暮らしに役立つ情報や気になるトピックを深掘りしていく番組「青木源太・足立梨花 Sunday Collection」。
番組パーソナリティの青木源太と足立梨花が、毎回、専門家をゲストに招きトークを繰り広げ、
印象に残った“推し”をコレクションしていきます。
暮らしに役立つ情報や気になるトピックを深掘りしていく番組「青木源太・足立梨花 Sunday Collection」。番組パーソナリティの青木源太と足立梨花が、毎回、専門家をゲストに招きトークを繰り広げ、印象に残った“推し”をコレクションしていきます。
私たちが安全にマリンレジャーを楽しむことができるように、日頃から海の安全を守ってくれている方々がいます。
今回は、大人の社会科見学企画第4弾!
「海の安全を守る! 海上保安官の世界」というテーマで深掘りしました。
青木 早速、ゲストをご紹介しましょう。
海上保安庁 総務部政務課 政策評価広報室長の中林久子さんです。
今日は制服でお越しいただきました!
足立 やっぱり制服ってかっこいいですね!
青木 海上保安庁が活躍されているのは分かりますが、具体的にどんな仕事があって、どんな方々がいるのかというのはなかなか知る機会が少ないですから、今日はたっぷりとお話を伺ってまいります。
中林さんは、これまでに「海上保安署長」「海上保安部長」を歴任されているのですが、このどちらも女性初!
後に続く女性海上保安官の星なんです。
足立 女性初! すごいですね。
でも、私の勝手なイメージですが、「海の安全を守る」というと、男性のお仕事というイメージがありますけど、女性の海上保安官は何名ぐらいいらっしゃるんですか?
中林 現在、海上保安庁には、およそ1万4000人の海上保安官がいます。
そのうち、女性はおよそ1000名、8パーセントほどです。
でも、近年は女性の活躍の場が広がり、キャリアアップについて男女の差はほとんどありません。
女性の船長もパイロットもいますし、もちろん、産休や育休制度もあり、女性が働きやすい環境づくりも進んでいます。
足立 今の時代に合わせて、変化しているのですね。
青木 今日は、そんな中林さんをお迎えして、海上保安官の世界を深掘りしてまいります。
ではここで、足立さんにクイズです!
海上保安官が救助活動などで利用する船や飛行機、ヘリコプターには、海上保安庁の所属であることを識別するために、アルファベット1文字が記されています。
さて、そのアルファベット1文字とは、何でしょうか?
足立 海、OCEANの「O」!
青木 中林さん、正解をお願いします。
中林 はい。アルファベットの「S」です。
海上保安庁の役割である「捜索・救助のSearch&Rescue」「警備のSecurity」「安全・安心のSafety」「調査のSurvey」、これらの頭文字の「S」です。
また、モットーとしている「Speed」「Smart」「Smile」、そして「Service」、これらの頭文字でもある「S」で、「S字マーク」として記されています。
青木 海上保安庁の役割は、非常に多岐に渡っているのです。
近年は特に増えていますよね。
中林 はい。皆さんご存知のように、日本は海に囲まれた海洋国家です。
貿易や漁業により恵みを得る一方で、海の事故や密輸・密漁などの海上犯罪も発生しています。
また、領土や海洋資源を巡って国家間の主権主張の場にもなっています。
青木 尖閣諸島周辺で発生する事案など、時々ニュースにもなっていますよね。
中林 皆さんに馴染みやすい表現をしますと、海は、「畑・高速道路・公園」が一緒になっている場所という言い方をします。
青木 確かにそうですね。
「畑」は漁業などで、「高速道路」は交通手段としての船、そして「公園」はマリンレジャーということですね。
中林 今、ロシアなどで話題になっている液化天然ガスや原油などを運ぶ大事な場所となっていますが、そういった場所で、人々が遊んでいたり、魚を捕っている人がいたりするのが、海の特徴だと思います。
また、こういった場所をいろんな立場の方々が安心して利用し、いろいろな意味で、恩恵を受けられるように、我々は関係の国々との連携や協力関係を常に図っているところです。
そういった意味で犯罪の取締りや先ほどお話に出た「領海警備」、後は、一丁目一番地の「海難救助」、青い海を守る活動を行っています「環境保全」、東日本大震災の後のような「災害対応」、海の底にある様々な資源や、深さを測る「海洋調査」、船舶の「航行安全」などの活動を行なっているんです。
足立 先ほど、海の自然を守るとおっしゃっていましたが、警察や消防とは違うようですけど、そういうこともされているんですか?
中林 我々、家庭からゴミを出すときにゴミ袋にお金がかかるというのは、皆さん、感じているかと思いますが、船の中でも機関室の油や船からでるゴミ、こういったゴミを処理するのにも、当然、お金がかかります。
こういった経費をごまかすために、海に捨ててしまう方々の取締りも行っています。
青木 海に不法投棄する方もいるんですね。
足立 災害対応というのは、どんなことですか?
