2022.07.30
08:25 噴火警戒レベルの捉え方


7月24日(日)に鹿児島県の桜島が噴火。
気象庁は、桜島の噴火警戒レベルを、「3」の「入山規制」から
最高レベルの「5」避難に引き上げました。

そこで、
今朝は「噴火警戒レベルの捉え方」についてお伝えします。
まず、「噴火警戒レベルとキーワード」を確認しましょう。
レベル1は、「活火山である事に留意」
レベル2は、「火口周辺規制」
このレベル1と2の時は、住民は通常の生活を送ります。

火山活動に関する情報収集や避難手順の確認。
防災訓練などに極的に参加する事などが推進されています。

レベル3は「入山規制」
このレベル3も普段と変わらず通常の生活を送ります。
レベル1や2と違う事は、今後の火山活動の推移に留意しながら
状況に応じて、高齢者などの要配慮者の避難の準備など
確認をしておくという事です。

レベル4は、「高齢者等避難」
この時は、住民地域に重大な被害を及ぼす
噴火が発生する可能性があると予想されます。
警戒が必要な居住地域での高齢者や要配慮者の避難、
住民の避難の準備をする事が求められます。

レベル5は、「避難」
居住地域に重大な被害を及ぼす噴火が発生。
あるいは切迫している事を示しています。
危険な居住地域からの避難が必要。となっています。
この噴火警戒レベル5について
山梨県富士山科学研究所 富士山火山防災研究センターの
吉本充宏(よしもと・みつひろ)さんはこう指摘します。

火山は、
他の災害現象に比べると、
大きな噴石、火砕流、溶岩流や火山灰や火山ガスなど
様々な現象が起こります。
また、その現象によって、届く距離やスピードが違います。
火山噴火は不確定な要素が多く予想する事が難しいと吉本さんは話します。

正しく情報を取る為の準備もしておきたいですね。
今朝は、
「噴火警戒レベルの捉え方」についてお伝えしました。


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2022.07.23
08:25 夏休み♪ 親子で学べる防災体験施設


今週から多くの小学校では、夏休みがスタートしました。
そこで、今朝は「親子で学べる防災体験施設」をご紹介します。

防災体験施設は、日本全国に160か所以上あります。
防災体験施設は大きく分けると「体験型」と「伝承型」の2種類あります。

体験型は、地震や土砂災害、風水害の様な自然現象を疑似的に体験して
五感で感じる施設です。
伝承型は、災害が起きた被災地に多く建てられています。
どんな災害が過去にあったのか、被災者の思いなども紹介する施設です。

都内にある体験型施設でオススメなのが、
墨田区にある「本所防災館」です。
東京消防庁が運営する施設で、
都市部で起きる様々な災害への備えを
疑似体験しながら学ぶ事ができます。
この本所防災館には、いくつかの体験コーナーがあります。
地震体験コーナーでは、
過去に国内で起きた地震の揺れが忠実に再現されています。
壁にも室内や屋外での地震の映像が同時に映し出されよりリアルに体験できます。

煙体験コーナーでは、
吸い込んでも大丈夫な煙が充満した部屋の中を避難します。

室内の上の部分には煙が充満していて、
煙を吸わない様に姿勢を低くして歩いていきます。
すると・・・停電が起きて真っ暗に。
先が見えない中手探り進んでいきます。
脱出したあとに、こんな質問があります。
「煙の中で何かにおいはしましたか?」ここで、
匂いが分かった場合は、危険なガスを吸い込んでしまった事を意味します。
煙体験が終わると火災時の正しい避難姿勢を担当の方が教えてくれます。

続いては、「暴風雨体験コーナー」
人工的に雨と風が再現されて
体験する事ができるのは、都内では、本所防災館だけです。
お子さんは、風速10メートル、雨量30ミリの
バケツをひっくり返した様な雨を体験する事ができます。

また、大人だけ体験する事ができる、
大型台風クラスの風速30メートル、時間雨量50ミリの暴風雨。
このクラスの台風は、前を見る事も難しくなります。
台風の最中に避難する事がいかに危険か身をもって知る事ができます。

都市型水害体験コーナーでは、
地下のドアが浸水して
水圧がかかっている想定でドアの解放にチャレンジする事でできます。
わずか30センチメートルの水の深さでも
水圧がかかりドアが重くなる事を体感する事ができます。

他に「消化体験コーナー」などもあります。

防災体験を一つ終えるごとに「消防車両のカード」が貰えます。
また、5枚集まると「修了証」が渡されます。
気になったあなた。
本所防災館で検索してみてください。

自分の命をどう守るか?
親子で体験する事で見える災害への備えについて
この夏考えてみてはいかがでしょうか?


