暮らしに役立つ情報や気になるトピックを深掘りしていく番組「青木源太・足立梨花 Sunday Collection」。
番組パーソナリティの青木源太と足立梨花が、毎回、専門家をゲストに招きトークを繰り広げ、
印象に残った“推し”をコレクションしていきます。
暮らしに役立つ情報や気になるトピックを深掘りしていく番組「青木源太・足立梨花 Sunday Collection」。番組パーソナリティの青木源太と足立梨花が、毎回、専門家をゲストに招きトークを繰り広げ、印象に残った“推し”をコレクションしていきます。
経済的な理由で学びを諦めていませんか?
“学びたい、学び続けたい学生”と、その保護者の方に、ぜひ知っていただきたい制度があります。
今回は、「学費のエール! 新しい修学支援制度」というテーマで深掘りしました。
青木 大学、短大、高等専門学校、専門学校のことを高等教育機関といいますが、今日は、こうした高等教育機関への進学を考えている方、また、現在、在学中の方に資金面から応援する新しい制度のお話です。
足立さん、最近の高校生が大学や短大、専門学校などに進学する割合はどれくらいだと思いますか?
足立 大体の方は進学しているイメージです。
青木 およそ8割の生徒が進学するそうです。
内訳は、大学や短大への進学がおよそ6割、専門学校などがおよそ2割です。
ただし、保護者の所得が低く経済的に困難な子どもに限っては、その進学率は、ぐっと下がって、およそ4割なんだそうです。
足立 進学をしない理由は色々あると思いますが、経済的な理由で諦めてしまう子もいらっしゃるんですかね。
青木 そうですね。実際、進学するには入学金や授業料が必要になります。
私立大学に通う場合、初年度だけで平均136万円、国公立大学の場合でも平均80〜90万円ほど必要です。
しかもこれは学校に収める額ですから、保護者の元を離れて通う場合、家賃や食費などの生活費も別に必要となります。
進学させてあげたいけれど、経済的に難しいと思われている保護者も少なくないと思います。
足立 夢を諦めなければならない場合もありますよね。
そういう状況は、本人はもちろんですが、保護者の方も辛いですよね。
青木 そうですね。そこで、今日の深掘りテーマとなる【新しい修学支援制度】です。
大学、短大、高等専門学校、専門学校、これらの学校での学びを資金面で応援します。
スペシャリストに伺っていきましょう。
文部科学省 高等教育修学支援室長の片山達也さんです。
足立 片山さん、学びを資金面から応援する制度というのは、いわゆる奨学金制度のことですか?
片山 はい。奨学金制度ではあるんですが、今日、ご紹介する【新しい修学支援制度】は2020年4月からスタートしている新しい制度で、その特徴のひとつは『返す必要がない』ということなんです。
青木 足立さんは奨学金と聞くとどんなイメージですか?
足立 社会に出てから少しずつ返していかなければならないもの。
初めての借金みたいなイメージがありますね。
青木 多くの方は、この様に奨学金は将来的に返還しなければならないものというイメージを持っているかと思いますが、新しい修学支援制度の奨学金は違うんです!
片山 国の奨学金制度には、返還しなければならない【貸与型】と、返還の必要がない【給付型】があります。
新しい修学支援制度の奨学金は、返還の必要がない【給付型】で、従来のものよりも支給額が増え、支援を受けられる対象者の幅も広がっています。
また、奨学金だけでは学生生活をおくることが難しい場合もあります。
そのためこの制度では、給付型の奨学金に加えて、入学金と授業料の免除や減額もセットにして支援しています。
足立 具体的な支援額はどれくらいになるんですか?
青木 それは、大学か専門学校か、国公立か私立かなど学校の種別により変わります。
また、家族構成や世帯収入、自宅以外で暮らすかどうかなどでも変わってきます。
住民税非課税の世帯の学生で、私立大学に自宅以外から通う場合は、給付型奨学金が年額およそ91万円支給されます。
それに加えて、入学金がおよそ26万円、授業料が年額およそ70万円を上限に免除または減額されます。
足立 つまり、私立の大学に一人暮らしをして通う場合、最大で年間187万円のサポートが受けられるということですね。
これは大きな支援ですね!
ただ、こうした奨学金は成績優秀じゃないと利用できないんですか?
どんな学生が対象になるんですか?
片山 確かに学校の成績が良いにこしたことはありませんが、この制度ではやる気を重視します。
進学前に成績だけで判断せず、学びたい気持ちを面談やレポートで確認させていただき、たとえ、これまで進学を考えたことがなく、成績が振るわなかった方でも、意欲と努力次第で対象となります。
青木 学びたい!夢を叶えたい!という強い気持ちを面談やレポートで確認していきます。
片山 ただし、この制度は学びたい気持ちを応援する制度ですから、進学後、しっかりと勉強しなかった場合には支援が打ち切られます。
青木 成績や出席率が悪いと打ち切られたり、場合によっては支援金の返還が必要になることもあります。
新しい修学支援制度を利用するからには、将来、社会で自立して活躍できるように、しっかりと勉学に励むことが求められているんです。
足立 あくまでも、学びたい気持ちを応援する制度ということなんですね。
青木 新しい修学支援制度の特徴を知り、興味を持った方もいらっしゃると思いますので、ここからは素朴な疑問にお答えいただきましょう。
足立 まず、もっとも気になるのは、自身が支援を受けられるかどうか、受けられるのならどのくらいの奨学金が受けられるのかだと思うんですけど、どうなのでしょうか?
