身長183センチという、NBAでは小柄な身体を、ずば抜けたスピードとバネでカバーし、得点王に輝くこと4回。
その人気と実力から、ポスト・ジョーダンとも呼ばれたアレン・アイバーソン。
スラム街に育ち、電気代も払えないほど厳しい家庭環境の中、母親からバスケシューズをプレゼントされたのがきっかけで、バスケットボールを始めた。
バスケの名門、ジョージタウン大学で活躍していた彼だが、経済的な理由に、妹の病気も重なり、大学を2年で退学し、NBAフィラデルフィア・セブンティーシクサーズ入り。
天性のスピードとクイックネスを活かしたアグレッシブなプレーで、すぐにレギュラーの座とファンの心を掴んだ。
デビュー後間もなく、シカゴ・ブルズ戦で、神様マイケル・ジョーダンと対決。
スリーポイントラインで、ジョーダンと1対1を仕掛けた。
低い姿勢でレッグスルーを入れながらタイミングをうかがう。
左、右、と細かいドリブルから一度右にフェイントを入れて左へ。
ジョーダンは素早く反応、スティールを狙い左手を出した。
その瞬間、アイバーソンは左から右に切り返してジョーダンを振り切った。
ジャンプシュート。放たれたボールはリングに吸い込まれた。
神様を相手に、少しもひるまないルーキーのプレーは、バスケファンに大きなインパクトを与えた。
ルーキー・イヤーには、堂々の新人王を獲得。
3年目には、初の得点王に輝き、NBA史上最も低い身長の得点王となった。
それは、常に挑戦し続けることで、小さな身体でもNBAで活躍し、栄光を掴むことができるという証明でもあった。