Athelete News
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20.07.18
信念と執念で勝ち取ったメダル
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今週の「Athlete News」は、元バレーボール女子代表監督の眞鍋政義さんをゲストにお迎えしました。

眞鍋政義さんは、1963年生まれ、兵庫県姫路市出身。
大学卒業後の1986年、新日本製鐵に入社すると、1年目からレギュラーとして活躍し、新人王を獲得。
その後の新日鐵黄金時代を築かれました。
日本代表としては、1988年、ソウルオリンピックに出場。
2005年に現役を引退され、この年、女子の久光製薬スプリングス監督に就任。
2009年からは女子日本代表の指揮を執り、2012年、ロンドンオリンピックで銅メダルに導かれました。
リオ・オリンピック後に代表監督を退任、現在は、ヴィクトリーナ姫路の球団オーナーを努めていらっしゃいます。

新型コロナウイルスの感染拡大防止のため、今回はお電話をつないでお話を伺っていきました。



──新型コロナウイルスの感染拡大の影響で、眞鍋さんが球団オーナーを務めるヴィクトリーナ姫路も影響が大きかったんじゃないですか?

そうですね。4月5月はほとんど全体練習が出来ずに個人練習をしていました。いよいよ6月1日から全体練習を開始している状況ですね。

──やっぱりバレーボールはボールを使った練習ですし、1人でできる事って限られますよね?

そうですね。やっぱりチームスポーツですからね。筋力アップとか走ったりとか、各自選手が色々工夫しながら練習していましたね。

──そして先日、新鍋理沙さんが引退を発表されましたね。眞鍋さんと共にロンドンオリンピックで銅メダルに輝いた選手ですが、その引退を聞いた時はどう思われましたか?

びっくりしました。やはり東京オリンピックの延期というのが彼女にそうさせたのかと思います。でも、すごい決断ですね。

──東京での自国開催ということでそこを目指していた選手もいるでしょうけど、ベテランになればなるほど、“あと1年”というのは、これからの人生のこともありますし、体力のこともありますし、いろいろなことがあるんでしょうね。

やっぱり1年は長いですよね。特にアスリートは、目標の設定を変えるわけですから。そういう意味で、新鍋もかなり迷ったとは思いますが、よく決断したなと思います。

──ロンドンオリンピックでは28年ぶりとなるメダルを獲得されたわけですけれども、韓国との3位決定戦、これはしびれる試合だったんじゃないですか?

バレーボールって、オリンピックの4年周期でだいたい周るんですね。私は2008年の12月に監督になって、ロンドンオリンピックでメダルを獲るために約3年半やってきましたから、最後の銅メダルマッチの韓国戦、これに全神経を集中しました。本当に選手、スタッフには感謝ですね。

──試合前、選手にどんな言葉をかけたんですか?

「勝っても負けても3年半の集大成が、この試合だ。だから最後のこの試合は楽しんでやろう。自分を信じてチームメイトを信じてスタッフを信じて、一体感でやろう!」と言ったと思います。

──実際に選手は楽しんでいましたか?

当然、緊張はしますけどね。でも、前半からよく先行してましたから。そういった意味では、最後は楽な展開でいきましたね。

──迫田さおりさんが最後のスパイクを決めた瞬間、ベンチの選手やスタッフがコートになだれ込みました。あの瞬間はどんなお気持ちでしたか?

いやもう、真っ白になりましたね。“目標が達成できて良かったな”というのと、選手、スタッフに感謝ですね。

──嬉しさもあるし、安堵感もあるし。

“ほっとした”というのが一番ですかね。やっぱりバレーボールって、(1964年の)東京オリンピックの“東洋の魔女”の時から、“金メダル”という(イメージ)のがあるので。選手達が、そのプレッシャーを跳ね除けて頑張ってくれました。

──“東洋の魔女”は、いわゆる“技術”でカバーしていた。でもやっぱり、外国チームも技術がどんどん上がってきて、なかなか日本が勝てずにいた。それでもロンドンで銅メダルを再び獲得できた最大の要因というのは、どこでしょうか。

1人1人がロンドンでメダルを獲得する準備もしてましたし、最終的には“信念”とか“執念”を持ち続けたことで、28年ぶりにメダルを獲得できたのかなと思ってます。

──眞鍋さんと言えば試合中にiPadを手にしている姿が印象的だったんですけど、いつからiPadで見るようになったんですか?

