2020.08.29
08:25 マイ・タイムラインって?


実際に災害が起きた時、
被害を最小限に抑える為には、
事前の防災対策は必要不可欠です。
年々災害が増えている今、
自分の身を自分で守る『自助』の意識を高める事が求められています。

そこで、今、
注目されているのが“マイ・タイムライン”です。
マイ・タイムラインとは、
家族構成や生活環境に合わせて作る
『自分自身の避難行動計画』の事です。

このマイ・タイムライン、
大規模な水害が発生した時、
自分や家族のとるべき行動について
“いつ”“誰が”“何をするのか”を
あらかじめ時系列で整理する事で
災害が起きた時の判断サポートツールとして期待されています。

これは、2015年9月の関東・東北豪雨が起きた時に
多くの人が逃げ遅れてしまったという事を教訓に始まったものです。

例えば、
台風が発生してから避難するまでの
マイ・タイムラインを作るとすると3日前からスタートします。
行政から発信される情報・川の水が氾濫するまで、
備えるもの、自分の行動、地域の行動などを
分けて時系列で記入をしていきます。

マイ・タイムライン作りの講習会を開いている
河川国道事務所の森野香織さんは、
マイ・タイムラインを作成する時に
心掛けて欲しい事があると話します。

森野さん
ハザードマップをきちんと確認する事で、
いざという時に必要な避難行動であるとか
垂直避難が必要なのか、水平避難なのか、
そもそも避難が必要ない人もういるのでリスクをまず知る事、
情報をどの様にとるのかを考えてもらいたいです。
どのタイミングで逃げるべきなのかを整理してもらう事が大切です

情報をどこで取れるのか頭に入れておく事は非常に大切ですよね。
いざという時に冷静に情報を収集する事へとつながりますよね。

また、
森野さんは、マイ・タイムライン作った後が大切だと話します。

森野さん
マイ・タイムラインを作る過程で
考えた事、知った事が身について命を守る為のツールになれると思っています。
帰って作っただけだとしまってなくなってしまうので、
作ったら行動してほしいなと思っています。
例えば、街歩きをしながら、
安全な避難のルートを考えるなどしてほしいと思っています。
確かに、街を歩く事によって想像する事ができますよね。

もっとこうした方がいいかもしれない。
など新たな発見も出てくるかもしれませんよね。

皆さんも、マイ・タイムライン
作ってみてくださいね♪

マイ・タイムラインを作ってみようかなと思ったら、
河川国道事務所のHPや東京都のHPから
マイ・タイムラインのシートを誰でもダウンロードする事ができます。
また、区市町村のハザードマップにつている場合もありますので、
確認してみてくださいね。


音声ファイルはこちら


2020.08.22
08:25 「海抜0メートル地帯 広域避難について考える」


今週も、
この時期注意が必要な水害の「避難」について考えます。

あなたは、広域避難という言葉をご存じですか?
浸水してしまう前に、公共交通機関を使って、
被害が少ないとされる地域や遠方の家族の所などに
避難しましょう!という避難方法です。

低い土地が広がる東京の東部エリア、
江戸川区、足立区、江東区、葛飾区、墨田区の5区では、
洪水や高潮によって川が氾濫すると、
ほとんどの地域が浸水するといわれていて、
人口の9割以上にあたるおよそ250万人が、
浸水の被害に遭うと想定されています。

長いところでは、浸水が2週間以上も続き、
最大で深さ10メートル以上になる恐れがあるんです。

こうした状況の中、避難所の不足が問題となっています。
水害に詳しい、リバーフロント研究所の土屋信行さんは、
江戸川区を例に挙げ、「広域避難」が必要だと話します。

土屋さん
江戸川区は小中学校合わせて106校あります。
このうち1階が水没する学校がなんと80校あります。
残りの学校だけではとても避難所が足りません。
区民全体で68万人の住民がいますが、
逃げられる安全なドライフロア、
水没しない床面が37万人分しかないんです。

ですから、
あらかじめ広域避難を事前にしてくださいっていう
それが江戸川区のハザードマップの意味で、
「ここにいてはだめです」っていう
ちょっとおどかすような文言になりました。

