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暮らしに役立つ情報や気になるトピックを深掘りしていく番組「青木源太・足立梨花 Sunday Collection」。
番組パーソナリティの青木源太と足立梨花が、毎回、専門家をゲストに招きトークを繰り広げ、
印象に残った“推し”をコレクションしていきます。

青木源太・足立梨花 Sunday Collection

暮らしに役立つ情報や気になるトピックを深掘りしていく番組「青木源太・足立梨花 Sunday Collection」。番組パーソナリティの青木源太と足立梨花が、毎回、専門家をゲストに招きトークを繰り広げ、印象に残った“推し”をコレクションしていきます。

2022.02.20

広がる深まる “農泊”の世界



コロナが落ち着いたら、一味も二味も違った旅行をしてみませんか?
今回は、「広がる深まる“農泊”の世界」というテーマで深掘りしました。


青木  農業の“農”に、宿泊の“泊”で、農泊と言います。

“農泊”とは農村だけでなく、山村や漁村を含めたこれらの地域に宿泊して、その地域の資源を活用した食事や体験を楽しむ滞在型旅行のことです。
農泊と聞くと農家さんにホームステイして、農業体験をして、収穫した野菜などを食べることと思われがちですが、それだけではないんです。
農泊の世界はもっと広く深いもので、農泊できる地域、宿泊できる宿、体験できるプログラム数、どれも増加傾向になっています。

足立  なぜ、増えているんですか?

青木  農泊を提供する日本の農山漁村は、近年、少子高齢化による過疎化が進んでいます。
これに伴い空き家や耕作放棄地などの問題が生じていたり、祭りや伝統工芸など日本古来の文化を継承するのが難しい地域が少なくありません。
そこで美しい自然や伝統文化を活用して観光客を呼び込み、地域を活性化しようとしているんです。
農泊の取組は農林水産省でも地域が一体となって取り組んでいけるよう様々な支援をしていて、そのサポートは令和2年末時点で全国554地域に広がっています。

ここからはスペシャリストと共に深掘りしましょう。
農林水産省 都市農村交流課 農泊推進室長 米田太一さんです。

米田さん、農泊の取組が広がっていますね。

米田  はい。近年は三密を避けられる開放的な農山漁村への旅のニーズもあり、ウィズコロナ時代の旅先としても注目されています。

足立  具体的にはどんな農泊があるんですか?

米田  どれも個性的で挙げていけばきりがありませんが、宿泊自体が個性的な農泊を挙げると、京都府与謝郡伊根町には、舟屋をリノベーションした宿があります。
この地域は、魅力ある観光地づくりなど観光振興への貢献を認められ、昨年、第13回観光庁長官表彰を受賞されています。

青木  舟屋とは一階部分が海で船置き場になり、二階部分が住居スペースになっている建造物です。
伊根湾にはこの舟屋が周囲5キロメートルに渡って230軒あり、「重要伝統的建造物群 保存地区」になっています。

実際に、舟屋に泊まり地元に伝わっている漁や釣り体験ができるそうです。

足立  それは楽しそうですね。

米田  長野県佐久市には、酒蔵に泊まれるホテルもあります。
酒造りを行う職人たちのことを蔵人と言うんですが、その蔵人たちが寝泊まりしていた酒蔵にある古民家をリフォームした宿泊施設に滞在できます。
こちらの地域は農林水産省と内閣官房が地域活性化等に取り組む優良事例を表彰する「ディスカバー農山漁村の宝」で、昨年、特別賞を受賞しています。

青木  こちらでは宿泊だけでなく、麹作り体験など、本格的な蔵人体験を味わうことができます。
また、麹や発酵に関するセミナーも実施されていて、日本酒文化や食文化を深く学ぶこともできるそうです。

足立  大人の修学旅行みたいな感じですよね。

青木  個性的な農泊はまだまだあるということで、後半は、実際に農泊の取組を積極的に行っている三重県大紀町とリモートでつながりましょう。

ここからは農泊の取組を積極的に行っている三重県大紀町地域活性化協議会から山添みゆきさんにもリモートでお話を伺います。
足立さんが育った三重県の方ですね。

足立  山添さん、よろしくお願いします!

青木  大紀町は三重県のどの辺りなんですか?

山添  大紀町は三重県の中南部に位置し、農山村部と熊野灘沿岸部からなる、人口およそ8000人の町です。
伊勢神宮の別宮・瀧原宮や世界遺産 熊野古道ツヅラト峠などがある地域で、伊勢と熊野三山を結ぶ信仰の道・熊野参詣道が町を縦断しています。

青木  大紀町では、どのような農泊が楽しめるんですか?
個性的な宿はありますか?

