Athelete News
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14.08.09
4年後の未来、女神が立つ雪上の舞台は

今週の「ATHLETE NEWS」は、ソチ・オリンピック、スノーボード・女子パラレル大回転で銀メダルを獲得した竹内智香選手をお迎えしました。

ーソチ・オリンピックから半年が経ち、環境の変化はありましたか?

竹内「環境というよりは、自分の中でもっとスノーボードが好きになって、もっと競技を続けたいなと思えたのが大きな変化です」

ー季節は夏ですが、現在は何をされているのですか?

竹内「6月までは、中々選手としての生活に戻れなくて。6月に入ってから、ジムに行って体を動かしています。8月にはスイスに滑りに行きます。ヨーロッパは、山の3000mくらいの所に行けば、一年中滑る事が出来るんです」

ースノーボードを始めたジュニアの頃、「オリンピックに行きたい、ワールドカップで勝ちたい」と言っても、周りからは無理だと言われたんですか?

竹内「オリンピック、ワールドカップには、もちろん行けるとは思っていたんですけど、勝つ事が無理だと言われてました。「日本人は、この種目で世界に通用しないよ」と言われてて。その言葉はソチ・オリンピックのあの日まで、頭の中に残っていて、でも、今回それが事実じゃないと、やっぱり思い込みというのはすごいなと思いました」

ー竹内選手は、先月、著作「私、勝ちにいきます」を出されました。どんな思いで、タイトルをつけたんですか?

竹内「ヨーロッパに行った時に、ずっとコーチに「智香の発言は、選手として好ましくない」と、言われてました。「調子、どう?」と聞かれたら、「まあまあだよ」と、言っていたら「勝ちたいなら、勝つと言えばいい」と、言われたんです。それは日本の文化として難しいと説明をしても、外国人コーチは理解をしてくれなくて「じゃあ、日本の中で戦ってるの?世界で戦ってるの?」と言われて、「世界で戦ってる」と言うと「じゃあ、世界に標準を合わせるべきだ」と言われたんです。でもやっぱり「勝ちます」とは言えなくて、精一杯の表現が「勝ちにいきます」という言葉だったんです」

ーもともと、竹内選手は発言的にはどういうタイプなんですか?

竹内「中学くらいまでは、子供らしく思った事を発言して、伸び伸びやっていたと思います。成長と共に、我慢する事を覚えて、それが良くも悪くも日本人だと思いますけどね。23歳の時にスイスに行って、それを取り払ってくれたのがスイスのコーチで、素直にスノーボードを楽しめる様になったのが23歳の時です」

【イマジネーションを働かせること「私は勝つ」ではなく、「私は勝った」】


竹内「レースをストーリー化して、頭の中で物語を作って自分は勝った事にすればいいんだよ、と言われました。そういうイメージが出来てると、取材で「勝ちます」という発言が自然と出来るようになるからと。こういうのを全部理解するのには3、4年かかりましたけどね」

ー23歳でスイスのナショナルチームに参加されましたね、すごい発想力ですよね。

竹内「ただ、強い所に行きたいという気持ちだけで、どうしても行きたいとコーチにお願いをして、どちらかというと向こうが折れた感じです。それで、2ヶ月だけおいでと受け入れてくれたのが始まりです。今思えば、良く受け入れてくれたなと思います(笑)」

ースイスチームから離れた方がいいと、自分で決断をして、さらに手紙をチームの皆さんに読まれたんですよね。

竹内「最初、スイスチームを離れたいと思い始めて。長くいればいるほど、私も不満も持つ様になって、上手くいかない部分も出て来ました。日本人的に、すごいお世話になって、ありがとうと言って綺麗に終わるのか、自分が思った事、離れる理由をちゃんと伝えるべきなのか考えました。色々な人に相談をしたら、みんな、今後の為に思ってる事を言った方がいいと言ってくれたんです。手紙を最後に読み上げて、どうなるかと思ったら、正直に言ってくれてありがとうと、また一緒に練習をしようと言ってくれたので、言って良かったですね。
ストレートに自分が思った事、スイスチームに感謝してること、良かった事も言ったし、良くない事も言って、前向きに受け止めてくれて、そういう意味ではチーム自体がしっかりしてて、強いんだなと思いました。私もスイスチームに、良いチームでいてもらいたいし、お互いがお互いの事を言うのも大事だと思いますね」

【頂点を目指して】


竹内「すごく良くて、今回金メダルをとった子には「来てくれてありがとう、いてくれたから今回の金メダルがあるよ」と、言われたのが嬉しかったですね。その子は一番人間関係を作るのが難しかった子で、だんだん仲良くなって、ルームメイトになって、思い出のある子だったんです。決勝であたる時は不思議な縁だなと思いました。でも、金メダルをとってくれるなら、スイス人が良かったですね」

ー次は、どんな事に行動を起こそうと思っていますか?

竹内「最近スイスのヘッドコーチを3月までやっていたクリスチャンも、来シーズンから私のコーチとしてやってもらえる事になりました。今回コーチを2人にしたのは、オリンピックの映像を見た時に、もう一人いてくれたら良かったなと思ったんです。他の国は3人〜4人コーチがいるんですよ。コースの状況とか、相手の特徴、全部情報があがってきて、これがあるかないかで、戦い方が違ったんだろうなと思いました。それは、コーチのフェリックスも同じ事を考えてて、もう一人アシスタントが欲しいとなった時に、クリスチャンだよねって話になりました。6月にスイスに行ってお願いをして、7月に入って、いいよと返事をいただきました」

ー今後、どんな目標を持っていますか?

竹内「6月に入ってから、もう一回選手として4年頑張ろうって思って、今は2018年を目指してやっています。まずは、世界選手権が1月にあるので、そこでとった事のない世界選手権のメダルと、ワールドカップってシリーズで勝つと、大きなクリスタルトロフィーがもらえるんです。その2つを手に入れた状態で2018年の韓国を迎えたいなと思っています」