江戸川区のハザードマップは、
「ここにいてはだめです」
という言葉が話題となって
ご存じの方もいらっしゃるのではないでしょうか?
このハザードマップは、
去年5月に江戸川区の全世帯に配布されていて、
実際に去年の台風19号の時
江戸川区が都内で避難した人が最も多かった
という事です。

ただ、
そうなると避難所が足りなくなる恐れが出てきますよね。
広域避難が一つの解決策ですが課題もあります。

去年10月に首都圏を直撃した台風19号。
広域避難の指示をするかしないか判断するタイミングでは、
判断材料となる気象データなどが明確になりませんでした。
また、
鉄道各社が計画運休を発表し、
公共交通機関を使った避難が不可能になってしまったのです。

課題が多く、現在、5区が協議会を発足して、
広域避難の方法について協議を進めています。

課題の1つとして、
江東区の防災課長、松村浩士さんは
避難してきた人を受け入れる避難先側の反応について
こう話してくださいました。

松村さん
東京都のほうが調整をはかっている部分もありますが、
現在のコロナの状況において、
他県をまたぐような移動は受け入れ側からすれば、
「なるべく来てほしくない」と
思うようなことがあるっていうのも、
実際の感情としてはあるんじゃないのかなと思っています。

新型コロナウイルスの終息が見通せない中、
他県をまたいで避難して良いのか?
悩むとこですね。

また、
広域避難の方針が一刻も早く示される事を願いますが、
まだ具体的な方法が示されていないのが現状です。
今、災害が起きたらどう避難をするべきか。
しっかり考えておく事が大切ですね。





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2020.08.15
08:25 水害に備えて・・海抜0メートル地帯・区の取り組み


台風シーズンに入り
引き続き大雨による水害に注意が必要です。

東京の荒川沿いにある江戸川区、足立区、江東区、葛飾区、墨田区。
この5区は、特に被災リスクの高い、
「海抜ゼロメートル地帯」が多い区とされていて、
洪水や高潮によって川が氾濫すると、
最悪の場合、ほとんどの地域が浸水します。

あなたのお住まいの地域は大丈夫ですか?
このような水害に備え、それぞれの区が対策強化を進めています。

足立区では、避難所の拡充を進め、区が保有する施設だけでなく、
私立学校や大学などと協定を結んで、
去年10月時点で135か所だった避難所は、164か所にまで増えました。
ことし6月には、区内の都営住宅の空き部屋も、
緊急の避難場所にできるよう都と協定を結び、整備を進めています。

江戸川区が進めているのは、避難所自体の機能の強化です。
今年5月から、最大6人が乗れる救助ボート106台を避難所に配置。
車いすでもボートに乗れたり、
陸上で人やものを乗せて引っぱって運ぶこともできます。
また、タブレット端末全400台を各避難所に設置して、
連携がとれた連絡体制を目指します。

去年首都圏を直撃した台風15号と19号。
台風19号では、荒川が氾濫危険水位に達し、
足立区や江東区では避難勧告を出しました。

こうした経験から、備えを進めているのは、江東区です。
江東区の防災課長、松村浩士さんにお話を伺いました。

松村さん
台風15号の際には千葉県で大規模な停電が発生。
台風19号では
江東区内の気象情報・災害情報がなかなか独自に発信ができなかったんです。
これらのことから今回防災備蓄用ラジオを配らせていただきました。
それとあわせてハザードマップをお配りすることで
ご自宅の浸水想定をご確認いただけるということで、配布しています。

江東区では、
ハザードマップや水害時の注意点をまとめた冊子を、
区内の全世帯に配布しました。
そして
手回し充電式のラジオを、無償で区内およそ27万世帯に順次配布しています。

松村さんは、
「避難をする」ということについてこう呼びかけています。

松村さん
「避難」というのは「難」を「避」けるということが基本。
「難」を「避」けることができる、
安全を確保することができるのであれば、
避難所への避難ということだけにとどまらず、
ご自宅での「在宅避難」や、区外の親戚・友人・知人宅への「縁故避難」など、
様々な避難の在り方を、ハザードマップなど区が提供する情報等を用いて、
事前にご検討いただきたいと思います。

いつ起きてもおかしくない災害に備え、
まずは自分の住んでいる地域の状況を知り、
どのように自分の身を守るのか、
日ごろから考えて、備えておくことが重要です。






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2020.08.08
08:25 この夏、体験しながら防災・地震について学ぼう!


