暮らしに役立つ情報や気になるトピックを深掘りしていく番組「青木源太・足立梨花 Sunday Collection」。
番組パーソナリティの青木源太と足立梨花が、毎回、専門家をゲストに招きトークを繰り広げ、
印象に残った“推し”をコレクションしていきます。
暮らしに役立つ情報や気になるトピックを深掘りしていく番組「青木源太・足立梨花 Sunday Collection」。番組パーソナリティの青木源太と足立梨花が、毎回、専門家をゲストに招きトークを繰り広げ、印象に残った“推し”をコレクションしていきます。
私は大丈夫!と思っていませんか?
マルチ商法は、身近な場所から、思いもよらぬ方法であなたを狙っています。
だまされない、契約しないために私たちが気を付けることとは?
今回は、「気をつけて! 身近なところにマルチ商法」というテーマで深掘りしました。
青木 マルチ商法とは、商品やサービスを契約して、次は自分が新しい会員を勧誘して、紹介料や成功報酬といった利益を得るという商法です。
ピラミッド式にネットワークを拡大していくのが特徴で、「ネットワークビジネス」とも呼ばれますが、法律上は「連鎖販売取引」と言います。
足立 「新しい会員を加入させれば、簡単にもうけられますよ」なんて言って誘うんですよね。
青木 マルチ商法では、「新しい会員を勧誘して入会させたら紹介料などの利益が得られる」などと言って勧誘し、その利益を得るための条件として、高額な入会金の支払いや商品の購入などをさせることが多いんです。
「簡単にもうかる」と甘い言葉で誘うけれど、実際、利益が得られることが保証されている訳でもなく、借金が残る人もいる。
自分が勧誘したり、販売することで、身近な人にも借金をさせてしまうなど、非常にトラブルが生じやすい取引形態です。
足立さんは誘われた経験、ありますか?
足立 私はないですね。周りでも、勧誘されたと聞いたことがないんです。
青木 番組スタッフの中には、勧誘を受けた経験がある人が思いのほか多くいたんです。
足立 それだけ身近にあるってことですね。
実際、マルチ商法のトラブルに巻き込まれている人はどれくらいいるんですか?
青木 国民生活センターがまとめたマルチ商法に関する相談件数は、2022年度はおよそ6,800件ですが、これはあくまでも相談件数なので、実際にはもっと多くの方がトラブルに巻き込まれているはずです。
年齢別でみると、最も多いのは20代。続いて70代以上、50代です。
足立 やっぱり20代は社会経験が乏しいこともあって、安易に誘いに乗ってしまうのかなと思ってしまいます。
青木 やはり、こうしたマルチ商法のトラブルに巻き込まれないためには、多くの事例から注意するべきポイントを知っておくことが大切です。
そこで、ここからは消費者庁 取引対策課の川崎豊さんと一緒に深掘りしていきましょう。
足立 川崎さん、ひと口にマルチ商法と言っても、いろいろなケースがあると思いますが、最近はどんな商品やサービスの話を持ちかけられることが多いんですか?
