暮らしに役立つ情報や気になるトピックを深掘りしていく番組「青木源太・足立梨花 Sunday Collection」。
番組パーソナリティの青木源太と足立梨花が、毎回、専門家をゲストに招きトークを繰り広げ、
印象に残った“推し”をコレクションしていきます。
暮らしに役立つ情報や気になるトピックを深掘りしていく番組「青木源太・足立梨花 Sunday Collection」。番組パーソナリティの青木源太と足立梨花が、毎回、専門家をゲストに招きトークを繰り広げ、印象に残った“推し”をコレクションしていきます。
ストーカー規制法の一部を改正し、規制の対象を拡大しました。
早めの相談で、解決を!
今回は、「その行為を許さない! ストーカー規制法の新ルール」というテーマで深掘りしました。
青木 今日は、ストーカー行為にまつわることを深掘りしていきます。
ストーカー行為とは“同じ人に対して、つきまといなどを繰り返し行うこと”を言います。
全国の警察に寄せられるストーカーに関する相談件数は、年間2万件を超えていて、ここ数年、高止まり状態なんです。
足立 不安な日々を送っている方が、それだけいらっしゃるんですね。
青木 これまで、取り締まることができなかった巧妙な手口も規制できるように、ストーカー規制法の一部が改正されました。
足立さん、昨年、実際にストーカー規制法違反で検挙された事案は何件くらいだと思いますか?
足立 2000〜3000件でしょうか。
青木 昨年の検挙数は、985件で過去最多となっています。
足立 でも、“相談件数は2万件を超えている”ということでしたが、実際に検挙となると、そう多くはないんですね。
青木 意外と少ないと思われる方もいるかもしれません。
これは、警察からの警告によりストーカー行為を止め、検挙まで至らないケースや、ストーカー規制法ではなく、脅迫や住居侵入などの行為が、刑法で検挙に至るケースもあるためです。
しかし、中には技術の進歩に伴い、これまでのストーカー規制法では対応が難しく、検挙に至らないケースもあるんです。
足立 そういう事情もあったんですね。
でも、そもそもストーカー規制法とはどういうものですか?
青木 簡潔に説明すると、ストーカー行為などについて必要な規制を行い、被害を受けている方の安全と平穏な生活を守るためのものです。
法律ができたのは、2000年です。
それ以前は、つきまといなどの行為を処罰する法律はありませんでした。
しかし、つきまといなどの行為がエスカレートして重大な事件が起こったことがきっかけになり、ストーカー規制法ができたんです。
そして、インターネットの普及などに伴い、これまでに2回改正が行われ、今回、3度目の改正が行われました。
ここからは、スペシャリストと一緒に深掘りしていきましょう。
警察庁 生活安全企画課 犯罪抑止対策室長 金柿正志さんです。
青木 今年、ストーカー規制法の一部が改正されました。
まず、今回の改正のポイントをご紹介いただけますか。
金柿 ストーカー行為とは、同一の者に対して、つきまとう、拒まれたにもかかわらず、電子メールを連続して送るなどの行為を繰り返し行うことを言います。
今回は、この“つきまとい等”の定義を拡充するとともに、新たな行為も加えて、規制の対象を拡大しました。
青木 そもそも“つきまとい等”とは、恋愛感情、好意の感情、又はその感情が満たされなかったことに対する恨みの感情、これらの感情を満たすために行う、様々な嫌がらせ行為です。
待ち伏せ、自宅の付近での見張りやうろつき、無言電話、メールやSNSなどによるメッセージの送信、監視していると告げる行為、拒否しているにもかかわらず、面会や交際、復縁を求める行為、名誉を傷つける行為などがあります。
金柿 さらに、今回の改正では、“つきまとい等”とは別に、新たに“GPS機器やスマートフォンアプリなど、位置情報を記録したり、送信したりする装置を用いて、勝手に位置情報を取得する行為”をストーカー行為に追加しました。
青木 例えば、足立さんが盗難防止のために、自分の車にGPS機器を取り付けていたとします。
そのGPS機器を悪用して、足立さんの承諾を得ず、ひそかに位置情報を取得する行為は“位置情報の無承諾取得等”に該当し、規制の対象となります。
足立 それは怖いですね。
金柿 また、GPS機器などを“勝手に取り付ける行為”も規制の対象となります。
青木 つまり、足立さんの許可なく、第三者が足立さんの自動車にGPS機器を取り付ける行為も規制の対象となります。
たとえ、それによって位置情報を取得していなくても、“取り付けただけ”で、規制の対象に当たります。
足立 やはり、最近はこうしたケースが増えているんですか?