今日は、
「家族で防災について学べる施設」をご紹介します。
東京・江東区 東京臨海広域防災公園の中にある
「そなエリア東京」は体験型の防災学習施設です。

そなエリア東京で体験できるのは、
地震発生後、72時間の生存力を身につける
東京直下72時間ツアーです。

地震が起きてから、
3日間は自治体や国の支援が整っていません。
この時間を自力で生き抜く必要が出てきます。
このツアーはジオラマの中を歩きながら、
避難場所にたどり着くまで、
どんな事が起きるか学ぶ事ができます。

東京臨海広域防災公園
副センター長・澤善裕さんに案内していただきました。

澤さん:
実物大で街を作りまして、
地震の後さまざまな被害が起きている
街をみなさんに体験していただくというツアーになっております。
目の前には、傾いてしまって鉄骨、鉄筋が見えてしまっているビル。
手前には、液状化現象で傾いてしまった電柱や、店内があります。
ぼやが起き始めているお店もございまして、
さまざまな被害がこれから大きくなっていく
という場面を皆さんに体験していただきます。

もし、東京で大きな地震が起きたら
こんな光景になるのか・・・と想像する事ができる位
リアルなジオラマとなっています。

また、このツアーはタブレット端末を使って、
クイズを解きながら防災の知識を身につける事ができます。

例えば、こんなクイズが出てきます。

ビル街を歩いている時に地震がありました。
正しいのはどちらでしょう?
建物のそばを歩いて避難する
建物から離れて非難する
答えは、△侶物から離れて非難するです。

クイズ以外に
AR体験で危険個所を確認しながら解説を見る事もできます。
その他にも、
避難場所の空間では、避難した先でどんな事が起きるのか?
どんな準備・対応が必要なのか?
タブレットを通して映像で確認できます。
他にも、
首都直下地震の被害想定の映像や津波避難体験コーナーなどもあります。

最後に、
澤さんはこんな話しをしてくださいました。

澤さん:
楽しみながら、防災のゲームで詳しくなったよ
という子供からの言葉をいただいたりします。

“楽しんで学んだ事”
こういうものが役にたつんだなと思ってた事は、
何かあった時に活かされます。
お子さんが、
面白かった、勉強になったと言ってご自宅に戻られる。
その後にうちの備えどうしようか?
という所に繋がっていきます。

楽しんで防災を学んでいただくスタンスで
運営をしているので、
ぜひ、楽しんできていただけたらと思います。

【そなエリア東京 詳細】
そなエリア東京は、
ゆりかもめ 有明駅から約2分の所にあります。
営業時間は、午前9時30分から午後5時まで。
休館日は月曜日です。
月曜日が祝日の場合は、翌日が休館となります。
入場は無料です。

この夏、家族で地震や防災について
体験しながら学んでみてはいかがでしょうか?



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2020.08.01
08:25 都市型水害に注意!


大雨による災害、
気をつけなければならないのは河川の氾濫だけではありません!
都心や市街地に住んでいても、
住宅が浸水してしまうなどの危険性があります。

それが「内水氾濫」です。
内水氾濫とは?
「市街地に短時間に大雨が降った時、
下水道や排水路が水をさばききれなくなる事があり、
溢れてしまった水が建物や道路を浸水させてしまう」
という水害です。

この内水氾濫は、
都市部で起きる事が多く都市型水害とも言われています。
また、河川の氾濫よりも
雨が降ってから、
浸水被害が発生するまでの時間がとても短いという所が特徴です。

水害に詳しい、
リバーフロント研究所の土屋信行さんは
住んでいる地域によっても、雨がたまるスピードが違うと話します。

土屋さん
例えば、
東京都は武蔵野台地から西側はゲリラ豪雨があると
急に水位が上がるような「都市型河川」が多いんですね。
東は、海抜0メートル地帯が広がっていますが、
比較的真っ平らな地形なので、じわじわと水位が上がります。
内水氾濫でも、地域によって水のたまり具合が違いますので、
自分の地域について理解して、避難行動に結びつけたいと思っています。

