暮らしに役立つ情報や気になるトピックを深掘りしていく番組「青木源太・足立梨花 Sunday Collection」。
番組パーソナリティの青木源太と足立梨花が、毎回、専門家をゲストに招きトークを繰り広げ、
印象に残った“推し”をコレクションしていきます。
暮らしに役立つ情報や気になるトピックを深掘りしていく番組「青木源太・足立梨花 Sunday Collection」。番組パーソナリティの青木源太と足立梨花が、毎回、専門家をゲストに招きトークを繰り広げ、印象に残った“推し”をコレクションしていきます。
飲酒運転根絶に向け、道路交通法施行規則が改正されました。
今回は、「その笑顔を失わないために! 絶対にしない、させない飲酒運転」というテーマで深掘りしました。
青木 想像してみてください。
もし、自分が飲酒運転をして交通事故を起こして人にケガをさせてしまったら…
もし、自分や大切な人が飲酒運転による交通事故に遭いケガをしたら…
少し想像すれば、飲酒運転がどれほど多くの人の人生に影響を与えるものか、誰でも分かります。
しかし、飲酒運転による交通事故は依然として発生しています。
昨年の飲酒運転による交通事故は2,522件。
そのうち、重傷事故は353件、死亡事故は159件でした。
足立 なぜ飲酒運転が無くならないのか…、不思議です。
青木 飲酒運転による交通事故は、法律が改正され厳罰化が進んだことなどにより、年々少なくなっているんですが、未だ後を絶ちません。
ここからはゲストと一緒に深掘りしましょう。
警察庁 交通局交通企画課長の今村剛さんです。
まず飲酒運転による交通事故が無くならない理由というのは、どうなのでしょうか。
今村 多くの場合は「飲酒運転が犯罪であることの認識の低さ」、そして「自分を過信している」からです。
「ちょっと飲んだだけ」「慣れた道を走るだけ」「自分はお酒に強い」、「・・・だから運転しても大丈夫だろう」こうした考えはすべて間違っています。
アルコールは少しの量でも脳の機能を麻痺させ、安全運転に必要な能力を低下させます。
青木 本当にそのとおりですね。
お酒を飲むと脳の知覚や運動能力をつかさどる部分が抑制され、注意力、判断力、情報処理能力などが低下します。
そうすると、気が大きくなりスピードを出して運転したり、車間距離の判断を誤ったり、危険に気づいてからブレーキを踏むまでの時間が長くなるなど、交通事故に結びつく危険性が高くなるんです。
お酒に強いと言われる人でも少しの量のアルコールでも影響があることが分かっています。
足立 お酒に強い弱い関係なく、お酒を少しでも飲んだら、絶対に運転してはいけないということですね。
青木 また、「飲んでから時間が経っているので大丈夫だろう」と思い、運転し事故を起こすケースもあるそうですね。
今村 はい。アルコールの分解にかかる時間は人によって様々です。
飲んでから時間が経過していても体内にアルコールが残り、飲酒運転に当たる可能性があります。
翌日に車の運転をする予定があれば、それを考慮した飲酒の時間や量を心がけてください。
青木 飲酒運転は交通事故に結びつく危険性が高くなるだけでなく、死亡事故につながる危険性も高くなるんです。
飲酒運転の死亡事故率を「飲酒なし」の場合と比べると、なんと! およそ8倍です!
足立 脳が麻痺している状態での運転ですから、重大な事故につながったり、危険な運転になるのは当然ですね。
今村 そうですね。飲酒運転をゼロにするには「飲んだら、乗るな!」を運転者自身が固く守ることが重要ですが、それだけではなく、周りにいる方々もお酒を飲んでいる人に運転をさせないことを徹底していただきたいと思います。
青木 飲酒運転の罰則は運転者だけでなく、車を提供した人、酒類を提供した人、そして、運転者が飲酒していることを知りながら同乗した人にも科せられますよね。
これはつまり、周りにいる人には運転者に飲酒運転をさせない責任があるということです。
足立 “酒類を提供した人”というのは、飲食店の人だけじゃないですよね。
青木 もちろんです。これからの時期、家に人が集まることも多いと思います。
車で来た方にはお酒は提供しない、お酒を飲んだら絶対に運転させず、飲んでいない人が運転を代わったり、タクシーや運転代行業者を利用しなくてはいけません。
足立 本人が「大丈夫」と言っても、そこは、周りの人が注意できるようにならないといけませんね。
今村 警察では、関係業界とも協力しながら「飲酒運転を絶対にしない、させない」という“飲酒運転を許さない社会環境づくり”を進めています。
みんなで飲酒運転を許さない機運を高めて、「飲酒運転ゼロ」を目指していきたいと思います。
青木 今年6月、千葉県八街市で下校中の小学生の列に飲酒運転のトラックが衝突して2人が死亡、3人がケガをする事故がありました。
足立 痛ましい事故でした。
青木 ここからは、この事故を受けて新たに定められたルールについて深掘りします。
足立さんは“安全運転管理者”という言葉を聞いたことはありますか?
