合は、119番に電話を転送するなどして救急車の要請を支援してくれる他に、診察が可能な医療機関の電話番号を教えてくれたり、症状に応じた応急手当の方法もアドバイスしてくれます。

足立  知識のある人に相談できるのはすごく助かりますね。

門口  「#7119」は現在全国22の地域で展開されていて、国民のおよそ5割をカバーしている状況で、今後、「日本全国どこにいても#7119がつながる体制」の実現を目指しています。

足立  そうなんですね。じゃあ、今、「#7119」がつながらない地域の方で、救急車を呼ぶかどうか判断に迷ったときはどうしたらいいんですか?

青木  足立さん、そうした方もすぐに利用できるのが、「Q助」なんです。
門口さん、ご紹介をお願いします!

門口  はい。「Q助」は、急な病気やケガをしたとき、症状の緊急度を素早く判断するために、消防庁がウェブ版とスマホ版で提供しているアプリです。
画面上で当てはまる症状を選択していくと、緊急度の目安が分かり、必要な対応が表示されます。
緊急度が高いと判断された場合は、スマホのアプリからなら119番に電話できます。
また緊急度が高くない場合は、受診できる医療機関や移動手段、タクシーなどの情報をアプリから検索できます。

青木  私も先ほどアプリを開いて、どんな選択肢が表示されるのか確認したんですが、例えば「ハアハアしますか? 息は苦しいですか?」で「はい」を選ぶと、「急に息苦しくなりましたか?」「胸の痛みはありますか?」「顔がむくんだり、赤くなったり、蕁麻疹が出ていますか?」など、さらに詳しい症状を尋ねる項目が出てきて、まるでお医者さんの問診を受けているように感じました。

足立  アプリなら、「#7119」がつながらない地域の方だけでなく、つながる地域の方も、全国、誰でもすぐに利用できるのは良いですよね!

門口  はい。誰しも突然の病気やケガに襲われると慌ててしまうものなので、必要なときにすぐに利用できるように、事前にアプリをスマホにインストールしておくと、より安心だと思います。アンドロイドやiPhone、どちらにも対応しています。

青木  ここからは、誰しも事前に身に付けておきたい「応急手当」を深掘りします。
急いで病院へ行く前に、その場に居合わせた人ができる手当のことを「応急手当」と言います。119番通報してから救急車が到着するまでは、どうしても時間が掛かります。この間に適切な応急手当をすることで、命が助かることも少なくないそうですね、門口さん。

門口  はい。特に心臓や呼吸が止まってしまった場合、その場に居合わせた人が心肺蘇生やAEDによる電気ショックを行えば、救急車が来るまで何もしなかった場合と比べて、命が助かる可能性は高まります。
心肺蘇生は早く始めれば始めるほど命が助かる確率は上がります。

青木  生存率、そして社会復帰率も高まるそうですね。
ちなみに、心肺蘇生というのは、心臓や呼吸が止まっている人に対して、救命のために胸を強く圧迫したり、口から息を吹き込んだりして、その動きを助ける方法です。ドラマなどで心肺蘇生シーンを見たことある方も多いと思います。

足立  確かに! 正直、心肺蘇生って、ドラマの中のワンシーンで、自分がすることになるって、あまり想像できないんですよね。

門口  確かにそのように思う方は多いと思いますが、急性心筋梗塞や脳卒中を発症すると、何の前触れもなく、心臓と呼吸が止まってしまう場合があります。
また、プールや海で溺れたり、喉に食べ物を詰まらせることも、心臓と呼吸が止まる原因です。いつ、誰が、そのような場面に遭遇するかは予想がつきません。そのため、誰もが、もしもの場合に備えて、応急手当ができるように備えておくことが大切なんです。

青木  足立さんは心肺蘇生はやったことありますか?

足立  やったことないですね。どうやるのかは、ドラマを見ていて、なんとなく知っている、そういうレベルです。

青木  そうですよね。門口さん、かなり力強く胸を圧迫しないといけないんですよね。

門口  そうですね。胸が約5センチメートル沈み込むようにしっかり圧迫します。
その力加減は、実際に体験すれば体で覚えることができますから、是非、皆さんには、学校や職場、身近な消防署などが開催する応急手当講習を積極的に受けて、応急手当を身に付けていただきたいと思っています。
応急手当講習ではダミーの人形を使って練習することができます。

青木  開催する地域によって若干の違いはありますが、適切に圧迫することができれば、ランプが光って教えてくれる人形を使用するそうですよ。

足立  確かに。適切な圧迫がどのくらいか分からないので良いですね。

青木  では、足立さん。自転車と車の交通事故に遭遇し、ケガ人が太ももから血を流していたとします。足立さんなら、どんな応急手当をしますか?