また、土屋さんは、
浸水危険エリアは、地名からも判断できると話します。

土屋さん
名前だけ“川”が残っている、千川通りとかですね。
桃園川通りとか・・・。
川の名前はついているけど川は見えないぞという所は、
急に雨が降り出して
20〜30分でいきなり水位が1メートル2メートル上がります。
そうすると、人が流される危険もあります。
川ではなくて道路で人が流されることが想定されるのです。

更に、土屋さんは、
川の地名以外に、
“谷”がついている地名にも注意して欲しいと話します、

例えば、「東京・渋谷区」
渋谷駅前のスクランブル交差点から
まわりを見てみると宮益坂や道玄坂など坂に囲まれていています。
どの方向からも水が流れ込む危険性があります。
東京には
他にも、四ツ谷や日比谷、茗荷谷など谷がつく地名も多くあります。
自分の家の近くに、
川や谷のついた地名がないか改めて確認してみて下さい。

あなたが住んでいる地域で内水氾濫が発生した時、
マンホールから水が吹き出していたり、
坂道が濁流となったりする事で避難所に行くことが困難な場合もあります。
通常、
雨が止めば数時間で水が引くことが多いので、
避難所へ行くより、
建物の2階以上へ移動する=垂直避難が安全な場合もあります。

今、住んでいる場所が
どれくらい浸水する可能性があるかを調べてみましょう。
安全な避難行動をとる事に繋がります。




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2020.07.25
08:25 水害が起きた後に注意するべき“感染症”とは?


今週、ようやく奄美地方が梅雨明けしましたね。
今年は、関東甲信地方も梅雨明けが遅れるようです。
梅雨が開けた後は台風シーズンがやってきます。

水害が起きた時、新型コロナウイルス以外の
感染症にも注意しなければならない事をご存知でしょうか?
今朝は、
「水害が起きた後に注意すべき感染症」についてお伝えします。

感染症に詳しい、
国立国際医療研究センターの忽那賢志先生にお話を伺いました。

忽那先生
身体が川に浸かってしまった様な・・・
水に浸かってしまった様な方は
「レプトスピラ症」という病気が流行ったりします。
また、災害で怪我をして破傷風になったりとか、
特定の感染症が流行する事があると言われています。
雨の後もそうですが、
避難所で集団生活をする事が
感染症のリスクを高めるという事です。

レプトスピラ症という感染症を
初めて耳にする方も多いのではないでしょうか?

忽那先生
ばい菌の感染症なんですけど、
ネズミのおしっこの中に生息しています。
ネズミのおしっこに汚染された川の水につかる事によって、
皮膚からばい菌が入って感染する病気です。
潜伏期間は3〜14日ほどです。
発熱や腎臓障害、意識障害などの症状が出ます。

2011年、三重県で台風による洪水が起きた際
避難者の中にレプトスピラ症にかかった方もいました。

対策としては、
丈夫な長靴や手袋を着用すること。
なるべく長袖・長ズボンなどで肌の露出を控える事も大切です。

もうひとつは、「レジオネラ症」です。

忽那先生
水のなかにいるばい菌です。
日本だと温泉とか、循環風呂に浸かって発症する事があります。
肺炎を起こす病気ですね。

このレジオネラ症は、
感染から2〜10日で、
発熱・倦怠感・咳・息苦しさ・意識障害などの症状が出ます。

2018年の西日本豪雨の際は、
レジオネラ肺炎にかかった方も多く報告されています。
対策としては、マスクをつける事が重要です。
マスクを2,3枚重ねたり、濡れマスクの利用も効果的です。

最後に怖いのが「破傷風」です。

忽那先生
ケガと動物に噛まれて感染することのある病気で、
筋肉がけいれんしてしまって呼吸ができなくなくなったりします。
普通はワクチンを子供の時に打っている方が多いです。
ただ、
1968年より前に生まれた人は
定期接種として受けていない人も多いので、
注意してもらいたいです。
ボランティアに参加する前に予防接種歴を確認してください。