川崎 マルチ商法に関して、2022年度に最も多かった相談は「健康食品」を対象としたものでした。その次に多い順から、「化粧品」、「内職・副業などの誘い」、「ファンド型投資商品」などです。
近年の特徴としては、「投資用のUSBメモリ」「FX投資用の自動売買ソフト」、こういった情報商材を高額な値段で購入させる手口や、暗号資産や海外事業などへの投資を契約させられるケースも目立っています。
青木 投資用の商品の場合、「システムにAIが入っているから簡単に稼げる」などと言って信じ込ませるケースがあります。最近はAIが飛躍的に進化していることが話題になっているので、「AIが搭載されているなら」ともうけ話を信じてしまうようです。でも、実際にあった携帯用のUSBメモリを使ったマルチ商法のケースでは、AIは搭載されていませんでした。
足立 やっぱり、そうですよね。こうやって話を聞くと、マルチ商法だと思うんですが、その時は、分からないのかな。
青木 そうですね。ここで、一つ事例をご紹介します。
高校の先輩から「もうけ話がある」と誘われ、一緒に事業者の営業担当者とWeb会議をした。投資で稼ぐ話で、よく理解できなかったが、誰かを勧誘すれば報酬がもらえるネットワークビジネスで、登録には50万円が必要とのことだった。
「お金がない」と言うと、「借金してもすぐに返済できる」と言われ、先輩の指示で消費者金融の無人機に偽の勤務先や年収などを入力し、50万円の借金をして、その場で手渡し契約をした。
その後、投資では稼げず、借金の返済も苦しくなってしまった。というケースです。
川崎さん、この事例の中に、いくつかの注意ポイントがあるんですよね。
川崎 はい。まず、「高校の先輩から誘われる」という点です。
マルチ商法は友人や知人から誘われるケースが非常に多く見られます。
「もうけ話がある」「すごく稼いでいる人がいる。話だけでも聞いてみない?」などと投資に興味を持たせる会話で誘い出すんです。
足立 友人や知人からの誘いなら大丈夫かなと思っちゃう部分はありますよね。
警戒レベルが下がるといいますか。
それに、興味がなくても、断りづらい気持ちも出てきますしね。
青木 今ご紹介した事例の場合、営業担当者と会ったのはWeb会議でしたが、マルチ商法への勧誘は、実際にはカフェなどで会うケースも多いといいます。
また、例えば、番組スタッフが勧誘を受けた際に営業担当者と合った場所は、タワーマンションの共用スペースだったそうです。
足立 カフェなどなら、周りにたくさん人もいるし、警戒心も緩んで「大丈夫だろう」と安心するので、その緩みにつけこまれるのかもしれませんし、あと、タワーマンションの場合だったら、「私もこんなタワマンに住めるほどもうかっちゃう」なんて錯覚しちゃいそうですね。いろいろなパターンがあるんだなと思いました。
青木 そうなんです。営業担当者が高級腕時計や豪華なアクセサリーを着けて羽振りが良い様子だと惑わされてしまうこともあるようですし、営業担当者の事務所や住居など密室になる場所に訪問してしまうと、マルチ商法だと気づいても、心理的にアウェイな状況となり、早く帰りたい一心で契約してしまうケースもあるようです。
川崎 ですから、「もうけ話がある」「高収入の副業がある」などと誘われたら、たとえ、友人、知人からの誘いでも、誘われたそのときにきっぱりと断ることが大切なんです。実際に営業担当者に会ってしまったら、ますます断りづらくなり、トラブルに巻き込まれてしまいます。
足立 この事例の場合、借金までしていますよね。
青木 そこも注目ポイントです。
マルチ商法では、まず高額な商品を買わせたり、登録料などを支払わせます。
「お金がない」と断っても、「借金は投資の利益ですぐに返せる」「アルバイトで月15万円を稼いでいると嘘をつけば、お金は借りられる」などと言われると、「すぐに返せるならいいか」という気にさせられてしまうんです。
足立 世の中にそんなにうまい話あるのか?と思っちゃいますが、友人や知人に「もうけ話がある」と誘われたら要注意ですね。
青木 ところが、足立さん、最近のマルチ商法の勧誘は、「もうけ話がある」と誘い出されるケースだけではないんです。
足立 川崎さん、最近、苦情が増えているマルチ商法の勧誘手口って、どういうものなんですか?
