避難生活の疲労やストレスなどで体調を崩して亡くなる
「災害関連死」の概念が生まれた
1995年の阪神淡路大震災からまもなく30年です。
この30年間で、自治体が災害関連死と認定した人が
少なくとも5千456人に上る事が新聞社の調べで分かりました。

阪神淡路大震災では避難所でインフルエンザなどの
感染症が流行して921人が災害関連死とされました。
また、2011年に起きた東日本大震災と福島第一原子力発電所
の事故では、避難先を転々とした人も多く3802人が認定されています。

また、去年の能登半島地震では、1月6日現在で
276人が災害関連死とされ、
建物倒壊などで亡くなるか直接死をうわまわっています。

この30年間、避難所の環境などが課題となっていますが、
現在も抜本的な改善には至っていません。

東日本大震災では、亡くなった方の70%あまりが
肺炎などの「呼吸器系疾患」と心不全などの「循環器系疾患」
だったというデータもあります。

例えば、影響が大きいと考えられるのが、トイレ。
断水で水がなくなり、水洗トイレがなくなって劣悪なトイレ環境に
陥ってしまいます。すると、トイレに行きたくないと
排泄回数を減らしたり、水分摂取を控える人が出て
脱水症状を引き起こし、その結果、「口腔内の細菌」が増えて
それが原因で、ごえんせい肺炎を引き起こしてしまします。

また、偏った食事や避難所で雑魚寝も要因の一つです。
栄養不足や偏りが起きる事で高血圧が進行する人が増え
循環器系疾患に繋がりやすくなってしまいます。

雑魚寝をすれば、床で寝るストレスで睡眠不足に陥って
その結果、体力や免疫力が低下して、
呼吸器系疾患を起こす人が出てきてしまいます。

それぞれの立場でできる事
それが、避難所の「TKB」です。
「トイレ・キッチン。ベッド」の頭文字をとったものです。
関連死を防ぐためには、この3つの整備・改善が重要です。

トイレは、綺麗なトイレに出来る様に対策を考える
キッチンは、冷たくて栄養の不十分な食事を避けて
温かい食事を提供する事
ベッドは、床で雑魚寝を避けて、就寝環境を整える事
が求められています。

能登半島地震の被災地を取材した時、
被災者の方から、おにぎりだけだったり
から揚げ弁当が続いたりと偏った栄養になりがちだった
という話しや、避難所運営を手伝った被災者の方は、
避難所のトイレなど劣悪になっている所が多く、
衛生面で大変だったという声が聞かれました。

TKBの整備・改善が求められていましが、
能登半島地震の取材をする中で、
現在も抜本的な改善につながっていないのではないか?
と感じる事が多くありました。

自分の命、大切な人の命を守る。
あなたの街の家の避難生活についても考えてみてください。


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