忽那先生も話していましたが、
破傷風は、
小さなキズや擦り傷など傷口から入り、
感染すると、
命を落とす危険もあるという怖いウイルスです。
新型コロナウイルス以外にも
こんなに怖い感染症が潜んでいるんですね。

日本感染症学会は
「避難所における感染対策マニュアル」を出しています。
こうした感染症対策は、
自分の身を守るということはもちろん、
周りの人を守ることにもつながります。
ぜひ参考にしてみてください。


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2020.07.18
08:25 「大規模水害に備える コロナ禍での避難方法・避難場所」


九州の広い範囲をはじめ
岐阜県や長野などを襲った豪雨災害。

新型コロナウイルス感染の
収束が見通せない中で起きた大規模水害。

ウイルスと水害の複合災害が
もしかしたら、
あなたの住んでいる街でも起きるかもしれません。

今日は、
「水害が起きた際の避難方法・避難場所」
についてお伝えします。

まずは、
自分の住んでいる地域が
避難するべき場所であると判断したら
避難所に行きましょう!
その為には、
この番組で何度もお伝えしていますが
日頃からハザードマップを確認する
習慣をつけてくださいね。

家や働いている場所が避難する場所なのか
どうかを確認しておく事が大切です。

一方、
水害での避難方法について、
防災・危機管理アドバイザーで防災システム研究所の
山村武彦先生はこう話しています。

山村先生:
避難所に行くという行為が、場合によっては
クラスターに巻き込まれてしまう可能性もあるわけですね。
危険区域の危険なお家に住んでいる方へ対しての全員避難です。
例えば、
マンションの上階に住んでいれば、避難しなくてもいいですし、
あるいは浸水していても、わずかな浸水であれば
安全な2階の部屋に避難する。
いわば、垂直避難というのもありますよね

今回の豪雨では、
14日時点で九州を中心に河川の106の河川の
100ヶ所以上で氾濫が確認されています。
河川は、
1箇所で堤防が決壊したり氾濫したりすると
一気に低い土地が水に浸かります。

移動するのが危険だと判断した場合は、
無理に移動はせずに、自宅の2階に避難する
垂直避難で救助を待つことが大切です。

また、山村先生は
コロナウイルス感染の中での
避難場所についてこう話してくださいました。

山村先生:
避難所だけではなくて、
基本的には分散避難を考えてほしいですね。
今までは避難勧告が出たら、
避難所に避難するという認識でした。
そうではなくて、
安全が確保できたお宅は基本在宅避難ですね。
避難というのは、避難所だけではなくて、
避難する場合にもいくつかの選択肢がある
という事を認識して欲しいと思います

在宅避難の他にも、
親戚や知人の家、ホテル、
車中泊など様々な避難先に
分散して避難する事が大切です。

豪雨の被災地、
熊本県人吉市の方々にお話を伺った際に
友人家に避難しているという声や
親戚の家や旅館に避難しているという声も聞かれました。

最後に、
山村先生は
コロナウイルス感染症の中で、
今回の様な災害が起きた時も
大切にして貰いたい事があると話します。

山村先生:
日本は、古くから地震や台風に襲われてきた国です。
みんなが駆けつけて、
そして被災者に寄り添い、
助け合って乗り越えてきた国なんですね。
ところが、ウイルスになると、
密接や密着をできるだけ阻害しようとしますよね。
もちろん
物理的な距離は保ちますが
心と心の距離は、
是非密着して寄り添って欲しいと思います。


人の距離は保ちながら、
心の距離は密にして、
そして、手を取り合いましょう。





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2020.07.11
08:25 「出水期は 線状降水帯の雨に備える」


先週末から今週にかけて線状降水帯がもたらした記録的な豪雨。
九州各地で甚大な被害と爪痕を残し、
その後、岐阜県や長野県などの地域も大雨に見舞われました。
年々増える大雨・・・・。

水害に詳しい、リバーフロント研究所の土屋信行さんは
線状降水帯がもたらす雨についてこの様に話して下さいました。

土屋さん
線状降水帯っていうのを中心とした
洪水の発生は全国で起こっています。
地球温暖化によって、日本の周辺の海水面温度は、
約100年前に比べて2度から3度上昇していますので、
日本列島が
亜熱帯地域にあるって考えてもいい位地球温暖化が進んでいます。
ますます、前線性の雨、台風による雨も
この様な激しい雨を短時間に降らせる事は
今後、どんどん増えていく事になると思います。