川崎 はい。最近は「SNS」や「マッチングアプリ」、こうしたものが、勧誘の入り口になっているケースが目立っています。
青木 例えば、出会いを求めて「マッチングアプリ」を利用し、実際に相手と会ってみたところ、株の勉強会に誘われたので、行ってみたらマルチ商法の勧誘だった、というケースです。
マッチングアプリは真剣な出会いの場として存在感を高めている一方、中にはマルチ商法に勧誘する相手を探している人も紛れ込んでいるということです。
川崎 また、最近は「食事会」や「社会人サークル」が勧誘の入り口になるケースもあります。
青木 知人から「今度、仲間内で食事会するからおいでよ」と誘われたので、異業種交流会くらいのつもりで参加したらマルチ商法の勧誘だった。
「仲間を集めてフットサルやってるから、サッカーが好きならおいでよ」と誘われ、何度か参加しているうちにマルチ商法に誘われた、このようなケースもあるんです。
足立 「もうけ話がある」と直球で誘われるんじゃないんですね。
川崎 そうですね。会った際にすぐマルチ商法の話が出る場合もあるようですが、徐々に距離を詰めて、タイミングを見計らって誘うパターンもあるようです。
ですからSNSやマッチングアプリ、食事会や社会人サークルなどを通じて知り合った人から、イベントやビジネスなどに誘われた場合は、その内容に注意してください。
なお、例えばしつこく勧誘を続けること、確実に利益が得られると誤解させて勧誘することは特定商取引法に違反します。
足立 SNSやマッチングアプリの登場で出会いのバリエーションが増えましたけど、世の中にはそれを悪用する人がいることを知っておくことも必要ですね。
昔からよく知る友人や知人からの誘いであっても、「もうけ話」や「高収入の副業」などの話が出たら、きっぱりと断わらなければいけませんね。
青木 「きっぱりと」というのが大事ですね。
前半でご紹介した事例のように、「借金をして契約したけれど、結局、投資ではもうからず、借金が返せない」となると、今度は友人や知人を紹介して報酬をもらい、借金の返済に当てようと考えますよね。
このようにして悪質な取引は連鎖していくんです。
足立 はじめは被害者だったのに、加害者になってしまう場合もあるということですね。
これまで大切に築いてきた人間関係も、一気に壊れてしまいそうです。
ただ、やはり友人や知人、ましてや恩人などから誘われたら断りづらいですよね。
川崎 そうですね。ただ、断り切れずに契約をしてしまっても、クーリング・オフができます。
法律上、マルチ商法は契約書面を受け取った日から20日以内であれば、原則として無条件で契約解除ができることになっています。
青木 ここで、もう一つ注意ポイントです。
契約書に「クーリング・オフできない」と書いてあったり、クーリング・オフ期間を過ぎているように見えても、契約を解除できる場合もあるんですよね、川崎さん。
川崎 そうなんです。ただ、クーリング・オフの対象となる・ならないの判断に困る場合もあると思いますので、困った時は一人で悩まず、まずは『消費者ホットライン』にご相談ください。身近な消費生活センターや消費生活相談窓口をご案内します。
青木 足立さん、消費者ホットラインの電話番号、もちろん、覚えていますよね?
足立 もちろんです!
消費者ホットラインは局番なしの「188」。
「いやや!」と覚えるんですよね。
青木 その通りです! 「マルチ商法に引っ掛かってしまったなんて恥ずかしい」「契約したのは自分だから仕方ない」などの理由から、相談をためらう方もいるようですが、詳しい人に相談すれば、いろいろな解決策が見付かるものです。
重要なポイントは、問題がこじれたり、被害が大きくなる前に、早め早めに相談することなんですよね。
川崎 マルチ商法の勧誘は身近な所で行われています。
「確実にもうかる」「高収入の副業がある」などの誘いはきっぱりと断ってください。
もし、高額な契約をするときは周りの人に相談してください。
そして困った時は消費者ホットライン、局番なし、「いやや!」の「188」です!
お早めにお電話ください。
ところで足立さん、確実に収入が増える新しいサイドビジネスに御興味お持ちでしたら、御紹介したいのですがいかがでしょうか。
足立 関心がないので必要ありません!
川崎さん、さっそくきましたね。きっぱりと断ること、ちゃんとできました。
川崎 足立さん、ありがとうございます。その通りです!
先ほども申し上げた通り、誘われたときに、その場できっぱりと断ることが大切なんです。
皆さん、くれぐれもお気を付けください。
足立 今日の話を聞いて印象に残ったのは、たとえ友人、知人からの誘いでも、誘われたそのときに、きっぱりと断ることが大切なので、ちゃんと心の中に持っておきたいと思いました。やっぱり、断りづらいことはあると思うんですが、ダメなことはダメ。断ることは大事だなと思いました。
青木 私は、最近のマルチ商法は「SNS」や「マッチングアプリ」などが、勧誘の入り口になっているケースが目立っているということが印象に残りました。
「もうけ話がある」と直球で誘われるケースだけでなく、全く別の目的、別名目での集まりが、やがてマルチ商法の勧誘に繋がることがある事を心に留めておきたいですね。
【 関連リンク 】
・特定商取引法ガイド / 消費者庁
https://www.no-trouble.caa.go.jp/
・消費者ホットライン / 消費者庁
https://www.caa.go.jp/policies/policy/local_cooperation/local_consumer_administration/hotline/