足立 聞いたことはないかもしれないですね。
青木 簡潔に説明すると、従業員などが安全運転を行えるように管理する人のことです。
バス、タクシー、トラックなど、いわゆる「緑ナンバー」の自動車運送業でなくても、仕事の一貫で自動車を利用する事業者は多いですね。
例えば、仕出し弁当屋さんや酒屋さんは配達で自動車を使用する場合がありますし、工務店さんや不動産屋さんも作業員や営業マンが自動車を使用する場合があります。
デイサービスでは高齢者の送り迎えに自動車を使います。
このように業務で一定台数以上の自動車を使用する事業者は、“自動車の安全な運転に必要な業務をする人”を選任することが法律で定められています。この選任された人のことを“安全運転管理者”と言います。
乗車定員が11人以上の自動車は1台以上、そのほかの自動車は5台以上使用していれば、事業所、営業所ごとに“安全運転管理者”の選任が必要です。
ちなみに50cc以上の自動二輪車の場合は1台を0.5台と計算します。
足立 バイクも数に入るんですね。
青木 また、自動車の台数が20台以上の場合は、安全運転管理者を補助する副安全運転管理者を1人以上選任することなども法律で定められています。
足立 業務で車を使用する場合の交通事故防止対策として、こうしたルールが定められているんですね。
この、安全運転管理者はどんな人でも務めることができるんですか?
青木 安全運転管理者の要件は、20歳以上で自動車の運転の管理に関し、2年以上の実務経験を有する方です。
ただし、副安全運転管理者を選任しなければならない場合は30歳以上の方と定められています。
また事業者は選任した日から15日以内に、都道府県公安委員会に届け出なければなりません。
足立 具体的にどんな業務をしているんですか?
青木 一部を挙げると
“運転者に対する交通安全教育”“運転者の適性や技能などの状況把握”
“運行計画の作成”“運転日誌の備え付けと記録”
“点呼などによる飲酒、過労、病気その他正常な運転をすることができないおそれの確認と必要な指示”
などです。
足立 様々な業務がありますね。
青木 今村さん、こうした業務が、八街市で発生した飲酒運転による重大な事故を受けて、拡充されるんですね。
今村 はい。飲酒運転根絶に向けた対策強化の一つとして、道路交通法施行規則が改正されました。
来年4月から安全運転管理者の業務内容の一部である酒気帯びの有無の確認方法などについて新たなルールが段階的に施行されます。
まず来年4月からは運転前後の運転者に対して、酒気帯びの有無を目視などで確認することが義務付けられます。
これまでは運転前の確認だけでしたが、来年4月からは事業所に戻った時も確認していただくことになります。
また、この確認の内容は記録化して1年間保存することが義務となります。
足立 勤務中に飲んでしまうことのないように運転後も確認することになるんですね。
今村 はい。
そういった対策としまして、来年10月からは目視などでの確認に加え、アルコール検知器を用いて確認を行うことが義務付けられます。
なお、バス、タクシー、トラックなど、いわゆる「緑ナンバー」の事業者は、既にアルコール検知器を用いて確認を行うことが義務付けられています。
青木 アルコール検知器を使って厳密に確認するんですね。
ちなみに使用するアルコール検知器は、どんなものでもいいんですか?
精密機器は性能にばらつきがあると思いますが、いかがでしょうか?
今村 アルコール検知器の性能としては、「呼気中のアルコールを検知し、その有無またはその濃度を警告音、警告灯、数値などにより示す機能を有する機器」と定めています。
様々なタイプのアルコール検知器がありますが、検知器を常に正しく使える状態にしておく必要があります。
青木 該当する事業者は来年の10月1日までにアルコール検知器を用意するなどして、改めて従業員が安全運転を行うための管理体制を強化する必要がありますね。
足立 事業者はもちろんですけど、飲酒運転は私たち一人ひとりが心がけることで、無くすことができるものですよね。
これ以上、悲しい事故が起こらないように行動していきたいですね。
今村 飲酒運転は極めて悪質で危険な犯罪行為です。
「飲酒運転は絶対にしない、させない、許さない」ということを、この年末年始も必ず守ってください。
足立 今日の話を聞いて、いまだに「お酒を飲んで車を運転する人がいるんだ」ということに衝撃を受けました。
信じられないですね。今日はシンプルに「飲んだら、乗るな!」ということを皆さんに伝えたいです。
青木 私は、重大な事故を受けて、飲酒運転根絶に向けた対策強化の一つとして道路交通法施行規則が改正され、運転前後の酒気帯び有無も確認することになったことが印象に残りました。
【 関連リンク 】
・みんなで守る「飲酒運転を絶対にしない、させない」
https://www.npa.go.jp/bureau/traffic/insyu/info.html