これはあまり言ってないんですけれど…。「眞鍋=iPad」とよく言われるんですけど、2009年はベンチにパソコンを置いてまして、2010年の世界選手権(世界バレー)からタブレットを持ちだしたんですよ。

──それまではノートパソコンだったんですか?

そうなんですよ。ずっとベンチに各チーム(パソコン)置いてましたから。そこでいろんなことを、データを見ながらやっていました。だから、2010年から初めてタブレットを持ちましたね。

──持った時の感想は? “やっぱり軽くて持ちやすい!”とか(笑)。

これもあまり人には言ってないんですけど、どうしてタブレットにしたかというと、(初めてタブレットを持つ)1年前の2009年の国際大会である数字を見落としまして。その頃、私は43、4歳くらいですかね。初期の老眼が始まってまして。

──僕もいま、老眼で悩んでます(笑)。

初期の老眼で、試合中は当然、私も緊張しますよね。試合中にその数字を1行見落としたんですよ。

──それは、作戦的にはだいぶ変わってくるんですか?

全く変わってきますね。その反省を踏まえて、“情報戦略班”というアナリストチームが、「眞鍋さん、新しいのが出ました」と。タブレットって、数字が大きくなりますよね(笑)。そこからタブレットを持ったという。だから、(タブレットを使うようになったのは)老眼のおかげですよね(笑)。

──もともと、眞鍋さんはデータ重視だったのですか?

「眞鍋はデータだ」と良く言われるんですけど…、私、男性ですよね。選手は女性ですよね。やっぱり(男性が)女性のチームを1つにするのは大変なんですよ。だから、平等性をある程度保つために数字やデータを取り入れたっていうのが、一番初めです。

──最初に男子のチームを率いてた時には、あまりデータを重視されていなかった?

男子のチームの時もデータは重視していましたけれど、女性のチームを率いるにあたって“数字”ということを一番前に待っていって。そうすると選手は“数字ありき”ですから。数字は、そういう平等性を保つためにやりました。

──選手の評価って難しいですからね。数字やデータで客観的に見せられると、選手も納得できますよね。

バレーボールって、試合が終わる度に、世界バレーボール連盟が世界に向けて全部の数字を発信するんですよ。当然、相手よりも数字が上回ると試合は勝ちますから、そういった意味で“数字は大事”ということを前置きしながら、平等性を保つ、ということで数字を使ってましたね。それでも初めは、数字は拒否されました。

──どういった数字を、特に大事に見ていらっしゃるんですか?

“アタック決定率“とか“アタック効果率”というのがあるんですよ。アタックは、パーセントが相手より上回ると当然、日本のチームの方が(アタック)が決まっているということですから。あとはこちらのチームがサーブを打つ時に“相手のどこに打つのか”というのも非常に大事で、そういうことを、データを見ながら試合中も選手に指示をしていました。

──それは、いま行われている試合のデータが、(リアルタイムで)刻々と送られてくるってことですか?

そうなんですよ。バレーボールというのはルール上、データを見たり映像がリアルタイムで返ってくるんですよ。監督さんたちはプレーが終わったら映像が入ってきますから、約3秒から5秒遅れで見てますよね。

──そうすると、よりリアルに選手のコンディションがわかるわけですよね。

わかりますね。“この選手が調子が良い”とか、“調子が下がってきた”というのもハッキリわかりますね。

──監督同士のやりとりというのも非常に面白いですね。

そうですね。特に日本人は体格的にも身長が低いですから、そういったデータ解析の部分でも世界のトップにいかないと、なかなか勝てないですよね。

──この番組では、毎回ゲストの方にcheer Up Songを伺っています。眞鍋さんの心の支えになっている曲を教えてください。

サザンオールスターズさんの「東京VICTORY」。これをお願いいたします。
2014年の「世界バレー(世界選手権)」という大会で私は日本代表の監督だったんですが、この曲はその大会のテーマソングでした。

──大会ごとに色々なテーマソングがありますけど、毎回、“勇気づけられる”というか、力を貰うものですか?

やっぱりテーマソングって、ずっと頭に残ってますよね。この曲を聴くと緊張してきますね(笑)。

──来年、女子バレーチームが東京(オリンピック)でVICTORYをあげてほしいですよね。

本当にそうですよね。もう一度表彰台に上ってほしいと思います。


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