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2022.07.16
08:25 12日(火)の局地的な大雨に備えて


12日(火)夕方から
埼玉県西部を中心に記録的な大雨となりました。
鳩山町や東松山市などで1時間におよそ100ミリから
110ミリの猛烈な雨が降り続き、住宅の浸水や土砂災害が発生。

水が堤防を越えた東松山市の九十九川に加え、坂戸市の葛川、
飯盛川でも水があふれる「溢水」が確認されました。
この大雨による怪我人などはいませんでしたが、
家屋の床上・床下浸水や土砂崩れで住宅6棟が被害に合いました。

12日の雨は、1時間に100ミリを超えました。
この様な雨について、
気象庁の予報課予報官池田徹さんはこう解説します。

1.7倍増えているという事で、
数字からも水害のリスクが年々たかまっている事がわかります。

同じ雨量でも日中に降る雨に比べて夜に降る雨は
危険度は更に増します。
この様な状況な時に役に立つのが、
「危険度分布=キキクル」です。

キキクルとは、
大雨などによる災害の危険度を5段階に色分けして
地図上にリアルタイムで表示してくれるサービスです。
気象庁のホームページで全国各地の危険度を簡単に把握する事ができます。
危険度を確認できるのは、
土砂災害、浸水害、洪水災害、この3つの大雨による災害です。
気象レーダーで
雨量をチェックしていれば大丈夫と思っている方もいるかもしれませんが、
土砂災害、浸水害、洪水は、
雨が降っていない所でも発生する可能性があります。

例えば、
川の上流で集中豪雨があった場合、雨が降っていない下流で洪水が
起きる事もあります。

大雨警報や洪水警報が出ている時、不安になるような強い雨が降っていた時に
気象庁のHPからキキクルにアクセスすると、
お住いの地域でどれくらい危険が高まっているか確認できます。

地図上に表示される色がクリーム色だと「今後の情報に留意」
黄色は「注意」赤「警戒」うす紫「非常に危険」濃い紫「極めて危険」と色が表示されます。
さてこの、キキクルはリアルタイムで危険を把握するのに役立ちますが、
それだけではいざという時に対応しきれません。
あなたに、一度確認してもらいたい事。
それは、お住いの自治体のホームページなどで、防災マップや
ハザードマップをチェックして
土砂災害や洪水が起こりやすい場所を事前に把握する事です。

警報が発令されたら自治体の情報と共に、
気象庁が提供している、危険度分布=キキクルをチェックする習慣を身に着けましょう。


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2022.07.09
08:25 改めて確認したい。大雨への備え


今週は、5日に台風4号が長崎県に上陸。
長崎、福岡、熊本ではところによって
1時間に120ミリ以上の猛烈な雨が降りました。
この台風の影響では、高知県では、線状降水帯が発生
土砂崩れなどが発生しています。
そこで、今朝は
「改めて確認したい。大雨への備え」についてお伝えします。

ここ数年の豪雨災害は、7月上旬に集中しています。

去年、2021年7月3日には豪雨によって熱海市で大規模な土石流が発生。
また、2020年、熊本県の球磨川の堤防が決壊したのも7月4日でした。
さらに、2018年に発生した西日本豪雨も6月28日〜7月8日に起きています。

7月上旬は、湿った空気が流れ込こむ影響で
積乱雲が発生して大雨が降りやすくなります。
また、線状降水帯や台風での豪雨災害も想定されます。

毎年の様におきる大雨による災害。
国土交通省の資料によると1時間の降水量が50ミリ以上の雨について
10年ごとの平均回数は、
1976年〜1985年までは、「平均226回」、
2012年から2021年までは「平均327回」と
およそ、1.44倍に増加しました。

