暮らしに役立つ情報や気になるトピックを深掘りしていく番組「青木源太・足立梨花 Sunday Collection」。
番組パーソナリティの青木源太と足立梨花が、毎回、専門家をゲストに招きトークを繰り広げ、
印象に残った“推し”をコレクションしていきます。
暮らしに役立つ情報や気になるトピックを深掘りしていく番組「青木源太・足立梨花 Sunday Collection」。番組パーソナリティの青木源太と足立梨花が、毎回、専門家をゲストに招きトークを繰り広げ、印象に残った“推し”をコレクションしていきます。
フリーランスとして働く方はもちろん、発注事業者にとっても知っておいてほしい新しい法律が公布されました。
今回は、「安心して働ける社会に! フリーランス新法」というテーマで深掘りしました。
青木 特定の企業や組織に属さず働く人のことを「フリーランス」と言います。
足立さんの周りにもフリーランスで働く方、多いんじゃないですか?
足立 そうですね。スタイリストさんや、ヘアメイクさん、雑誌のライターさんとか、結構、私の周りにはフリーランスの方は、多いと思います。
青木 最近は、個人の働き方が多様化していることもあり、多くの業界、職種においても、フリーランスで働く方が多くなっているんです。
例えば、トラック運転手や宅配の運転手など配送関係、また、建設関係では「一人親方」ともよく呼ばれますし、他にもプログラマーなどシステム開発関係、講師、インストラクター、営業職などなど、挙げればきりがありません。
足立 日本には、フリーランスで働く方がどれくらいいるんですか?
青木 内閣官房が2020年に行った調査によると、462万人だそうです。
ただ、一口にフリーランスと言っても、本業がフリーランスの方だけでなく、最近はフリーランスで副業をする方も増えており、明確な数を把握するのは難しいですが、全ての働く人のうち、およそ5パーセントが、本業及び副業フリーランスという調査結果もあります。
足立さんは、フリーランスと聞くと、どんなイメージがありますか?
足立 自由に仕事をされていて、責任も自分で取るので、かっこいいイメージがあります。
青木 フリーランスは自分の仕事のスタイルで働けて、働く時間や場所も制約が少なくて、何より、自分の能力や資格を生かせる働き方ができる、そんなイメージですよね。
ただ、一方で、フリーランスは組織に属さず個人で仕事をする人ですし、仕事の発注者、つまり、契約先が会社組織の事業者である場合など、「個人」対「組織」となると、一般的に、個人であるフリーランスは弱い立場に置かれることが多く、トラブルも少なくないんです。
足立 確かに言われてみると、「個人」対「組織」となると、対等な立場で話すことが難しいような気がしますね。だから、いろいろなトラブルが想像できますよね。
例えば、発注側から、急に仕事を打ち切られたり、報酬を値切られたり。
青木 調査によると、取引先の事業者とトラブルを経験したことのあるフリーランスは、およそ4割もいるとのことです。
そこで、フリーランスの方を守るための法律、フリーランス新法が、今年5月に公布されたんです。
ここからは、厚生労働省 雇用環境・均等局 総務課 雇用環境政策室、堀 泰雄さんと一緒に深掘りしていきます。
足立 堀さん、フリーランス新法について、もう少し詳しく教えてください。
堀 はい。フリーランス新法は、「特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律」のことで、「特定受託事業者」が、いわゆるフリーランスのことを指します。
今年5月12日に公布され、来年秋頃までに施行される予定、つまり、実際に運用がスタートする予定です。
これまでは、企業など特定の組織に雇用されて働く「労働者」を守る法律はありましたが、フリーランスは「労働者」には当てはまらず、法的な保護が不十分でした。
今回、この法律は、フリーランスの方が安心して働ける環境を整備することを目的としたものであり、これまでにない新しい法律として成立しました。
青木 先ほど、足立さんが、急に仕事を打ち切られたり、報酬を減額されたり、と言ってましたけど、今回の法律では、そういったことも含めて、フリーランスを守るための様々な環境整備などが盛り込まれているんです。
足立 もっと、いろいろあるんですね! 是非、知りたいです!
青木 では、早速、フリーランス新法では、どんなことが定められているのか、基本的なことからご紹介していきましょう。
まずは「取引条件の書面またはメール等による明示義務」です。
足立 これは、何のことを言ってるんですか?