過去にも、
2017年の九州北部豪雨や2018年の西日本豪雨
関東でも、
2015年の関東・東北豪雨では鬼怒川が決壊しています。
今後更に増えるという事は、関東でも起きる可能性があります。
九州で起きた様な線状降水帯が
都心や関東各地で発生した場合
どの様な被害が想定されるのでしょうか?
土屋さんはこう話しています。

土屋さん
都心地域にそんな雨がくれば、
当然河川は川にどれ位流すことができるかという
能力を超えて溢れてしまう事になると思います。
都心部ですと、
人口が集中していて建物が更に密集している。
更に、木造密集地域も沢山あって
そういう所に洪水が起こってしまうと、
家もろとも皆流されてしまうと思います。
更に、
東京の江東区、江戸川区、墨田区、葛飾区は
海抜0メートル地帯が広がっています。
荒川や江戸川が大雨で氾濫した場合、
この地域の大部分が浸水すると予測されています。
最大で5メートルの浸水・・・。
という事は2階まで水に浸かる地域も出てきます。
また、海抜0メートルの為、水が自然には排出されず、
2週間以上は水に浸かるという予想もされているのです。

そこで、重要となるのが“避難”
台風は発生した時から、
気象庁から情報が発表される為心の準備や
避難行動を早めに行う事ができます。
一方で
ゲリラ豪雨や線状降水帯は予測が難しいと言われています。

土屋さんは、
出水期といわれる6月から10月までの間に
前線が発生した場合
ゲリラ豪雨や線状降水帯となる可能性が高いと思って、
心の準備をしてほしいと話します。

土屋さん
ご自分のご自宅にいれば、
隣のうちのマンションにいれていただくとか
職場にいたら、
職場のビルにいた方がいいのか、隣のビルに逃げた方がいいのか
地下鉄乗っていたら、
もしここで大雨が降ってきたら、
早く地上に出ようとか。
この時期については、
安全な場所へ逃げる為にどう行動すべきかを
頭の中で考えて生活していただきたいと思います。

線状降水帯がもたらした豪雨災害。
土屋さんの話にもあった様に、
出水期と言われる
10月までは天気予報をこまめにチェックすることや、
少しの雨でも心構えをする事が重要です。



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2020.07.04
08:25 豪雨災害に備える、治水対策


梅雨、台風、局地的な豪雨・・・。
これから秋にかけて、水害の危険に備える必要があります。
最近は、毎年の様に
全国で広範囲に渡る水害が発生していますよね。
水害から、あなたの命、そして、大切な人の命を守るための
知識を様々な角度からお伝えします。

今日は、「治水対策」についてお伝えします。

あなたの記憶にも新しい去年の台風19号による豪雨被害。
堤防の限界と広範囲にわたり大きな被害がでました。

この時、
71の河川の140ヶ所以上の堤防が決壊して、
述べ300以上の河川が氾濫しています。

水害に詳しい、
リバーフロント研究所の土屋信行さんは
地球温暖化と共に更に水害が増える可能性を指摘します。

土屋さん:
地球温暖化によって平均気温が2度くらい上がると
日本の降雨量は約10%、
4度上がると20%から30%増えると言われていまして、
それによる直接的な被害を及ぼす洪水は、
4度上昇すると4倍増えると国連のICPPが警鐘を鳴らしています。

2017年は、九州北部豪雨、18年は西日本豪雨と立て続けに水害が起きています。
また、気象庁も、今後、地球温暖化の影響で、
100年から200年に1度の豪雨の発生頻度が約2倍になると予測をしています。

そこで、急務となるのが治水対策です。
土屋さんは治水対策の問題点についてこう指摘します。

土屋さん:
日本は、全国で109水系に分けて管理をしているんです。
こういう全ての川合わせて、治水対策も含めて、
今後、降ると予測される雨量に対して
安全だと言える治水対策が終わった川は一本もないんです。