1時間に50ミリ以上の雨が降ると、
都市部では地下室や地下街に雨水が流れ込む場合があります。
都心では、50ミリを超えた場合下水道があふれやすくなる為、
東京都は豪雨に強い下水道整備も進めています。

さて、あなたの街で大雨が降り続いたら、
どのタイミングで避難するのか覚えていますか?
「大雨警戒レベル」について改めて確認しましょう。

大雨警戒レベルは5段階あります。
もっとも危険が高いレベルは、
レベル5で「命の危険」がある事を示します。
このレベル5相当となる情報は、
自治体からの避難情報となるのが
「緊急安全確保」雨の情報は「大雨特別警報」です。
この状況になっての避難は危険が伴います。
ですから、1つ下のレベル4で避難しておく事が大切です。
このレベル4の 自治体からの避難情報は「避難指示」
雨の情報は「土砂災害警戒情報」です。
事前にハザードマップを確認して心の備えをしておきましょう。

ご家庭の防災備蓄は備わっていますか?
最低3日分できれば1週間分の非常食と飲料水
懐中電灯や、携帯ラジオ、携帯トイレ、衣類、毛布やタオル
常備薬や救急用具、軍手などの備蓄が必要です。

家庭によって必要な量や数は異なります。
東京都が作成した、「防災備蓄ナビ」というサイトでは
あなたのご家庭でどのくらいの備蓄が必要か計算してくれます。

「家族の人数」「年代」などを入力し、住まいについて
戸建てかマンションかを選択すると、
家庭ごとに必要な備蓄リストが表示されます。
例えば、大人2人子供2人でマンション住まいの場合。
1週間分で、飲み水76リットル、レトルトごはん76食
簡易トイレ140回分など、どのくらいの備蓄が必要かが分かります。
準備の参考にしてみてはいかがでしょうか?

東京都のホームページ内で「防災備蓄ナビ」と検索してみてください。
今朝は、「大雨への備え」についてお伝えしました。


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2022.07.02
08:25 電力需給ひっ迫注意報 私たちにできる事


今週は、
関東をはじめ全国各地で厳しい暑さが続いた一週間でした。
27日(月)には、気象庁から梅雨明けの発表がありました。
平年よりも22日早く、最も早い梅雨開けで、
気象庁が統計を開始して以来最も短い梅雨の期間となりました。
この、気温上昇を受けて、東京電力管内では、
電力需給が厳しくなる見通しとなり
初の「電力需給ひっ迫注意報」が出されました。
今朝は、
「電力逼迫 あなたができる節電対策」についてお伝えします。

この電力需給ひっ迫注意報は、
翌日の電力需給が厳しい場合に出される注意報の事を言います。
安定供給に最低限必要な予備率は、3パーセントとされています。
予備率が5パーセントを下回る場合に
「電力需給ひっ迫注意報」が、
3パーセントを下回る場合には、
「電力需給ひっ迫警報」が発令され節電が呼びかけられます。

何故、電力需給がひっ迫するのでしょうか?
東京電力パワーグリッドによると、
6月から急激に気温が上昇した事、また、
火力発電所の供給力が落ちている事が要因としてあげられると言います。

この夏は、厳しい電力需給が見込まれます。
国や経済産業省は私達に
「暑い時間帯には引き続き冷房などを活用」しつつ
「使用していない照明を消すなど、無理のない範囲」での節電を呼び掛けています。
では、具体的にどのような節電をすると効果的なのでしょうか?

ご家庭の節電対策です。
不要な照明を消す。 リビングや寝室の照明の明るさを下げる。
テレビやパソコンは、
リモコンの電源ではなく、本体の主電源を切って、
長時間使わない機器はコンセントからプラグを抜きましょう。

冷蔵庫は、
冷蔵庫の冷やしすぎを避けて、強から中へ変更。
扉を開ける時間を減らし、食品を詰め込み過ぎないようにしてください。
また、エアコンは、
室内の冷やしすぎに注意し、
室内温度を調節しながら使用してみて下さい。
夏に家庭で電力消費が多い家電製品の割合は
エアコンがトップで、34.2%
次いで、冷蔵庫が17.8%、照明が9.6%と、
この3つで全体のおよそ6割を占めています。
節電の効果を十分に発揮する為には、
「エアコン・冷蔵庫・そして照明の使い方」を工夫する必要がありそうです。