堀 はい。事業者がフリーランスに対して業務委託をした場合は、業務の内容や報酬の額などを、書面またはメールなどにより、あらかじめ明示することが義務付けられます。
足立 口約束だけではダメってことですね。確かに、後でトラブルにならないように、しっかり確認できる形で納得の上で仕事が始められれば、お互い安心ですよね。
青木 続いて「期日における報酬の支払義務」。堀さん、こちらも義務化ですね。
堀 はい。これまで発注事業者の支払が遅かったり、契約で定められた日までに報酬が支払われないなどのトラブルが多く発生していたことから、発注事業者は、原則として業務が完了してから60日以内の支払期日を設定し、その日までに報酬を支払うことが義務付けられます。
足立 支払は早ければ早いに越したことはないですし、それに支払の期日についての法律があれば、期日を守る意識が高くなるでしょうから、支払が遅れることも減りそうですよね。
青木 続いては「禁止行為」です。
発注事業者がフリーランスに対して、一定期間継続する業務委託をした場合、次の七つの行為が禁止されます。
では順番にいきます。まずは三つ。
フリーランス側に責任がないのに「出来上がったものの受け取りを拒否すること」、「一方的に報酬を減額すること」、「返品すること」。
そして、次に二つ。
「通常の相場に比べて著しく低い報酬額を一方的に定めること」、また、「正当な理由なく、発注事業者側の指定する物の購入やサービスの利用を強制すること」。
足立 「正当な理由なく、発注事業者側の指定する物の購入やサービスの利用を強制」というのは、例えば、契約することや、契約継続を盾にされながら、発注事業者側から自社製品の購入を持ち掛けられたりすることですよね。これを買えば契約してもらえるならば、とか、買わなければ契約打ち切りにされるかも、と怖くなって泣く泣く言われたとおりにしてしまう、ということがあったということですよね。
青木 そうですね。そこで出費が発生すると、実質、報酬が低いのと同じですからね。
では、残り二つ。
「発注事業者側に金銭やサービス等を提供させることによって、フリーランスの利益を不当に損ねること」、これは例えば、倉庫への荷物の運搬のみを依頼していたフリーランスに対して、ついでに倉庫の整理までさせることなどです。
これも足立さんがお話したようなもので、フリーランスとして断りづらい状況で起こりそうですよね。そして、「フリーランス側に責任がないのに業務内容を変更したり、やり直しさせたりすることによって、フリーランスの利益を不当に損ねること」。以上の七つです。
足立 こうやって見てみると、今まで法律では決められていなかったのが不思議で、トラブルの元になりそうなものばかりですね。でも、法律でこうした行為が禁止であることを明確にしてもらえれば、これまで立場が弱いために泣き寝入りしていたフリーランスの方も、声を挙げやすくなると思います。
堀 そうですね。また、フリーランスの方に業務委託をされる発注事業者の方は、こうした点を改めて確認していただければと思います。
青木 続いては、フリーランス新法、働く環境整備に関するルールについてです。
まずは「募集情報を的確に表示」です。
足立 堀さん、これはどういったことですか?
堀 WEBなどに業務委託の募集情報を出すときは、虚偽の表示や、誤解を生じさせるような表示をしてはならないこと、また、正確かつ最新の内容に保たなければならないことが義務付けられます。
足立 これまでは、募集内容と実際の条件が違うためにトラブルになることも多かったというわけですね。でも、これで安心ですね。
青木 続いて「育児・介護等への配慮」です。
堀 フリーランスの方が育児や介護などと両立して業務を行えるように、発注する事業者側は、フリーランスの方からの申し出に応じて必要な配慮をすることが求められます。
なお、具体的にどのような配慮が求められるのかについては、今後、分かりやすくお示しすることとしています。
青木 足立さんだとしたら、どんな配慮をしてもらいたいと思いますか?
足立 良い例えになるか分かりませんが、育児や介護が理由でスケジュール調整が大変になったからと言って、事務所が、私に何の相談もなくレギュラー番組を他の人に変えちゃったりしたら嫌だなと思います。
そういうときこそ、私の要望も取り入れつつ仕事をさせてもらえたらなって思いますね。
青木 発注事業者側、フリーランス側、双方が要望を伝え合って、コミュニケーションを深めることで、お互い納得のいく仕事環境が整えられれば良いですよね。
では、フリーランス新法、続いては「ハラスメント対策」です。
堀 まずは背景ですが、企業に勤める正社員や契約社員などの「労働者」に対するパワーハラスメントやセクシュアルハラスメントなどについては、現在、法律でその防止措置を講じることが全事業者に義務付けられています。
これにより相談窓口などが企業に設けられることになっているのですが、こうした防止措置はフリーランスの方については対象となっていませんでした。
足立 そうだったのですね。フリーランスの方は、泣き寝入りしていたこともたくさんあったということですね。それが、新しい法律ではどうなるんですか?
