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暮らしに役立つ情報や気になるトピックを深掘りしていく番組「青木源太・足立梨花 Sunday Collection」。
番組パーソナリティの青木源太と足立梨花が、毎回、専門家をゲストに招きトークを繰り広げ、
印象に残った“推し”をコレクションしていきます。

青木源太・足立梨花 Sunday Collection

暮らしに役立つ情報や気になるトピックを深掘りしていく番組「青木源太・足立梨花 Sunday Collection」。番組パーソナリティの青木源太と足立梨花が、毎回、専門家をゲストに招きトークを繰り広げ、印象に残った“推し”をコレクションしていきます。

2023.05.28

続・農泊の世界 〜ディスカバー農山漁村(むら)の宝編〜



旅をする人、受け入れる側、それぞれにとって、うれしい農泊。
今回は、「続・農泊の世界 〜ディスカバー農山漁村(むら)の宝編〜」というテーマで深掘りしました。


青木  早速、足立さん! 農業の「農」に宿泊の「泊」と書いて「農泊」と言いますが、これは一体、どのような旅のスタイルでしょうか?
昨年の2月にサンコレで深掘りしましたよね。

足立  もちろん、覚えています!
農泊というと「農家のお家に宿泊して農業体験をして、収穫した野菜を食べる観光」と思われがちですが、それだけが農泊じゃないんですよね。
農泊は、農村だけでなく、山村、漁村地域も含め、それらの地域に宿泊して、地域ならではの食事や体験を楽しむ旅のことです。
最近は、古民家を改修した快適な宿が増えていたり、サイクリングやトレッキングで自然や景観を楽しんだりなど、サステナブルな社会が求められている中で、より注目が集まっている旅のスタイルですよね。

青木  足立さん、しっかり覚えていますね!
農泊を提供する日本の農山漁村は近年、少子高齢化による過疎化が進んでいて、それに伴う様々な問題を抱えています。
そこで、地元の美しい自然や伝統文化を活かして観光客を呼び込み、都市と農村の交流を通じて地域を活性化しようというのが狙いです。

足立  この地方が抱える課題ですが、少し前も、デジタル技術を活用した地方活性化の取組でも触れましたよね。

青木  そうですよね。この農泊も、そういった地方が抱える課題解決の手段の一つで、取組事例を調べてみたところ、農泊でもデジタル技術を活用した利便性向上の取組がありました。様々な取組が重なり合って、地方活性化につながっていくと素晴らしいことですよね。

足立  確かに、農泊も地方活性化につながりますよね。解決すべき課題が同じであれば、いろいろな地域活性化策が一体的に進むと良いですね。

青木  少し話が逸れてしまいましたが、こうした農泊の取組には農林水産省も様々なサポートをしていまして、そのうちの一つが、今日のサブタイトルにもなっている「ディスカバー農山漁村(むら)の宝」なんです!
農山漁村と書いて「むら」と読みます。

足立  どんなサポートをしているんですか?

青木  ここからはスペシャリストと一緒に深掘りしていきましょう!
農林水産省 農村振興局 農村政策部 都市農村交流課長 影山義人さんです。

足立  影山さん! 「ディスカバー農山漁村(むら)の宝」について、どういった取組なのか教えてください。

影山  「ディスカバー農山漁村(むら)の宝」とは、農林水産省と内閣官房が取り組んでいる表彰事業です。
「強い農林水産業」と「美しく活力ある農山漁村」。
「それってコレ!」といった農山漁村の魅力満載の優良事例を選定して、全国に発信する取組なんです。

足立  具体的には、どのような優良事例が選定されたんですか?

影山  昨年グランプリは、「株式会社沖縄UKAMI養蚕」が受賞したんですが、野生の蛾の「まゆ」からスキンケア商品を作って、海外進出するブランドに成長しています。
また、耕作されていない農地を活用して、その餌を作ったり、廃校を使って、障害を持つ方々と一緒に作業するなど、地域の資源と人材をフルに活用したことも大きく評価されました。

青木  毎年、他の地域の参考となるような優れた地域活性化の取組を募集して、その中から選定が行われ、特に優れたものにグランプリや優秀賞、特別賞などの表彰も行われます。
影山さん、選定されると、なんと内閣総理大臣と会えるんですよね!

影山  新型コロナウイルスの感染が拡大していた2020年を除いて、毎年、選定地区の代表者の方々を総理官邸にお招きしています。
昨年は内閣総理大臣だけでなく、官房長官、農林水産大臣から直接激励を受けて、記念撮影も行いました。

足立  こうやって評価されると日頃の活動の励みにもなりますし、いろいろなメディアも参加されるでしょうから、取組のPRにもなりますよね。

青木  昨年度の「ディスカバー農山漁村(むら)の宝」は9回目で、616件の応募から約30地域が選定されており、そのうち農泊に取り組む地域は6つ選定されています。

足立  どんな事例だったんですか?