では、私達が働くオフィスではどうでしょうか?
エアコンについては、オフィスでもいえる事ですが、
その他、パソコンやコピー機は、
長時間離れる時は、電源を切るかスタンバイモードにしましょう。
可能な範囲で
執務室や店舗エリアの照明は全部点けずに、半分程度にしましょう。
その他、オフィスではこんな省エネ対策も行えます。
トイレの温水洗浄便座は、
使用状況を確認して、便座や水の温度設定を切にしたり、
長期間使わないトイレはコンセント自体を抜きましょう。

電気ポットは、
節度設定を見直す。省エネモードにするなど設定を確認。
使わない時は、電源をオフにしましょう。

「電力需給ひっ迫注意報」や「電力需給ひっ迫警報」が出された時に
ご家庭でもオフィスでも効果的な節電方法を知っておきましょう。


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2022.06.25
08:25 石川県珠洲市の地震 キーワードは「流体」


今週19日(日) 石川県珠洲市で、震度6弱を観測する地震が起きました。
その後、20日(月)にも震度5強を観測するなど地震活動が活発な状態が続いています。
この地震について、京都大学 防災研究所の西村拓也准教授はこう説明します。

西村准教授
能登半島の周辺では、2020年12月から小さい地震が活発に起こっていまして
1年半くらい地震活動が多い状態が続いておりました。
こういう地震を群発地震と呼んでいます。
特に1番大きい地震と言うよりは、同じ様な規模の地震が
南海も活動の〜を繰り返しながら、
大きくなったり小さくなったりしながら長く続くというのが特徴です

お話しにもありましたが、珠洲市がある能登地方では、
2020年12月から震度1以上の地震が160回以上発生しています。
また、国土地理院によると、
珠洲市の地表面は20年12月以降、およそ4センチ隆起していて、
地震活動の活発化と地殻変動はほぼ、同じ時期に起きていると言えます。
そこには「流体」が関係しているといいます。
再び、西村准教授のお話しです。

西村准教授
流体が溜まっていて、
それで地面を押し広げて、この様な隆起であったり
群発地震を生じさせているのではないかと考えられています。
流体は、
例えばガスとか水とかあるいはマグマというのも流体と言うんですけれども、
能登半島には火山がないですので、恐らくマグマではないという風に思われます。
地下の深い所に水があるというのは、
火山帯以外の所でもいろんな場所にあると考えられていまして、
今回の能登の場合も、水が深い所から上がってきて地震に関連していると考えられています。


太平洋プレートが沈みこむ際に引き込まれた海水の一部が、
温度や圧力の影響で上昇して地下に溜まって地面が隆起したとみられるという事です。
その後、まわりの岩盤に力を与える様になって、群発地震の原因となっている可能性があると言います。
現在も、地殻変動はゆるやかに続いている事から、地下でこの水が移動していると考えられています。
今後、数か月から半年間は地震活動に注意が必要です。
さて、
関東に住んでいるあなた、石川県能登半島で起きた事・・・と思っていませんか?
この様な、流体が溜まる地域は限定されているのか?
関東でも起こる可能性があるのか最後に西村准教授に伺いました。

日本列島は、地下から水が上がりやすい所に位置しておりますので、
能登半島が非常に特別な場所というわけではなくて、
日本列島の他の場所でも可能性としては水が上がってきたりという事はありうる事だと思います。
関東地方は、どちらかと言うと
比較的上がりにく所にあるんじゃないかなと思うんですけども、
山側や伊豆に近い方では
水が上がりやすい地域もあるのではないかと思います。

今回の様な地震のメカニズムは、関東でも起こりやすい地域はある。
流体が溜まって起きる地震もあるんだという事を覚えておきましょう。


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2022.06.18
08:25 災害シナリオ〜避難生活編〜


東京など首都圏を襲う「首都直下地震」
東京都は、首都直下地震の被害想定を10年ぶりに見直しました。

先週の防災FRONTLINEでも、お伝えしましたが、
今回の想定では、生活に及ぼす影響やライフラインなどへの被害が
地震のあとにどのように変化するのか、1か月以上にわたって時系列
で具体的に示した、「災害シナリオ」が新たに盛り込まれました。

