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暮らしに役立つ情報や気になるトピックを深掘りしていく番組「青木源太・足立梨花 Sunday Collection」。
番組パーソナリティの青木源太と足立梨花が、毎回、専門家をゲストに招きトークを繰り広げ、
印象に残った“推し”をコレクションしていきます。

青木源太・足立梨花 Sunday Collection

暮らしに役立つ情報や気になるトピックを深掘りしていく番組「青木源太・足立梨花 Sunday Collection」。番組パーソナリティの青木源太と足立梨花が、毎回、専門家をゲストに招きトークを繰り広げ、印象に残った“推し”をコレクションしていきます。

2021.10.31

とことん知りたい裁判員制度



“裁判員制度”と聞くと、どんなイメージを持ちますか?
どんな制度なのか、どんな事をするのか、今回は、「とことん知りたい裁判員制度」というテーマで深掘りしました。


青木  裁判員制度を簡潔に説明すると、国民から選ばれる裁判員が、刑事裁判に参加する制度です。
6人の裁判員と3人の裁判官が、共に刑事裁判に立ち会い、被告人が有罪か無罪か、有罪の場合、どのような刑にするかを判断します。
皆さんに参加していただくことで、裁判をより身近に感じていただき、分かりやすい裁判の実現を通して、司法への信頼が高まっていくことが期待されています。

20歳以上で、衆議院議員の選挙権のある人であれば、原則として、誰でも選ばれる可能性があります。
そして、令和5年からは18歳、19歳の方も裁判員になることができるようになります。
裁判員制度が始まって、今年の5月で丸12年。
これまで行われた裁判員裁判の件数は、1万4,000件を超え、参加した裁判員は、補充裁判員の方も含めて、10万7,800人ほどです。
ちなみに1年間で、裁判員などになる確率は、およそ1万5,200人に1人です。

足立  選ばれそうで選ばれない、微妙な確率ですね。

青木  身近に裁判員を務めた知り合いがいる方は、少ないと思います。
そのため、実際に裁判員に選ばれたら、戸惑う方も多いと思うんです。

そこで、今日は、最高裁判所 刑事局長をお招きして、裁判員制度について、素朴な疑問をぶつけてみたいと思います。
吉崎佳弥さんです。

足立  実は私、最近ドラマで司法修習生の役をやりまして、裁判の世界って凄いなと思いました。

吉崎  私もドラマを拝見しました。
以前、司法修習生の教官をしていたことがあります。

青木  もしも裁判員に選ばれたら「戸惑ってしまうかもしれない」という方もいると思います。
また、疑問もあると思いますので、いろいろと聞いていきましょう。

足立  まず、具体的に裁判員はどのように選ばれるんですか?

吉崎  まず、選挙権を有する方の中から、くじで選んで、裁判員候補者名簿というものを作ります。
そして、具体的な事件ごとに名簿の候補者の中から、くじで裁判員が選ばれるという手続になっています。

足立  くじだと、いろいろな事情で「裁判員できないよ〜」という人もいそうですけど、辞退などはできますか。

吉崎  候補者に選ばれた人の負担が重すぎないようにとの配慮などから、例えば、70歳以上の方や学生の方は辞退することができますし、重い病気やけが、仕事上の重要な事情などを理由に辞退が認められる場合もありますので、ご安心ください。

足立  事情がある方も多くいると思いますが、できる限り参加してほしいですよね。

吉崎  この放送で、「70歳以上だけど、一肌脱いでみようかな」とか「仕事の都合を何とかつけて参加してみようかな」という方が一人でも増えれば良いなと思っています。

足立  そもそも、自分が裁判員に選ばれたことは、いつ分かるんですか?

青木  実は、毎年秋頃に、翌年1年間の裁判員候補者名簿を作成し、この名簿に名前が記載された方に、そのことをお知らせする封書をお送りしています。

吉崎  今年は、11月16日に全国およそ23万人の方に、送付する予定となっています。

青木  手元に、その封書があります。
割と、大きめな封書で、右下に「裁判員制度」と記載されています。

足立  この封書が届いたら、必ず裁判員になるということですか?