金柿 近年、元交際相手などが勝手にGPS機器を取り付け、その位置情報を取得する事案が見られたため、今回の改正に盛り込まれ、先月26日から施行されたんです。
青木 実は、これに先立ち、新たに規制の対象となったルールもあります。
金柿 今年6月15日から施行されているルールがあります。
一つは、被害者の“実際にいる場所”付近へ押し掛ける、みだりにうろつく行為への規制です。
足立 見張りや押し掛けなどの行為は、これまでも規制の対象だったのではないですか?
金柿 これまでは、住居、勤務先、学校など、被害者の“通常いる場所”で行う行為のみが規制の対象でした。
しかし今回は、実際にいる場所も対象になったんです。
青木 つまり、たまたま立ち寄ったお店に押し掛けたり、旅行先の宿泊先付近を、みだりにうろつく行為も規制の対象としたんです。
足立 GPS機器やスマホなどの位置情報を勝手に取得して、“実際にいる場所”に行くことが考えられるようになったということですね。
青木 ほかにも追加されたことがあるんですよね。
金柿 拒まれたにもかかわらず、連続して“文書を送る”行為が追加されました。
足立 “文書を送る行為”は、以前から規制の対象だったのではないでしょうか?
青木 これまで対象だったのは、ファクシミリやメール、SNSでメッセージを送る行為や、ブログにコメントを書き込む行為でした。
メールを送信する行為は、2013年に、SNSにメッセージを送信する行為や、ブログへのコメントの書き込み行為は、2016年の改正で追加したんです。
足立 インターネットの普及やSNSの登場に併せて、新たに追加したんですね。
青木 メールを送信する行為は、2013年に追加されていますが、メール自体はそれより前にありますし、SNSも、2010年くらいから普及したと思いますが、やはり、新しい技術が登場して、それにより、嫌な思いをする人が出てきて、追加される。
この繰り返しになってしまうんでしょうね。
足立 そんな中、“文章を送る行為”が今回追加されたのは、どうしてでしょうか。
金柿 実は、近年、法律の抜け穴をついて、手紙で文書を送りつける事案が目立つようになったんです。
そこで、自宅や勤務先に毎日手紙を送る行為や、自宅の郵便受けに直接手紙を何度も投函する行為が規制の対象となりました。
足立 今までは、SNSといったネット上のことでしたが、直接手紙が入っていたり、送られてくるのは怖いですね。
青木 郵送であっても、直接、投函されているにしても、自宅が知られているということですもんね。
足立 今、想像しただけでも鳥肌が立ちました。
これは、規制されて本当に良かったと思いました。
青木 もし、今、こうした行為を受けて悩んでいる方は、早めに警察に相談してください。
ストーカー行為は、次第にエスカレートし、凶悪な犯罪に発展するおそれがあります。
足立 警察に相談すると、どういった対応をしてくれるんですか?
金柿 まず、どのような被害に遭われているのか、詳しく話を聞かせていただきます。
そして、問題解決に向けて、どうしてほしいかをお伺いし、相談者の不安を解消するために対応を検討します。
一方で、ストーカー行為を行なっている者に対しては、その状況に応じて、警察から警告をしたり、都道府県公安委員会等から、待ち伏せたり、拒まれたにもかかわらず、電子メールを連続して送ることなど、具体的にやってはいけない行為を記載した禁止等命令書を交付したりします。
青木 禁止等命令書は、原則として、実際に警察官が本人に手渡しするそうです。
また、禁止命令等に従わず違反した場合は、2年以下の懲役、又は200万円以下の罰金も科せられるそうです。
足立 被害がエスカレートしないように守ってくれるんですね。
でも、警察が介入することで、行為がエスカレートする場合はないのでしょうか?
金柿 そのように心配される方も少なくないと思いますが、実際には、警察が介入したことにより、およそ9割が行為を止めたという調査結果もあります。
青木 警察が介入したことで、初めて自分が行なっている行為がストーカー行為に当たるものだと気付いて止める人が多いそうです。
足立 自分がストーカー行為をしていると分かっていない方もいらっしゃるんですね。
青木 いろいろな思い込みなどもあり、自分がやっていることがストーカー規制法に違反する、法律に触れることであると、そこで初めて気付いて止めるんです。
最初に話した“検挙にまで至らないケース”は、こういう事なんです。
足立 早めに相談するのは大事ですね。
金柿 今、不安な思いを抱えている方は一人で悩まず、「ヘルプ」を言える勇気を持って、まずは、最寄りの警察署へご相談ください。
もちろん、緊急性がある場合は、110番通報してください。
足立 今日の話の中で、一番印象に残ったのは、“実際にいる場所”に押し掛けるなどの行為も規制の対象になることです。
これで助かる方もいるし、安心できるなと思います。
青木 私は、“警察の介入でおよそ9割が行為を止めた”調査結果です。
この数字を聞いても、まず悩んでいる方は、警察に相談をしてほしいです。
【 関連リンク 】
・ストーカー規制法が改正されます!
https://www.npa.go.jp/bureau/safetylife/stalker/R03kaisei/