青木  実は、6つあるうちの一つが、昨年、この番組でも取り上げた、京都府与謝郡伊根町の舟屋をリノベーションした宿を活用した事例なんです。
足立さん、覚えていますか?

足立  覚えてますよ! 青木さんが以前から行ってみたかった場所だったので、記憶に残っています!

青木  そうなんです! 熱く語った場所なんです。
舟屋とは一階部分が海で船置き場になっていて、二階部分が住居スペースになっている建造物です。
伊根湾には、この舟屋が周囲5キロメートルに渡って230軒あるんですけど、この伊根浦地区農泊推進地区協議会では、その舟屋を宿泊施設として活用することを進めるために、地域に食事施設を整備して、宿泊と食事を別施設で提供するシステムを構築したんです。

足立  写真を見ると、ずらっと並んでいる景色も綺麗ですよね。

青木  行きたくなりますよね。
また、町や水産関係者など地域全体で農泊を推進し、その結果、地域内の宿泊施設の売上が5年で1.5倍ほど増加したんです。

足立  そうしたことが評価されて「ディスカバー農山漁村(むら)の宝」に選定されたんですね。

青木  それだけ魅力的で、「行きたい!」という人が多いということですよね。

足立  あれから、行きました?

青木  私はまだ、行けてないんです。

足立  これは、もう予約が取れないかもしれませんよ。

青木  人気の観光スポットになりますもんね。
ただ、「ディスカバー農山漁村(むら)の宝」に選定されている農泊の取組は伊根町だけじゃないですからね、影山さん!

影山  はい。選定された農泊の取組は現在までに全部で22もあるんです!

青木  そこで、ここからは、外国人観光客からも大人気の、意外な場所とリモートでつながります!

足立  影山さん、早速ですが、「ディスカバー農山漁村(むら)の宝」に選定されている、外国人観光客からも人気の意外な場所、教えてください!

影山  はい。京都府南丹市美山町です。
こちらの地域の農泊の取組が、第4回と第7回の「ディスカバー農山漁村(むら)の宝」で選定されました。

足立  2回も!?
でも、京都が外国の方に人気というのは、意外な感じはしないですが?

青木  そう思いますよね。でも、京都と言いますと神社仏閣巡りがイメージされがちですが、この美山町は京都市内から車で80分ほどで、おとぎ話に出てくるような里山の風景や文化が満喫できると人気なんです。
早速、お話を伺っていきましょう!
一般社団法人南丹市美山観光まちづくり協会 事務局長の高御堂和華さんと、今日はリモートで繋がっています。

足立  早速ですが、美山町ではどんな農泊が楽しめるんですか?

高御堂 美山町には、約40棟の茅葺き屋根が残っていて、日本の原風景が見られる場所で知られているんですけれども、美山町では、茅葺き民家の一棟貸しの宿に泊まることができるんです。
あとは、地域の方々と一緒に時間を過ごしていただいて、農山村の体験ができるような農家民宿という宿泊スタイルも人気ですね。

青木  畑を触りながら、「自然を満喫しながら」という宿泊体験なんですね!

足立  食事はどんなものがいただけるんですか?

高御堂 美山町の有名な料理は、シカ肉を活用したジビエ料理が女性の方を中心に人気です。余り馴染みがないかもしれませんが、しっかりと処理されたジビエは、臭味もなく非常においしいんです。低カロリーで高タンパクなので、非常に女性の方にお勧めの料理です。

足立  青木さん、低カロリー・高タンパクというワード、好きですよね。

青木  良いですね!
低カロリー・高タンパクと言えば、鶏肉もですよね。

高御堂 そうですね! もう一つ、「京地どり」というブランドの鶏肉がありまして、美山町では、すき焼きというと、地鶏のすき焼きが一般的なんです。

足立  聞いたことないですね。

高御堂 地鶏料理を、囲炉裏を囲んで食べるというのが、すごく良い経験かなと思います。

足立  すき焼きもそうですが、囲炉裏があると、櫛に刺した魚を並べたくなりますね。

青木  山村ですが、魚もあるんですか?

高御堂 美山町には由良川という一級河川が流れているんですが、そこで獲れる鮎料理も非常に夏は人気のメニューです。

青木  鮎は、いつ解禁なんですか?

高御堂 5月27日に解禁となりまして、鮎の塩焼きや、刺身で食べたりもします。

足立  鮎の刺身って、イメージないですね。

青木  そうですね。それも、地元ならではということですよね。
そこに足を運んでいるからこそ!ということですね。

足立  観光客の皆さんは、どのようにして美山町を楽しんでいるんですか?

