Legend Story
  • mixi
  • Facebook
  • ツイッター
  • Google
16.04.02
千代の富士 貴花田

通算勝ち星1045勝、優勝31回、「常勝横綱」と言われた千代の富士。
横綱在位10年目となった1991年、大相撲の世代交代を決定づける歴史的な一戦が行われた。
    
この年、千代の富士は、初場所では幕内通算805勝という当時の大相撲記録を樹立したものの、その後の取組で左腕を痛めて途中休場。
次の場所も全休したことにより、世間には限界説が流れた。
迎えた復帰の5月場所。
その初日の相手が貴花田、後の貴乃花だった。
   
15歳で角界入りし最年少記録を次々と打ち立てた貴花田と復活を期す古豪、そんな二人の名力士による最初で最後の対戦。

行司の軍配が返ると貴花田は迷わず頭から突っ込む。
出足で後れを取った千代の富士は素早い前さばきでまわしを取ろうとするも、貴花田がこれを許さない。

逆に前まわしに手を掛けた貴花田は一気に前に出て、倒れ込むようにして全体重を浴びせたところで千代の富士が土俵を割った。
 
いかにも新鋭らしい懸命な相撲ぶりに、館内は割れんばかりの大歓声、次々と座布団が宙を舞った。
18歳の貴花田が、横綱千代の富士に勝利。
史上最年少の金星をあげた。

千代の富士は、二日目は勝ち星を挙げたものの、三日目、貴花田の兄弟子・貴闘力に敗戦を喫すると、引退会見を開いた。
   
「気力、体力の限界」
昭和最後の名横綱から次世代の旗手へ、新時代を託された瞬間だった。