しとしととほんの少し雨が降る、今日のスタジオにお迎えしたのは、
「ドクトル雨水」の異名をとる、村瀬誠さん!
ご本業は、「墨田区環境保全課主査」でいらっしゃいます。


(実は村瀬さん、世界各国で『Dr.Rain Water』として、超☆有名なんですよ。)

実は2年間の島暮らしをしていたハチドリ高柳、島では雨水を飲んで生活していたので、
雨水利用については、他人事とは思えません。
でもそもそも、どうして村瀬さんは「雨水利用」を推進なさっているのでしょうか?

「実は25年ほど前、保健所の職員だった頃、墨田区の両国界隈は大雨が降ると、
たびたび洪水が起きたんですね。しかも下水に雨水が入ってあふれてしまうから、
非常に不衛生な水が、街全体を覆ってしまう。これを何とかしたかったんです。」

そこでドクトル雨水こと村瀬さんは、地下に巨大な貯水タンクを設置し、
大雨のときにそこに水を誘導することで、洪水が防げるのではないか、と思いつきました。
そのときに目を付けたのは、両国国技館。
実は国技館の地下には大きな貯水タンクがあり、普段はあの大きな屋根で雨水を集め、
それをポンプアップして館内のトイレや冷房に利用しているんです!
お相撲を見に行ったことがある方なら、ひょっとしたら雨水を使っているかもしれないんですね。

「雨水は、『流せば洪水、貯めれば資源』です。日本はとても雨に恵まれている国だから、
それを使わない手はないですよ。」
結果的に、今や墨田区は、雨水利用の世界的先進地として、
国内外から熱い注目を集めています。
そして国内ではそんな活躍をなさった村瀬さん、次なる目標は世界各国での雨水利用です。

「例えば、温暖化によって大規模な洪水が予想される国、バングラデシュ。
人口密度が世界で一番高いから、その被害も甚大になると予想されていますよね。
でもあの国の地下水は、くみ上げたときから天然のヒ素に毒されていて、飲めないんです。
だから、各家々を回って、屋根の上に雨水タンクを付ける活動を始めました。
それが完成すれば、みんなが安心して飲み水を確保できるわけですよ。
雨水ってね、飲んだら甘くておいしいんですよ。
でも一方で、地球上の65億人のうち、11億人は安全な水を確保できないでいる。
そんな現状を、一刻も早く変えたいですね。」

「ドクトル雨水」=村瀬さんの願いは、本当に真摯なものでした。
確かに、私がいた島では甘くておいしい雨水を普通に飲んでいたけれど、
そんな国は少ないのかもしれません。
それに、雨水を飲めるってことは、その周りを取り巻く空気が、キレイだってこと。
例えば私たちが空気を汚してしまったら、風向きによっては、
そのせいで雨水を飲めなくなってしまう地域も、出てくるかもしれません。

少しでも早く、世界中の人に安全な水が行き渡ることを祈りつつ、
環境問題って、本当に全てがリンクしてつながっているんだな、と深く感じた、
ハチドリ高柳だったのでした。