今朝は、
災害シナリオで想定された“避難生活”の内容についてお伝えしていきます。
避難生活で想定されるシナリオは、「避難所に避難した時」と
「在宅避難を続けた時」と分けて検討されました。

まず、避難所に避難するケースでは、
地震発生直後は多くの人の避難が見込まれますが、
停電や通信の断絶によって
行政側による避難者の数の把握や安否確認のほか、
避難所で必要な物資を把握する事が難しくなる可能性があると言います。

例えば、臨時に解説された避難所などは、
行政に把握されないまま食料や救援物資などが
とどかない事態が生じる可能性が指摘されています。

地震発生から3日後以降、自宅で避難していた人の備蓄がなくなり、
避難所に避難してくるケースが増える可能性もあります。
また、このころには、避難所に非常用の発電機があったとしても、
燃料がなくなり使用できなくなったり、テレビやスマートフォンによる
情報収集や、照明、空調などの利用が難しくなる恐れがあるという事です。


1週間後ごろからは、
計画停電の実施が及ぼす影響も考えなくてはなりません。
携帯電話の基地局の停電でさらに通信障害が発生したり、
空調が使用できない事態が想定されます。

自宅に大きな被害がなく、周囲に火災などの危険性もなく、
備蓄がある程度確保できている時などは在宅避難も想定されます。

ただ、マンションなどの中高層階に住む人は地震の発生直後から
エレベーターの停止により、地上との往復が難しくなるおそれがあります。
中には、水道の供給が続いていても配水管などが崩れ、
修理が完了するまでトイレが利用できなくなる事態も予想されます。

徐々に停電が解消されたとしてもエレベーターは
点検作業が完了するまで使用できないおそれがあります。
東京都によりますと都内にある高さ45メートルを超える
高層建築物は前回の被害想定の公表以降、
この10年でおよそ1.4倍になっています。

また共同住宅の6階以上に住んでいる世帯も3割以上
増加したという事で、高層階に住む人たちに
対し在宅避難への備えを呼び掛ける事が重要です。

在宅避難は、避難所で避難生活を送るより
ストレスがないと言われていますが、お伝えしたような状況が
想定されます。マンションの住民同士で、
首都直下地震が発生した時の事について、
話し合い“共助”の意識を高める事も大切です。


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2022.06.11
08:25 首都直下地震 「災害シナリオ」って?


東京など首都圏を襲う「首都直下地震」
東京都は、首都直下地震の被害想定を10年ぶりに見直しました。
建物の耐震化が進んだことなどで、死者はおよそ6150人
と前回の想定よりも3割ほど少なくなりました。
また、全壊の建物も、およそ8万2200棟と、
3万4千棟あまり少なくなりました。

今回の想定では、生活に及ぼす影響やライフラインなどへの被害が
地震のあとにどのように変化するのか、1か月以上にわたって時系列
で具体的に示した、「災害シナリオ」を新たに盛り込まれました。 

この、災害シナリオの内容を詳しくお伝えします。
まず、ライフラインとインフラです。
電力は、発生直後や翌日は、
広範囲の停電や、首都機能を維持するための計画停電が行われる
可能性があるほか、送電用の鉄塔が倒れると、停電は長期化する恐れが
あります。3日後からは、電柱や電線の復旧作業によって徐々に
停電は減っていくものの、供給が低下したままなのに
需要が抑制されないと計画停電が継続する可能性があるとしています。

水道はどうなるのでしょうか?
断水は、23区の3割、多摩地区の1割で起きると予想されています。
水道や下水は、1か月後にはおおむね回復するものの、ビル、マンションでは
配管修理が完了しないと、水道やトイレが利用できない状態が続きます。

この10年で、都内の携帯電話の契約数は3倍に増えている一方で
公衆電話は減っています。
今、私たちの生活に欠かせない通信はどうなるのでしょうか?
電話やインターネットは、基地局や電柱の被害で地震直後から使えなくなる
他、電話やデータの送受信が集中する事で電話は繋がりにくくなり、
メールや
メッセージのやりとりも時間がかかるようになります。
さらにその後、基地局などで非常用電源の燃料が枯渇すると
利用できない地域が広がる事もあると想定されています。

