2014年7月14日、リオデジャネイロのマラカナン・スタジアム。
サッカー界の生ける伝説、リオネル・メッシの3度目の挑戦が終わった。
マラドーナの活躍でアルゼンチンが最後に優勝したワールドカップ・メキシコ大会から28年。
何かと比較されることが多い母国の英雄に、メッシは届かなかった。
大会MVPの「ゴールデンボール賞」に選ばれたが笑顔はない。
「自分の賞より、国民と共に喜びたかった」と悲嘆に暮れた。
期待の若手として臨んだ2006年ドイツ大会では1ゴール、エースとして挑んだ2010年南アフリカ大会では無得点。
両大会ともに準々決勝で敗退した。
背番号10を背負い、頂点だけを目指して戦ったブラジル大会、1次リーグでは3戦連発の4ゴール、準々決勝のベルギー戦では、抜群のボールコントロールで複数のディフェンダーを引きつけディマリアへパス、最後はイグアインが決め、決勝点の起点となった。
まさに獅子奮迅の活躍を続けたメッシだったが、その重圧からか、決勝のドイツ戦では嘔吐する場面もあった。
それでも緩急を付けた変幻自在のドリブルでドイツの守備を翻弄し、パスでチャンスも演出した。
延長後半、ドイツに得点を許し、0対1で迎えた試合終了間際。
メッシは、好位置からのフリーキックでゴールを直接狙った。
しかし、世界中が注目したシュートはゴールを大きく越えた。
アルゼンチンは固く守ってメッシに預ける、まさにメッシ中心の戦い方だったが、最後までゴールを奪えなかった。
スペインの強豪バルセロナでタイトルをほしいままにしてきたメッシ。
唯一手にしていないのは、ワールドカップのトロフィーだけといっても過言ではない。
2018年、ワールドカップロシア大会中に31歳を迎えるメッシ、夢への挑戦はまだ続いている。