吉崎  そのように、誤解される方もまれにいらっしゃるのですが、そういう事ではありません。

まず、この封書は、あくまで翌年1年間、裁判員候補者の名簿に、名前が登録されているということをお知らせするもので、必ず裁判員に選ばれるわけではありませんし、すぐに裁判所にお越しいただく必要もありません。
実際に裁判所にお越しいただく際には、6週間から8週間ほど前に、改めて裁判の日程をお知らせします。

足立  この封書は、選ばれる可能性があるという、お知らせですね。
2か月ほど前に裁判日程が分かるなら、仕事の調整がしやすいかもしれません。

吉崎  こちらの裁判員候補者名簿記載通知にも、「調査票」という書類が同封されていて、1年を通じて辞退事由がある場合は、調査票を返送していただくことで、辞退を申し出ることができますので、ご安心ください。その後の手続の中でも、辞退を申し出ることができます。

青木  この調査票は、裁判員候補者名簿に載った方の状況を早期に把握するための大切なものです。
是非、来月16日ころに、この通知を受け取った方は、よく中身を確認してください。

吉崎  実は、最高裁判所から見慣れない封書が届くので、怪訝に思って開封しない方もいらっしゃるようなんです。

足立  開けるのに躊躇する可能性はあります。

吉崎  裁判所から電話やはがき、メールにより、金銭の支払いなどを求めることはありません。
不審な電話などには、くれぐれもご注意いただいた上で、最高裁判所からの封書を受け取った方は、よく中身を確認してください。
裁判員制度の公式ホームページでも、封筒の外観や同封物を紹介しています。

青木  では、足立さんの手元にこの封書が届いたと仮定して、まず、どんなことが気になりますか?

足立  「私でいいのかな?」って思います。
裁判について知らないし、法律も詳しくないので、「そんな人が裁判員として参加してもいいの?」と思ってしまいます。

青木  法律は難しいというイメージをお持ちの方もいるかと思います。

吉崎  そのようにご心配をされる方もいらっしゃいますが、まず、法律の知識は必要ありません。
裁判員裁判では、審理に立ち会っていただき、その場で「見て」、「聞いて」分かる裁判を実現したいと考えております。

裁判官、検察官、弁護人が法廷での審理を始める前に、事件の争点を整理し、必要な証拠を選んで、最小限にした上で、争点に集中した審理を行います。
法廷で証人や被告人の話を聞いたり、証拠書類や証拠品を確認したりすれば、事件について判断することができるように努めています。

青木  「公判前整理手続」ということですよね。
分かりやすい審理だと安心して参加できますね。
審理が終わると、評議をすると思いますが、評議というのはどういったものなのでしょうか?

吉崎  評議とは、審理を終えた後に、裁判員の方と裁判官3名の全員で、被告人が有罪か無罪か、有罪の場合、どのような刑に相当するかについて、話し合って決める場のことです。

青木  裁判員の方だけでなく、裁判官の方も一緒にいて、評議するわけですね。

実際に、裁判員を務めた方々にアンケートを行ったところ、審理内容が「分かりやすかった」、評議では「話しやすい雰囲気であった」と答えた方が、およそ70パーセントもいて、逆に「分かりにくかった」「話しにくい雰囲気であった」と答えた方は、ほとんどいなかったんです。
また、初めから争点が絞られていることもあり、裁判員裁判の多くは、5日前後で終わっているんですよね。