高御堂 「かやぶきの里」の見学はもちろんですが、それに加えて、実際に茅葺職人直伝の茅葺き体験もできたりします。

足立  茅葺き体験って、どんなことをするのか、気になります。

高御堂 実際に、茅葺職人が使っている道具を使いながら、屋根の一部を葺く体験が美山町ではできます。

足立  なかなかできない体験ですよね。

青木  普段は、眺めたり、写真を撮ったりするだけだったりしますが、そこに泊まれたり、茅葺き体験までできるんですね。
高御堂さん、美山町は自然も豊かですよね。

高御堂 そうですね。美山町の東部には、「芦生の森」という京都大学の研究林が広がっていて、そこでは地元のガイドが付いた「ネイチャーガイドトレッキング」も人気です。

足立  自然をいろいろと見ることができるんですね。

青木  そうですね。それに、ネイチャーガイドが付くと、樹木の種類など、いろんなことを教えてもらえるじゃないですか。

足立  ただ歩いているだけだと見逃してしまうところも、教えてくれるので良いですね!

青木  歴史とかにも触れることができて良いですよね。

足立  山もあって、川もあるので、いろんな体験ができそうですね。

青木  川ではどんなアクティビティがあるんですか?

高御堂 はい! 川ではラフティングや沢登りのシャワークライミングなどもできて、夏の暑い時期には、冷たい川で思い切り遊んでいただけます。

青木  積極的に農泊に取り組むことにより、成果は出ていますか?

高御堂 ここ最近、コロナ禍以降、外国からのお客様も戻ってきて、特に雪の時期は台湾や香港からのお客様も徐々に増えてきました。
今年も、台湾から教育旅行で美山町に来てくれる学生さんたちがいるんですが、4月から7月までの4か月間で9校の高校生、中学生が美山町に来る予定をしています。

足立  学校の体験で、こういうのがあるって面白いですね!

青木  外国の方にとって、東京や大阪といった都市部ももちろん、魅力的だと思うんですが、日本の原風景といいますか、田舎の山や川の魅力に触れるというのは良いですよね。

高御堂 そうですね。私たち地域で暮らしている者も、街の人が美山町に来てくれて、すごく良い所に住んでいるねと声を掛けていただくことで、改めて地域の宝に気付くことができているなと、日々感じています。

青木  日本にとっても、世界にとっても宝なのかもしれないですね。
でも、自然を守ったり、古くからの建物を守ったりといった取組の苦労もあると思うんですが、いかがですか?

高御堂 そうですね。茅葺き屋根は20年くらいに一度、葺き替えをしないといけないんですが、維持していくことは非常に大変なところではありますが、観光客の方が来てくださることによって、一部協力金をいただきながら、景観を維持しているという、良い関係性が保てているかと思っています。

青木  高御堂さんのお話を聞いているだけで、私たちも行きたくなりましたね。

足立  行きたくなりましたし、食べたくなりました。
私、食に興味があるので、鮎の刺身が一番、今、食べたいです!

青木  高御堂さん、ありがとうございました!
ちなみに、今、スタジオに居る影山さんも美山町には何度も行かれているそうですね。

影山  はい。私も何度も行っているんですが、やはり、そこで暮らしている人々の暮らしを見ること、感じることが本当に、魅力なんです。その生活というのは、四季や歳月と共に変わっていくんです。つまり、いつ訪れても、その瞬間というのは、そのとき限りなんです!

青木  季節ごとの移ろいもあるから、違った魅力を見せてくれるんですね!

影山  高御堂さんのお話にもありましたが、一棟貸しの宿というのは、友人同士で訪れても良いですし、お孫さんと一緒に三世代でもゆっくりくつろぐことができます。
そして、美山町の人たちから、特別なお客様として歓迎を受けたことは、きっと、忘れられない思い出になると思います。

青木  私たちが農泊地域に滞在して、食事やアクティビティを楽しめば、様々な課題を抱えた農山漁村を応援することになりますから、農泊は私たちにとっても、農泊地域の方々にとっても、素晴らしい取組なんですよね。

影山  今、再び、「旅をして非日常を味わいたい」という気運が高まっています。
農泊は、農山漁村の自然や暮らしを楽しむことができる新しい旅のスタイルです。
農山漁村があなたを元気にし、気が付けば、あなたが農山漁村を力付けている、そんな農泊を是非、体験してください。

足立  今回、教えていただいた農泊地域が素敵すぎて、行ってみたいという気持ちになりました。それに、「ディスカバー農山漁村(むら)の宝」に選定されている農泊の取組は、現在までに22もあるので、まだまだ楽しみが残っている!と思いました。

青木  そうですよね! 美山町だけではなく、こういった素敵な場所が、まだまだたくさんあるという事ですからね。

足立  気になったので、調べてみようと思いました。

青木  私が今日の話の中で印象に残ったのは、私たちが食事やアクティビティを楽しめるのはもちろんなんですが、農泊として宿泊することで、様々な課題を抱えた農山漁村を応援することになるということですよね。楽しみながら、地域課題の課題を解決する一助となれば、それは良いことですよね。


【 関連リンク 】
・全国の農山漁村の体験・宿泊がさがせる、農泊ポータルサイト
 https://nohaku.net/

・ディスカバー農山漁村の宝 / 農林水産省
 https://www.discovermuranotakara.com/