メジャーリーグ史上、最強の左腕と称された、ランディ・ジョンソン。
208センチの長身から160キロを超える速球を投げ込み『ビッグ・ユニット』として名を馳せた彼は、左腕として最多の、5度のサイ・ヤング賞を獲得した。
最多勝利、最多奪三振、防御率の投手3部門だけで、通算14タイトルを受賞するなど、ジョンソンがメジャー生活で積み上げてきた記録は、今でも燦然と輝いている。
圧巻は、2008年5月18日、ターナーフィールドで行われた、ダイヤモンドバックス対ブレーブス戦での大偉業だ。
ジョンソンの剛速球は、試合終盤になっても全く衰えない。
9回裏、完全試合達成を期待する張り詰めた空気をも、その直球で切り裂いていく。
一人目の打者をセカンドゴロ、二人目を156キロの直球で見逃し三振。
スタジアムに「ランディ」コールが響く中、代打で登場した最後の打者を、外角高めの158キロ速球で三振に仕留めた。
照れくさそうにグラブを天に掲げ、小さくガッツポーズを作ったジョンソン。
史上最年長となる40歳8カ月での完全試合達成は、伝説の名投手、サイ・ヤングが持つ、最年長完全試合記録、37歳1カ月を100年ぶりに更新するものだった。
打者27人に対して117球。
13奪三振で3ボールになったのは、たったの1度だけ。
数々の記録を積み上げ、賛辞を贈られてきたランディ・ジョンソンに、この日また一つ伝説が加わった。