吉崎  ちなみに、1日のスケジュールは事件によって異なりますが、裁判、評議、打合わせが、1日5〜6時間程度、昼食や休憩時間をはさんで行われるイメージです。

青木  裁判員や補充裁判員には、日当などが支給されますが、最近では、会社によっては社員の方が、裁判員になったことをきっかけとして、裁判員裁判に出席するための特別休暇の制度を設けて、有給休暇扱いとする企業もあるそうです。
社員の方が、裁判員裁判のように、社会的に意義のある活動に参加したということが、長期的には企業にとってプラスになることもありますから、是非、雇用主の皆さんには、裁判員裁判に参加しやすい環境づくりをしていただきたいです。

吉崎  裁判所としても、「仕事が忙しい」「育児をしている」などの事情はあるものの、できれば辞退をせずに、裁判員をやってみたいという方が、参加しやすい環境整備に努めていきたいと思います。

足立  参加しやすい環境も整っていて、良いなと思ったんですが、そもそも、「人の人生を左右する判断をできるか?」とか、「やっていいのか?」と悩む方もいると思うんです。

吉崎  そういう不安をお持ちの方もいらっしゃるのですが、結果として、参加した後の、皆さんの声を聞いてみると、みんなで一つのチームになって、話し合いながら結論を出していくプロセスを見ていただいて、お一人で悩んだり、責任を感じる必要がないことは、皆さん、お分かりいただくので、終わった後は、それほど不安なくお帰りいただいている印象です。

青木  アンケートによると、裁判員に選ばれる前は、「やってみたい」などと思っている方より、「あまりやりたくない」などと思っている方のほうが多かったんですが、裁判員として裁判に参加した後は、97パーセントもの人が「非常によい経験と感じた」「よい経験と感じた」と回答しているんです。

逆に裁判員裁判をやってみて、裁判官のお立場からどのような感想をお持ちですか?

吉崎  まず、ご紹介いただいたアンケートの結果は大変ありがたいことですが、高い数字であることに甘えるのではなくて、ますます、充実した取組を進めていきたいと考えています。

裁判官側の受け止めとして、裁判員の皆さんと議論をさせていただくと、私たち裁判官の方もいろいろなことに気付かされます。
例えば、証拠写真の見方一つにしても、裁判員の方から、私たち裁判官では、気付けないような視点からの指摘をしていただけることもあります。
いろいろな視点からの意見をいただくことで、ますます自信を持って判決を言い渡すことができるなというのが、これまでの実感です。

令和5年からは、18歳、19歳の方もご参加いただくことになります。
ますます、皆さんに参加していただきやすいような審理、評議の実現に向けて、これからも努力を続けていきます。

青木  日本は、「司法」、「立法」、「行政」の三権分立の国です。
「司法」に関しても、国民のみなさんがしっかりと参加して支えていくことが国にとっても、大切なんじゃないかなと、今回改めて思いました。

吉崎  裁判員制度は、皆さんにとって「司法」がより身近となり、司法への信頼が高まることが期待され、導入されました。
また、裁判員として刑事裁判に参加することで、「普段生活しているだけでは得られなかった、社会に対する関心が深まった。」や、「初めて会ったほかの裁判員の方たちとも、充実した意見交換ができた。
そういう経験をこれからも仕事や生活に生かしていきたい。」などといった様々な感想をお聞きすることができています。
そうした方が少しずつ増えることで、より良い社会の実現に近づくものと信じています。
来月、11月16日ころ、裁判員候補者名簿記載通知が届いた方は、内容をよくご確認いただいた上で、是非とも積極的に、裁判員裁判に参加していただきたいと思います。

足立  知らないことだらけで、不安な気持ちが大きかったんですが、今日の話を聞いて、私でもできそうだなと思えたことは、すごく良かったなと思います。
11月16日頃に届く、裁判員候補者名簿記載通知が私にも届くのかなとドキドキし始めています。

青木  私は今日の話を聞いて、もしも、選ばれたと仮定した時に、「法律の知識は必要ない」というところです。
詳しく、争点も整理して用語も説明してくださるということですので、これは安心して臨めると思いました。


【 関連リンク 】
・裁判員制度
 https://www.saibanin.courts.go.jp/