渾身のサーブに対するナダルの返球が外れた瞬間、錦織圭は右手を挙げ、ガッツポーズを2度も3度もつくった。
2時間49分の激闘の末、96年ぶりに日本にメダルがもたらされた。
リオデジャネイロオリンピックのテニス男子シングルス3位決定戦。
相手は、北京オリンピックの覇者で生涯グランドスラム達成者のラファエル・ナダル。
9日間でダブルスを含めて、11試合を戦うナダルの疲労は明らか。
ボールを追う一歩目が出遅れるのを錦織は見逃さない。
第1セット、錦織は積極的に攻撃に出ると、中盤から4ゲームを連取して先制。
第2セットも早々にブレークし、試合を優位に進めた。
ゲームカウント5対2として勝利まであと1ゲーム。
しかし、ここで犯したダブルフォルトが試合の潮目を劇的に変えた。
「メダルを意識してしまった」という錦織は、4連続でゲームを失い、
最後はタイブレークの末にセットを奪われた。
運命の最終セット。
これまで低調だった錦織のサーブが冴える。
第4ゲームは、バックハンドのリターンを決めてブレークに成功。
勢いに乗る錦織は、銅メダルへのカウントダウンを、渾身のサーブで刻んでいく。
マッチポイントへと通じるサービスエース。
そして最後はナダルのリターンが力なく浮き、コートから逸れていった。
3度目のオリンピックで初のメダル。
「強くなってまた臨みたい」
4年後の東京で、錦織圭は世界の頂点を目指す。