公衆電話の場所を事前に確認したり、通信アプリを活用したりするなど
複数の手段を利用できるようにしておきましょう。

続いて、インフラについてです。
地震直後にストップした在来線や私鉄は1週間後でも、脱線などの
被害によって多くの区間で運行停止のままで、出勤や帰宅が困難な
状況がつづきます。1か月後には、震度6弱以上の揺れを観測した
地域のおよそ6割で復旧するものの、被害状況によっては、さらに
復旧まで時間がかかる事が見込まれています。

こうした事から物資の不足も懸念されます。
東京湾の岸壁のおよそ7割が被害をうけ、コンテナなどによる
物流に大きな影響を与えるほか、先行きへの不安による買いだめで
物資の不足が加速する可能性も、この災害シナリオでは指摘されています。

来週の防災FRONTLINEも災害シナリオの具体的な内容をお伝えします。


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2022.06.04
08:25 首都直下地震被害想定見直し


今朝は、東京都が10年ぶりに見直した
「首都直下地震の被害想定」についてお伝えします。

被害を想定したのは、
都心南部直下地震、多摩東部直下地震 N川断層帯地震
ぅ泪哀縫船紂璽稗献ラスの大正関東地震の4つです。
いずれも、
空気が乾燥し、火などの利用が多くなる冬の午後6時に
地震が発生した際どの様な事が起こりうるのか予測されました。

それぞれの地震の被害想定をお伝えします。

まず、
都心南部を震源とした地震=都心南部地震では、
東部や南西部を中心に23区のおよそ6割にあたる地域に、
震度6強以上の揺れが襲うとされます。
湾岸や川に近い江東区や江戸川区、荒川区などの
一部地域では震度7に達すると予想されています。
この地震による、都内の被害は、
死者およそ6200人、負傷者は、9万3435人
揺れや火災による建物被害は、およそ19万4400棟、
帰宅困難者はおよそ453万人に上るとみられています。
ただ、10年前に出された想定と比べると
死者は、およそ9641人からおよそ61481人とおよそ6割に
減少。また、負傷者、建物の被害もおよそ6割に減りました。

想定被害を小さくした理由として
東京都は、今の耐震基準を満たす住宅を示す耐震化率が10年前より、
10.8ポイント高い92%になった事や、燃えやすい木造密集地域が
少なくなり、街並みの不燃化が進んだ事があげられるとしています。


続いて、多摩東部直下地震が起きた場合についてです。
三鷹市や東久留米市、小平市、武蔵野市など多摩地域のおよそ2割を
震度6強以上の揺れが襲うと見込まれています。東京都がこの地震の
被害を想定したのは初めての事です。
最初にお伝えした都心南部直下地震と多摩東部直下地震は
今後30年以内の発生率が70%とされています。

の立川断層帯地震は30年以内の発生率は0.5%〜2%
武蔵村山市や昭島市など多摩地域の9市町で震度7の非常に強い揺れが
想定されています。死者はおよそ1500人とされ、
前回の想定よりもおよそ1100人減りました。

最後の
マグニチュード8クラスの大正関東地震は
プレートの動きによる海溝型地震で、30年以内の
発生率は0〜6%と予想されました。

この様に被害想定が大きく変わった点があります。
あなたも知っておいてくださいね。

耐震化などで、被害想定は縮小されましたが、
この10年で私達の暮らしは大きく変わった事による問題もあります。
例えば通信の変化、スマートフォンは普段の生活が便利になった反面
災害時にはつながりににくくなります。最近、街中にある公衆電話
の数少なくなりましたよね。東京都は、「東日本大震災当時以上に
公衆電話に長蛇の列ができるのではないか?」と想定しています。
また、10年前に比べて、木造の建築物が密集している地域に1人で住む
高齢者や、マンションの高齢者に住む人が増えいてることも新たな問題に
繋がるとみられています。

来週は、東京都が被害想定で新たに取り入れた、
「災害シナリオ」についてお伝えします。


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2022.05.28
08:25 6月1日から「線状降水帯予測」開始