堀 今回のフリーランス新法では、フリーランスがハラスメントにより働きにくくならないよう、発注事業者に、フリーランスからの相談に適切に対応するための体制を整備することなどが義務付けられます。
足立 フリーランスの方も一人で悩まずに相談できるということですね。
こうしたことが法律によって義務化されれば、抑止力になると思いますし、とても安心できると思いました!
青木 最後は「解除の予告義務」です。堀さん、お願いします。
堀 はい。これは、フリーランスに一定期間継続的に業務委託をしている場合に、その契約を途中で解除しようとするときは、原則として、その30日前までに予告しなければならないことになります。
足立 突然、「契約打ち切りね!」なんてことはできないということですね。
こうしてお話を伺っていると、今までフリーランスで働く方は、本当に大変だったんだなと思いました。
青木 こういう法律ができるということは、そういうことがあったという事ですからね。
足立 そういうことですよね。今回、この法律ができることによって、事前に、様々なトラブルを回避することができそうだなと思いましたし、良いことだと思ったんですが、ただ、法律の施行はまだ先、来年の秋頃までに、というお話でしたよね。今、正にトラブルが起きてしまって、困っている方もいるんじゃないかと思うのですが、そういう場合はどうしたらいいですか?
堀 そうですね、もし今、契約や取引に関するトラブルを抱えてしまったり、悩んでいたりするフリーランスの方は、是非、「フリーランス・トラブル110番」を利用していただきたいと思います。
足立 「フリーランス・トラブル110番」?
そういった相談窓口があるんですか?
堀 はい。「フリーランス・トラブル110番」は、フリーランスと発注事業者等との契約や取引上のトラブルに関して、弁護士が無料で相談に乗ってくれるサポート窓口です。
青木 弁護士さんに相談することで解決できる問題はたくさんあるそうで、相談内容によっては、対面やWEB相談もできて一緒に解決策を見付けてくれます。
堀 場合によっては、「和解あっせん」と言って、弁護士さんが、発注事業者側、フリーランス側、両方の話を聞いて利害関係を調整したり、解決案を提示したりすることで和解を目指す手続きをすることもできます。トラブルが発生したら、まずは電話かメールで相談してみてください。インターネットで、「フリーランス・トラブル110番」で検索すると、すぐに出てきますので、そちらのページの案内をご確認いただければと思います。
足立 フリーランスの「駆け込み寺」みたいな感じですかね。
ちなみに、どんな相談が多く寄せられているんですか?
青木 「報酬の支払」や「契約内容」についての相談がおよそ5割で、配送関係、システム開発関係、デザイン関係の方々からの相談が比較的多く寄せられています。
足立 こうした窓口があることを、多くのフリーランスの方に知っておいていただきたいですが、まずはトラブルが発生しないように、ですよね。
堀 はい。フリーランス新法が公布され、来年秋頃までには施行される予定です。
フリーランス新法は、フリーランスの皆さんが安心して働ける環境を整備するために設けられた新しい法律です。発注事業者、そしてフリーランスの皆さんに、よく理解していただき、生き生きと働ける社会を目指していきましょう。
足立 今日の話を聞いて印象に残ったのは、「フリーランス新法」は多くの方に知ってほしいと思いましたし、今年5月12日に公布され、来年秋頃までに施行される予定なので、この法律を皆が理解するのが大事なのかなと思いました。
青木 私が印象に残ったのは「フリーランス・トラブル110番」です。そういった相談窓口があるということで、フリーランスと発注事業者等の契約や取引上のトラブルに関して弁護士が無料で相談に乗ってくれるというのは心強いですね。
【 関連リンク 】
・フリーランス・トラブル110番 / 第二東京弁護士会
https://freelance110.jp/
・フリーランスとして業務を行う方・フリーランスの方に業務を委託する事業者の方等へ / 厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyoukintou/zaitaku/index_00002.html