山添  大紀町の宿の特徴は海・川・山、それぞれのエリアにここでしか味わえない豊かな旬の食材を使った料理や、昔ながらの釜戸、五右衛門風呂などの体験できる宿が、たくさんあることです。
例えば、「農家民宿日本一のふるさと村」では、有機農法の野菜やキノコを収穫し、自家米での釜戸でご飯づくり、松阪牛のすき焼き体験ができます。
また、「木木屋」という宿では、川や敷地内にある釣り堀でアユやアマゴなどの川魚釣りや、囲炉裏で、鹿肉鍋などを味わうことができます。
他にも熊野参詣道沿いの宿「さんずい」では、1000坪の敷地内にあるピザ窯で本格的なピザづくり体験ができるなど、魅力的な宿が色々あります。

足立  実際に利用したお客様の反応はいかがですか?

山添  新型コロナ以前はインバウンドの教育旅行が中心で、今まで20か国以上の外国人の方に宿泊いただきました。
日本の原風景や昔から伝わる文化や暮らし、郷土料理などとともにオーナーの方々との交流をとても喜んでいただいたようです。
今でも交流が続いていて、地震や風水害などがあると心配して連絡がきたり、卒業してから来日した際に、また訪問してくれたこともあるほどです。

足立  大紀町の農泊で味わえる食べ物も気になります。

山添  農・林・漁業・畜産業などが盛んな大紀町は、食材の宝庫と言えます。
特に七保牛と呼ばれる、松阪牛の中でもわずか4パーセントしか肥育されていない「特産松阪牛」にこだわって生産している農家が多く、松阪肉牛共進会では近年3年連続で優秀賞1席、つまり1位を獲得しています。
上位のほとんどが大紀町で肥育されているほど高い評価をいただいています。
他には、黒潮とリアス式海岸に育まれた熊野灘 錦地域では、ブリや真鯛、伊勢エビなどが特産品ですが、天然だけではなく、近年は「伊勢ぶり」「伊勢まだい」としてブランド化もされています。
また、大内山川の天然鮎は、清流めぐり利き鮎会という鮎のおいしさを競うコンテストで2年連続準グランプリを獲得しています。

実は、大紀町には、鮎で1年を占う神事「おんべまつり」が1200年以上続いているほど、鮎は古来から地域に根ざした食材と言えます。

足立  大紀町の農泊で体験できることにはどんなことがありますか?

山添  1次産業の団体や事業者の方々と連携した体験プログラムが60種類以上あり、その中でも旬の食材を使った、食・体験・交流・宿泊が楽しめる「農林漁業体験民宿で食旅」という企画が、人気となっています。
今、デジタル社会が進んでいますが、大紀町に来られた際には、昔からこの地域に伝わる人々の暮らしや知恵、伝統などを是非、体感していただいて、古き良きアナログの世界にタイムスリップしていただければと思います。
きっと、現代社会にはない驚きや感動を発見していただけると思います。

青木  自治体の方だけではできなくて、一次産業の団体や事業者との連携が大切になってくると思うのですが、山添さん、そうした意味では町全体が一丸となっている感じがありますね。

山添  はい、地域全域で、大紀町の過疎化をなんとかして止めたいという思いで活性化に取り組んでいます。

青木  今、お話を伺って“農泊”の盛り上がりはすごいですが、米田さん、課題になっていることは何かありますか?

米田  全国には今あがっていたように個性的な農泊がたくさんありますが、まだまだ知られていない現状があります。
もっと知ってもらうことが課題だと思っています。

青木  実は農泊をもっと多くの方に知ってもらうために、あのピコ太郎さんが農泊ソングを発表しているんです。
今、聞こえてきたこの曲なんですが。
是非、歌詞にも注目しながら、皆さんお聴きください。

青木  今はコロナがあるので、なかなか海外の方が訪れるのは難しいですけれども、この“農泊”が世界に広がって欲しいということで、ピコ太郎さんが担当することになったんですよね。

山添さん、是非、海外の方にも農泊を知ってもらいたいですね。

山添  はい。私たちも、この“農泊ソング”を覚えて、動画を撮ってみたいと思っています。

青木  米田さん、色んな広がり方がありますね。

米田  農林水産省でも積極的に応援しています。
農泊ポータルサイトでは全国の魅力的な農泊をご紹介しているだけでなく、事業者や協議会、自治体の方々へ向けた情報も発信しています。
是非、ご覧ください。

足立  令和2年末時点で全国554地域、この数すごいですよね。
今日の話を聞いて、人それぞれに合わせたものを体験できるので、楽しそうだなと思ったのが印象に残りました。

青木  私が印象に残ったのは、“農泊”は文化に触れられるというところです。
普通の旅行では、知ることができない、触れることができない伝統文化だったり、食文化だったり、地元の方々との交流、こういう体験ができるのが印象に残りました。


【 関連リンク 】
・農泊ポータルサイト
 https://nohaku.net/