足立  血を流しているとなると、まずは止血をしないといけないと思うので、布を持ってきて縛る?

青木  門口さん、この止血というのはどうでしょうか?

門口  はい。最も基本的な止血法は、出血部位に清潔なガーゼやハンカチなどを重ねて当て、その上を手で押さえて直接圧迫する方法です。
出血が続く場合は圧迫部位がずれていないか確認し、出血が止まるまでしっかりと圧迫します。その際、感染防止のため直接血液に触れないように注意して、手にビニール袋などを被せることをお勧めしています。

青木  例えば、出血している部分よりも、心臓に近い場所に布を巻いて強く縛る止血方法をよく聞きますが、これは神経などを痛める危険性があるため、一般的な応急手当では勧められていないそうです。門口さん、応急手当の常識も時代とともに変
化するんですね。

門口  はい。現在、消防署などが行う応急手当講習では、地域によって内容など若干の違いはありますが、およそ3時間の講習で、心肺蘇生法、AEDの使い方、止血法、異物除去の方法など、最新の応急手当を学ぶことができます。
是非、こうした講習を受けて、もしものときに備えていただければと思います。
講習はテキストや備品代として費用が掛かる場合もありますが、消防本部によって違います。また、土日祝日の実施の有無も各地で違いますので、詳しいことは地元の消防本部にお問い合わせください。

足立  今、お話を伺っているだけでも、止血の方法が間違っていましたし、AEDの使い方も分からない方が多いと思うので、応急手当を身に付けることは大切だなと思う一方で、実際、応急手当が必要な場面に遭遇したときに、自分が率先して行動できるかなって考えると、難しいような気もするんです。特に相手が知らない人の場合、ハードルが高いですよね。

青木  そういう方は少なくないですよね。でも、救急車が到着するまでの間、少しでも早く応急手当ができれば、助かる命があるのは事実です。道端で倒れている人が、もし家族だったら、自分の大切な人だったら、もしくは自分だったら、そう考えれば、勇気を出して行動できるのではないでしょうか。
また、そういう場面に遭遇したときに、率先して行動できる人になりたいですよね。
そのためにも事前に応急手当を練習しておくことは大切だと思います。

門口  はい。救急車を呼ぶかどうか判断に迷ったら、「#7119」または「Q助」を活用して、救急車の適時・適切な利用にご協力をお願いします。
また、日頃から応急手当の方法を身に付けて、もしものときに備えてください。
今度の土曜日、9月9日は救急の日です。
また9日を含む本日3日から9日までの1週間は救急医療週間です。
これをきっかけに、救急医療および救急業務に対して理解を深めていただければと思います。

足立  今日の話を聞いて印象に残ったのは、「#7119」と「Q助」です。
どちらも知らなかったので、今日、知れて良かったなと思いました。
「#7119」は、急な病気やケガをしたとき、救急車を呼んだほうが良いか判断に迷ったときに利用していただきたい電話相談窓口ですが、「#7119」がまだつながらない地域もあるということなので、「Q助」ならスマホアプリからでも利用できますし、誰でも簡単にできるんじゃないかなと思いました。救急車を呼ぼうか迷ったときは、「#7119」と「Q助」を利用していただきたいなと思いました。

青木  私は今日の話を聞いて、心肺蘇生の大切さについて改めて感じました。
ですので、応急手当講習を機会があれば、なるべく受けたいなと思いました。
実際に、そういった場に遭遇したときに、少しでも早く自分の身体を動かすためには備えておかないといけない、講習を受けておいたほうが良いと思うので、学校や職場、身近な消防署などが開催する応急手当講習を皆さんにも受けていただきたいと思います。


【 関連リンク 】
・救急車利用マニュアル / 総務省消防庁
 https://www.fdma.go.jp/publication/portal/post2.html

・救急安心センター事業(♯7119)をもっと詳しく! / 総務省消防庁
 https://www.fdma.go.jp/mission/enrichment/appropriate/appropriate007.html

・全国版救急受診アプリ(愛称「Q助」) / 総務省消防庁
 https://www.fdma.go.jp/mission/enrichment/appropriate/appropriate003.html