取材日記

TOKYO FMが誇る報道スポーツチームが総力を挙げて取材します。
ラジオならではのハートフルなスポーツ報道をお送りします。

氷上のF1!ボブスレーに注目!

8年間、トリノ五輪の取材をしていた時に、
どうしてもカメラのフレームに収められなかった競技が
あります。

それは・・・時速およそ150キロで滑走し、
そのスピード感から「氷上のF1」とも呼ばれる
ボブスレーの滑走姿。
いやぁ・・・速かった!!(笑)



ボブスレー競技は、男子は2人乗りと4人乗り、
女子は2人乗りのみで競います。
選手たちは呼吸を合わせながらソリを押して走り、
加速をつけながら素早く乗り込んで
そのゴールタイムを競うという競技です。

「パイロット」と呼ばれる操縦士と、
ソリを押す、車で言えばエンジン的な役割の
「ブレーカー」と呼ばれる2つの役割の選手たちがいるのですが
キーマンとなるとのは、やはり「パイロット」の選手。

現在、日本代表に唯一内定しているのが
「パイロット」の鈴木寛選手、40歳!(写真左)





これまでに4度のオリンピックに出場し、
常に日本のボブスレー界をリードし続けてきた立役者です。
実はバンクーバー後に一度引退をしているのですが、
日本のボブスレー競技は札幌大会からオリンピックに
出場し続けているため、
ここでその記録をとぎらせる訳にはいかない!と、昨年復帰。
世代交代に苦戦している中で、
後継者を育てながらソチを目指しています。

その鈴木選手に、ボブスレーの見所を聴いてみると・・・
「スタート局面が一番の魅力。
迫力もあるし選手もかなりエキサイティングな感じには見える。
スピードが出るスポーツなので、そのスピード感も見て欲しい!」
とのことでした。
先日の全日本選手権に取材に行き、
スタート時点で正にその迫力を体感してきたばかりですが、
目の前を通り抜けていくとのスピードと選手たちの気迫に
圧倒されました!

ボブスレーの場合、目線が低いので、
鈴木選手の体感速度でいうと200キロ以上にもなるそうですよ!
鈴木選手は車のレースが好きだった訳でもなく
大学までは野球一筋。
ジェットコースターも苦手なんだそうです(笑)

現在、代表に内定している鈴木選手の他に、
ソチを目指す日本代表候補に残っているのは、
ブレーカー候補の宮崎選手、小林選手、佐藤選手、
黒岩選手の4名。
ボブスレー界はなかなか後継者が育っていないために、
色々な競技の世界から広くボブスレー選手を発掘しようと、
今シーズンはトライアウトが実施されました。
そこで、陸上の短距離や円盤投げ、またアメフトなどの他競技から
この世界に入ってきた選手が多くいるんです。

「ソリをいかに速く押せるか」が仕事のボブスレーのブレーカーは、
足の速さと瞬発力が必要になりますが、
実は、半年でオリンピック選手になれるかもしれない!という
唯一の競技でもあるんですね。

ブレーカー候補の主力である宮崎久選手は(写真右)、
今シーズンの6月に陸上の短距離から転向してきたばかりの選手!





なんと2003年のパリ世界陸上の日本代表選手で
7位入賞も果たしている実力者なんです。

そんな宮崎選手に、「ボブスレー」の難しさについて、
またチームのリーダー・鈴木選手について聴いてみました。

「いやぁ、難しい!陸上の足を生かせるのは加速すれば生かせるが
ゼロからのスタートなので。勢いをつけるのが難しい。
陸上は腕が使える!腕がものすごく大きかったというのを
今、実感している・・・。
鈴木選手はやさしい顔をしてはいるが怖い存在。
凄くやさしいけどボブスレーに関しては、自分自身では言わないけど
「命を預かっている」という気持ちはヒシヒシと感じる。
だからお前らが(スピードを)出さなければしょうがないんだよ!
というのも言われるので。
鈴木選手が味わったことないような操作をさせてあげたい、
してほしいとうのはある。」

陸上界の実力者ですが、「腕」を使えないことが凄く大きい!
やはりボブスレーにはボブスレーの難しさがあって
足が速いだけではダメなんですね。
また、普段は温和なイメージの鈴木選手ですが、
その裏では大きなプレッシャー・責任を背負った中で戦っている!
だからこそブレーカーの選手たちもその思いに答えなければならない!
その結束力がチームの一体感を強めているのですね。

ボブスレー日本代表はソチオリンピックの出場権獲得のために
国際大会でのポイントをためている所。
今月19日までのポイントの集計で、オリンピック出場が決まります。
是非、「氷上のF1」に注目してみて下さい!

■柴田幸子
  • 17:06