中林 真水の供給が無くなり、人々がポリタンクを持って並んでいるシーンを見たことがあると思います。
海上保安庁の巡視船には、大きな真水のタンクがあります。
ですので、海が近い場所ですと、給水支援を行ったり、また、船は水も電気もある自己完結する空間です。
ですから、携帯電話の充電やお風呂の支援など、場所によって行っています。
青木 実際、今年の3月に東北地方で発生した地震の際も、給水支援を行なったんですよね。
足立 これだけいろいろな役割があると、お仕事の種類もたくさんありそうですね。
青木 はい、そこでここからは、多種多様な海上保安官の仕事に迫ります。
海上保安官の仕事でよく知られているのは海猿とも呼ばれる<潜水士>ですよね。
転覆や沈没した船に取り残された方を救助したり、海上で行方不明になった方を探すスペシャリストです。
足立 海猿と聞くと、ドラマや映画のイメージが浮かびますよね。
青木 <潜水士>以外にもいろいろなスペシャリストがいるんですよね?
中林 例えば、集団による海上デモやテロ警戒などに対応する<特別警備隊>や、救急救命処置ができる<救急救命士>もいますし、そのほか、<鑑識官>もいます。
足立 海上保安官の中にも鑑識官がいるんですか?
中林 はい。海の上で起こった犯罪事件の捜査現場において、証拠を採取して、分析を行います。
青木 また<試験研究官>という、警察の科学捜査研究所、いわゆる科捜研で働くスペシャリストのような業務をされる方もいるんですよね。
中林 はい。海上犯罪に係る証拠品や船から排出された疑いのある油、転覆船の航海計器、スピードがどれくらい出ていたのか、エンジンの回転数、またGPSの鑑定などを行っています。
衝突事件を例に挙げると、衝突した場合、ペンキなどの船舶の塗膜が付着します。
ただ、船は何年も使っているとペンキが何重にもなっていきます。
全ての船が同じように塗っているわけではないので、塗膜編を分析することで、船を特定することができます。
そういった証拠物などを押収して分析するとともに、ドラマでよく見るような薬物を押収した時には鑑定なども行います。
青木 また、空に航空管制官がいるように、海にも<管制官>がいます。
船が多く行き来する東京湾や大阪湾などの海域には、海上交通センターが設置されていて、24時間365日、レーダーなどを使い、船の動きを把握して、船の安全運航に必要な情報の提供や航行の管制などを行なっているんです。
ほかにも、地震や火山噴火などの防災に備えるために、海底地殻変動観測や海域火山の監視観測をする<海洋防災調査官>、船舶の航海に不可欠な海図、海の地図を最新の状態に維持するための補正図などの編集を行う<海洋情報編集官>、灯台や航路の標識などの設計を行う<建築士>。
それから、118番の受付などを行う<運用司令センターの運用官>もいます。
足立さんは118番をご存知ですか?
足立 知らないですね。
青木 警察に110番、消防に119番があるように、海上保安庁にも海の上における事件・事故の緊急通報用の電話番号があるんです。
中林 スマホの緊急番号から118番に掛けられ、通報しますと、海上保安庁につながります。
どうぞ、ご利用ください。
足立 ここまでお話を伺って、海上保安官に興味を持った方もいると思うんですけど、どうしたらなれるんですか。
中林 海上保安庁には、いくつか採用制度があります。
一つは海上保安官を養成している、海上保安大学校、海上保安学校に入学する方法です。
それぞれのコースに応じ、1年から4年9か月間の教育を受けた後に現場へ配属されます。
そのほか、海技免状などの有資格者を対象とした海上保安学校門司分校で、半年間の教育を受けた後、現場へ配属される方法もあります。
中林 海上保安庁の仕事には、今、ご紹介してきたようにいろんな仕事があります。
船の仕事はもちろんですが、陸上の仕事、外国の関係機関との連携訓練や協力関係なども行っており、外国との仕事も多いです。
青木 海外勤務などもあるんですね。
中林 はい。希望すれば、海外勤務も可能です。
是非、自分の可能性が何なのか、探してみたい、探求してみたい、それで、自分の力を日本のために生かしたいという方、是非、海上保安官の扉を叩いていただければと思います。
「海上保安官 募集」で検索いただければと思います。
一緒に日本の海を守っていきましょう!
足立 今日の話を聞いて、これからマリンレジャーをする方が増えてくる季節ですが、事故が起きてしまったり、流されてしまった、流されている人を見た場合は「118番」に電話をして海上保安庁に助けを求める。
これを知っておくのが大事だと思いました。
青木 海上保安庁の役割として一丁目一番地である人命救助、そして犯罪捜査はもちろんですが、環境保全。
青い海を守るための指導や啓発活動を行っている。
この部分が印象に残りました。
やはり、日本は海に囲まれています。
青い海を海上保安庁の方々と一緒に一人の国民として守っていきたいですね。
【 関連リンク 】
・ウォーターセーフティガイド
https://www6.kaiho.mlit.go.jp/watersafety/