Athelete News
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14.10.11
種を蒔くひと
今週の「ATHLETE NEWS」は、アルベルト・ザッケローニ前日本代表監督の通訳を、ブラジルワールドカップまでの4年間務めた矢野大輔さんです。

ー4年間を振り返って、一言で感想を言うと何ですか?

「濃密な4年間だったなという風に思います」

ーそもそも、矢野さんが通訳を始めたきっかけは何だったんですか?

「もともと、イタリアでサッカーをしていました。プロになれなくて、現地のスポーツマネージメント事務所に入ったんですけど、そこで業務の一つに通訳があったんです」

ー大黒選手が初めての通訳だったんですか?

「サッカーの通訳という意味では初めてでしたね」

ー大黒選手がイタリアにいなかったら、その時の監督がザッケローニ監督じゃなかったら、また違っていますよね。

「すごく運がいいなと思いますし、大黒選手には感謝しかないですね」

ー巡り合わせですよね。トリノの時は大黒選手一人が日本人で通訳をする。日本代表で来た時は、監督の言葉を通訳しないといけない。これは立場がだいぶ変わりますよね。

「選手の通訳と監督の通訳では、全然仕事の内容、立場も変わってきますね」

ー監督の通訳をする時に、心がけている事は何ですか?

「まず、言葉をきちんと伝えないといけないし、持っている温度感であったり、人と人との間に入るので双方の気持ちを理解しながら話すという事は気を使っていました」

ー言葉だけじゃなくて感情も伝えるということですが、例えばザッケローニ監督が声を荒げていたら自分も大きな声を出したりとか、逆にきついなと思ったら、ニュアンスをやわらげたりするんですか?

「基本的には監督の持ってる温度を伝えるのが仕事だと思いますので、基本的にはそのまま伝えます。でも、4年間の内に数回は選手がきつそうだなという顔をした時は、言葉少なく終わった事もありますね(笑)」

ー訳さず終えた時もあるということですか?

「訳さないというよりは、ちょっとやわらかくしたりっていう事は何度かですけどありますね」

ーどこまでを通訳するんですか?プライベートの時間とかもついたりするんですか?

「そういう意味では24時間フルで。同じマンションに住んで、僕はやってましたね。だんだん慣れてくるのでご飯は毎回一緒ではなかったですけど、最初のうちはずっと一緒にいましたね」

ーザッケローニさんはどんな方なんですか?

「一言で言うと、真面目で紳士な方でしたね。そのままのイメージだと思います。ただ、芯に熱いものを持っているというのが、ザッケローニさんだと思いますね」

ー日本代表23名に絞られた後に、はずれた選手に電話をしてくれって頼まれたと聞きました。

「ありましたね。これはザッケローニ監督からワールドカップには23人しか連れていけないけど、そこに至るまでにたくさんの選手が日本代表に貢献してくれたという、感謝の気持ちが強いわけですよね。落選したけども、これまで貢献して来てくれたメンバーに、「ありがとう」を伝えてほしいという事で、そういった電話をかけました。それぞれ話をして、落選して嬉しい選手なんて一人もいないですからね。だけど、そういった事を伝えて気持ちが少し報われたのかなっていう所はあったのかなと思います。彼らの気持ちは、自分はよく分かっているつもりだったので、心苦しいというか、スムーズには電話は出来なかったですね」

ーブラジルでのワールドカップ、予選の第三試合となるコロンビア戦の前に、選手達に仰っていた事ってあります?

「あの時点で、勝つしか無いような状況だったので、これまで4年間積み上げて来たことを全員で力を合わせてやろうと、これだけですね」

ー試合後に、選手達に送ったメッセージとかありますか?

「最後に全員集まるミーティングがあったんですけど、もう一回ワールドカップに行けるとしてもこの23人とスタッフで行きたいという事を監督が言いまして。それで、スタッフ含め沢山のメンバーが涙しました」

ー今後の仕事の展望、夢がありましたら教えてください。

「この4年間というのは自分にとって、良い経験になりましたし、ザッケローニという恩師みたいな方の近くにいれて、サッカーの情報も自分の中に取りこめたなと思いますので何らかの形で、サッカーの為に、世の中の為に伝えていけたらいいなと思います」