さて、関東南部も梅雨の時期が近づいています。
近年では、台風や、梅雨前線による大雨の他に、
線状降水帯による災害も起きています。

この、線状降水帯とは、
発達した雨雲が線状に次々に発生して
ほぼ同じ場所を数時間にわたって通過・停滞する事で
集中豪雨を引き起こす現象の事を言います。

令和2年7月豪雨では、西日本から東日本の広い範囲にわたって
長期間の大雨となりました。
特に九州では線状降水帯が多数発生し甚大な被害が発生しました。

こうした中、気象庁は
来月の6月1日から「線状降水帯」の予測を開始します。
線状降水帯が発生する恐れのある場合には、
半日から6時間前まで気象情報で発表されます。

その背景について 
気象庁・大気海洋部 
久保池大輔調査官に伺いました。 

久保池さん:
線状降水帯という現象は、かなり予測が難しい現象でございます。
線状降水帯について昨年から
「顕著な大雨に関する気象情報」と言う情報で、
線状降水帯が発生しましたよ。と言う事をお伝えしてきました。
観測技術の進展・予測モデル、シュミレーションの高度化などを踏まえて、
大まかな単位であれば、大まかな地方単位であれば
予測できるだろうと、今回、線状降水帯の発生が高まっていると。
そういう可能性があるという事をお伝えする事に致しました。

大まかな地方単位という言葉がありましたが
情報は、「関東甲信」や「九州北部」など全国11の地方ごとに
だされ、「地方気象情報」や「府県気象情報」などに
“線状降水帯が発生する可能性がある”という文言を盛り込んで
警戒を呼び掛けます。

この線状降水帯の予測は非常に難しい為、
この様な事も予想されると言います。再び久保池さんのお話しです。

久保池さん:
この情報を出しても空振り→情報を出しても線状降水帯が起こらない事や
見逃し→この情報が出ていないのに線状降水帯が発生してしまう事があります。
ですので、この情報を発表した時にはですね。大雨が起きる可能性があるんだなと。
という事で災害に対する心構えを一段高く持っていただく事を目的としております。
ですので、この情報が発表されたら、
住民の皆さまには、大雨災害に対する危機感を早めに持っていただいて、
ハザードマップを確認していただく、
避難所・避難経路の確認を行っていただきたいと思っております。

まもなく、6月です。
今週24日(火)に発表された3か月予報では、関東甲信でも
6月は降水量が平年並みか多い予想となっています。
大雨や洪水に関する警報、土砂災害警戒情報など
大雨に関する情報に加えて、
「線状降水帯」についての発表があった場合も
避難情報を確認し、早めの行動を心がけましょう。



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■2021年 ON AIR
首都圏に線状降水帯が滞留したら 水災害に備える 首都圏ノウハウ
■2020年 ON AIR
TOKYO FM 防災の日 1DAYスペシャル 大災害、その時に… 命を守る防災アクション
■2019年 ON AIR
防災とボランティアの日 特別プログラム 東京BLACKOUT 〜大停電、そのとき
■2018年 ON AIR
TOKYO FM 防災とボランティアの日 特別プログラム 防災LIFE HACK! 〜目の前の命を救うウラワザ
防災の日ワンデー企画 防災 ONE ACTION!
■2017年 ON AIR
防災の日 TOKYO FM 1DAY PROGRAM WATER DAMAGE 〜豪雨、そのとき
防災とボランティアの日 特別企画 ESCAPE FROM LEVEL X ~巨大立体都市を生き延びる~
■2016年 ON AIR
PROTECT MYSELF
■2015年 ON AIR
DIGEST
IN THE CRISIS
■2014年 ON AIR
LOVE & HOPE
防災ONE DAY
■2013年 ON AIR
防災ONE ACTION
防災ONE DAY
■2012年 ON AIR
PROTECT YOURSELF
■2011年 ON AIR
SAVE THE LIFE
■2010年 ON AIR
WALK
IN THE CHAOS
防災ONE TOPIC
■2009年 ON AIR
IN THE CHAOS
防災ONE TOPIC
■2008年 ON AIR
THE MOMENT
AGAINST THE EARTHQUAKE