今年も、豪雨に見舞われるかもしれません。
そこで、国は、台風19号を教訓に治水対策の転換をしました。
具体的には、新たなダムを作らず、
今あるダムを活用した貯水強化に乗り出しています。

先月4日には全てのダムの有効貯水容量のうち、
水害対策に使う事のできる容量を
これまでの3割から、およそ6割に倍増できたと発表しています。
これは、八ッ場ダム50個分に当たる容量です。

また、
神奈川県の武蔵小杉などの浸水被害が生じた水系では、
新たに3600万立方メートルの容量を確保して
台風19号と同じくらいの台風であれば、浸水の被害を防げるよう対策しています。

最後に、
土屋さんは、今あなたができる事についてこう話します。

土屋さん:
ハザードマップは絶対です。低い所にしか色は塗られていないんです。
ハザードマップをはっきり言って信頼して大丈夫です。科学的に恐れてください。

実際に、
台風19号の被災地長野県や福島県のでは、
浸水地域がほぼハザードマップの
予想通りで、有効性が裏付けられています。

ハザードマップを確認する、
そして水害について、知識を身に着けておく事が、
あなたの命、そして大切な人の命を守る為にできる事に繋がります。


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2020.06.27
08:25 「深夜・明け方の地震」


おととい、早朝4時47分ごろ
千葉県東方沖を震源とする
マグニチュード6.1の地震が発生しました。

千葉県で最大震度5弱を観測していて
関東の広い範囲で揺れが観測されています。

あなたは、緊急地震速報の音で起きたり、
揺れを感じてはっと目がさめませんでしたか?
私は、緊急地震速報で目が覚めて
そのあと来た揺れに・・・。
大きな地震になるのではないかと、“ドキッ”としました。

“何故、この地震が起きたのでしょうか?”
地震学に詳しい、
防災科学技術研究所 首都圏レジリエンス研究推進センター長
平田直さんに伺いました。

平田さん:
千葉県の東方沖というのは、これまでにも地震が度々起きています。
日本の中でも地震が起きやすい所です
。2011年の3月に起きた東日本大震災。
東北の太平洋側から関東にかけても地震の活動が活発になっていて、
地震発生からまもなく10年ですが、
東日本大震災の前より地震が多くなっている所となっています。

気象庁は、この東日本大震災の余震活動は
少しずつ収まってきているものの、
1年あたりの地震の発生数は、東日本大震災の前よりも
多い状態が続いているといいます。

平田さんは、
一度地震が起きると、周辺で地震が起きやすい状態になると話します。

平田さん:
地震というのは、1つ1つ、単独で起きるわけではなくて、
1度起きると周辺が非常に地震が起きやすい状態となります。
今回の、震度5弱、強い揺れに見舞われた地域、
あるいはその周辺は同じ位の強い揺れになる可能性があると思います。
特に、2、3日はそういった揺れに注意が必要で、
一週間ぐらいは、同様の強い揺れになる可能性があります。

さて、今回の様に、早朝や深夜に、
地震が起きたらどの様な行動をすれば良いのでしょうか?

?
大きな揺れを感じたら家具などが倒れてくる可能性があります。
布団や枕で頭を覆いましょう。

驚いて布団から飛び出すと危険です。
揺れが収まるまで、待ちましょう。
?
揺れが収まったら、
家族の安全を確認し、家の中の状況を把握しましょう。

停電している場合は懐中電灯が必要です。
ベッドの近くに常に懐中電灯を置いておくと安心ですね。
落ちついて状況を把握しましょう。

一度揺れが収まっても、
またすぐに余震が起こる場合もあります。
家の中でもヘルメットやなければタオルなどで頭を保護してください。
?
津波や土砂崩れが予測される地域は一刻も早く避難が必要ですが、
ラジオなどで情報を知る事も大切です。

場合によってはすぐに避難しないほうが安全な場合もあります。
?
“避難すべき”と判断した場合は最小限の荷物を持って避難しましょう。

寝ている時に起こる地震は日中の地震に比べて
実際の震度より大きく感じる傾向があるそうです。
だからこそ、落ちついて冷静に行動する事が大切です。

今、一度家族で話し合っ
て“寝ている時間に地震が起きた場合の行動”を確認しましょう。

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