片山 支援の対象者は先ほどお話しさせていただいたように『学ぶ意欲がある学生であること』という要件のほかに、『世帯収入や資産の要件を満たしていること』という要件も満たす必要があります。
どのくらいの収入の世帯が対象となるか、どのくらいの給付型奨学金が受けられるかは、日本学生支援機構のホームページで公開されている「進学資金シミュレーター」を活用してみてください。
必要事項を入力することで進学のための資金計画が立てやすくなります。
青木 このシミュレーターは“生徒・学生の方向け”と“保護者の方向け”とあって、保護者の年収など分からない場合でも支援額の目安がわかります。
足立 親の収入が分からないという学生もいると思うので、これはいいですね。
では、実際に申込みの手続はどのようにすればいいんですか?
片山 給付型奨学金は進学する前年の4月から在学中の高校などを通じて、日本学生支援機構へ「予約採用」の申し込みをすることができます。
つまり高校3年の4月から申込みができます。
青木 また、この制度は、すでに大学などの高等教育機関に進学していて、在学中の学生も申し込めるのも大きな特長なんですよね。
片山 はい。在学中の場合は年2回、春と秋に在学中の学校を通じて日本学生支援機構に【在学採用】の申込みをしていただきます。
【予約採用】も【在学採用】も4月から募集がはじまります。
ただし、申請の締切りなどは学校によって異なりますので、まずは在学中の学校にご相談ください。
青木 現在、大学などに在学中の方の場合、この制度を知らず前年度に申し込めなかった方もいるかと思います。
また、前年度は認定を受けられなかった方も、ご自身を取り巻く環境や状況が変わり、学校に通い続けるのが難しくなりそうな場合もあるかと思います。
そのような場合にも新たに申請すれば、認定を受けられるかもしれませんから、諦めずに申請してほしいですね。
足立 コロナ禍の影響で、急に学費が払えなくなってしまう場合もあると思うんですが、その場合も、給付型奨学金に申込みができるんですか?
片山 はい。今回の新型コロナウイルス感染症などの影響で家計が急変した場合、随時申込みを受付しているので、そちらも学校の窓口などに確認してください。
青木 周りに進学を目指している学生や高校生がいたら、ぜひ、この制度を教えてあげて欲しいですね。
知ることで、人生の可能性が広がりますからね。
ところで、片山さん。
この新しい修学支援制度は高等教育機関であれば、どの学校に進学する場合でも利用できるのでしょうか?
片山 この制度の対象となっている大学と短大はおよそ98パーセント、高等専門学校は100パーセント、専門学校はおよそ75パーセントです。
進学したい学校や在学中の学校が対象かどうかは文部科学省のホームページで確認することができます。
足立 ちなみに、この4月から申請をできるのは、令和5年度に進学予定の高校3年生と、現在、大学などの高等教育機関に在学している学生ということですが、浪人生は利用できないんですか?
片山 高校を卒業して2年以内であれば、卒業した高校を通じて予約採用の申込みができます。
また高等学校卒業程度認定試験の合格者や受験申込者であっても、進学前に申し込むことができます。
足立 学びたい気持ちがあるならば、多くの子どもたちが利用できる制度なんですね。
片山 そうですね。2021年度は32万人以上の方に利用していただいています。
この制度は新しい制度で、詳しいことを知らない方も多いと思いますので、文部科学省のホームページをご覧いただければと思います。
青木 経済格差が子どもの教育格差に繋がり、やがて、格差の固定化に繋がっていくと言われていますが、この部分を是正することは、今後の日本の未来を考えるうえでもとても大事なことですよね。
足立 どんどん、利用して欲しいですね。
青木 電話相談窓口もあります。
日本学生支援機構 奨学金相談センター
電話番号は、0570-666-301です。
月曜日から金曜日、午前9時から夜8時まで対応しています。
通話料はかかりますのでご注意ください。
片山 新しい修学支援制度はみなさんの学びたい気持ちを応援する制度です。
経済的な理由で学びを諦める必要はありません。
どうぞこの制度を活用して未来を切り開いてください!
足立 今回の話を聞いて、「学びたい」気持ちを応援する制度なんだと改めて感じました。
青木 私は、返す必要のない「給付型」であることが印象に残りました。
【 関連リンク 】
・高等教育の修学支援新制度
https://www.gov-online.go.jp/tokusyu/shugaku_shien/