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19.10.19
終わりなき旅
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今週の「Athlete News」は、アトランタオリンピックにサッカー日本代表として出場した、松原良香さんをゲストにお迎えしました。

松原良香さんは、1974年生まれ。現在45歳。静岡県のご出身。
1996年アトランタオリンピックサッカー日本代表に選ばれ ブラジル代表を破り、その試合は「マイアミの奇跡」と語り継がれています。
現役時代は、Jリーグ、ウルグアイリーグ、クロアチアリーグ、スイスリーグ など12クラブでプレー。
現役引退後は、フェリーチェサッカースクール、クラブの経営をする傍ら、Jリーグ選手OB会の副会長やサッカー解説者として活躍。
2010年にJFA公認S級コーチに認定され、2015年、J3、SC相模原の監督を務められました。
そして、松原さんの経験、取材をもとにした著書 「ストライカーを科学する サッカーは南米に学べ!」が岩波書店から販売中です。


──日本は、これまで“決定力不足”と言われてきましたけど
ヨーロッパではなく南米を見習う、その理由は何ですか?


今だったら4大リーグ、そこのトップ5のストライカーを見たときに4割近くが南米の選手だったんですよ。

──ヨーロッパのメジャーリーグも南米のストライカーを頼っている、それだけ南米のストライカーは特筆すべきポイントを持っているんですか?

持っていますね。例えばですけど、メッシは30ゴール以上を10年近く続けていますし、スアレスは三大リーグで得点王をとっています。
こういう選手が南米にはゴロゴロはいるんですよ。僕は、日本がワールドカップで目標は2030年にトップ4に入るということなんですね。
これに入っていくために何が必要かとなった時に、やっぱり2014年を見たらワールドカップで3点しかとっていないんですよ。

このトップ4に入るチームっていうのは平均得点が2.5あるんですよ。しかも、トータルのワールドカップのゴール数を見ても、今までの中でトップ3に入っているんです。その前の大会もそうなんですけど、今のサッカーは点をとっている時代なんですよね。
普通で考えてみても、グループステージで我々日本代表が過去ベスト16に入ったのが3大会あるんですね。グループステージで2位通過なんですよね、そうすると1位と当たるじゃないですか。

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──だから1点でも多くとることが大事になってくるんですね

そうなんですよ。この1点の重みっていうのはものすごい大事で、難しいことなんですよ。
僕は筑波の大学院を一昨年卒業して、“日本には何が無くて、南米には何があるのか”論文として作って出したんですね。

──何が違ったんですか?

3つあるんですね、一つは性格、得点王になる人っていうのはキャラクターがあるんですよ。
最後の決めるというところが一番盛り上がるところだし、緊張するところじゃないですか? だから、普通の性格じゃないんですよ。
ちょっと個性があって変わっている、トレゼゲっていう選手がフランス代表でワールドカップとった選手がいるんですけど。
彼に話をしに行ったときに、「自分が主役になりたい」とか、「俺のゴールでチームを勝たせる」とか、人より勝負にかける思いが人一倍強いとか、そういうのがあるんですね。

二つ目が理解力、ストライカーっていうのは点をとることが仕事なんですよ。守備をしてチームを勝たせるじゃなくて、守備もするけどチームの役割を果たしながら自分がゴールを決めて勝つ、これなんですよね。
点をとるためには何をしなきゃいけないか、チームメイトの特徴を知る、チームメイトの性格を知る、監督の言う事、戦術を理解する。
いくつか点をとるための条件があるんですね、この理解力っていうカテゴリーで言うと日本には無いんですよ。
僕もライセンスをとらせてもらってる中で、“こういう風にしていけばストライカーが生まれていく”というのがあるんですね。

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──ストライカーだけに言うと、そのメソッドというのが、まだ日本では発達していないということなんですね

最後はコンディショニングなんですよ。例えばですけど、メッシやスアレスで言うと、彼らは毎年活躍するじゃないですか?
絶対得点王をとるし、必ずリーグで優勝する、ワールドカップがあっても。彼らって年間50〜60試合出るんですよ。

──週に1試合以上出ているんですね

以前エスパルスにいて、オーストリアに行った北川航也、彼を見ると37試合だったんですね。だから倍近くなんですよね。
毎年ゴールを決め続けて、あのプレッシャーの中でやるので相当なコンディショニングが必要なんですよ。
コンディショニングっていうのは、自分でやらないとダメなんですよね。「このお肉は、試合の二日前だから食べていい」とか、その他24時間の取り組みの中で、コンディショニングってフィジカル的な要素と、メンタル的な要素が大きいので。誰と一緒に過ごすのかっていうのが大事なんですね。
ヨーロッパの場合ですと、宗教も違うし、文化も違うし、自分たちがロシアの方に試合に行く場合、そうすると時差もあるし寒い、中1日でゲームに行かないといけないとか、色々な要素があるので。コンディショニングっていうところは、すごく大事にしてるぐらいのことですね。

──日本人のフォワードは、点をとるだけじゃなくて守備も一生懸命やる
そういった特徴があるような気がするんですけど、そうではなくてやっぱり点をとるということにエゴイスティックにならないといけないということですか?


そこもそうですし、例えば今だったらエースは大迫ですよね。その前は岡崎でしたね。
彼らがヨーロッパのクラブでやっていて、「どこでプレーしてますか?」となった時に、センターフォワードの日本代表のエースストライカーでやっていないんですよ。
彼らはサイドの中盤のあたりとか、トップ下とか、違うポジションでヨーロッパでプレーしているんですけど、実際日本代表に帰ってくると「はい、センタフォワード、じゃあ大迫点とって」「岡崎点とって」に変わっちゃうわけですよ。
でも、それもファーストストライカーとしてやれるようになると良いんですよ。
そこが生まれれば、日本がワールドカップのトップ4に入っていける手がかりになることは間違いないですね。

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──どんな練習をすればいいんですか?

まず、ボックス、ワンタッチ、インサイド。サッカーにおける、ゴール数の中で一番多いのはペナルティエリアの中なんです。
約7割ぐらいで、その中でもワンタッチが最も多いんですよ。実はどこの部分で蹴ってるかと言うとインサイドキックなんです。ゴールを決めることなので、ちゃんと狙ったところに蹴れるとか、それをインテンシティ高くもっていくっていうのは非常に大事ですね。

──早い時期にストライカーとしての技術を植え付けていくっていうことも、もしかしたら必要なのかもしれませんね

そうなんですね、だからストライカーの専門コーチが必要だと思うし、ゴールキーパーは専門のコーチがいますから。ここをまず作ること。
もう一つは、サッカー協会として“どういう風に進めていけばいいか”と、その指針を作ることですね。

──番組では、ゲストの方にCheer Up Songを伺っています。松原さんの心の支えになっている曲を教えて下さい

Mr.Childrenの「終わりなき旅」です。僕はジュビロ磐田にいたことがあったんですけど、そのときにクビになったんですね。
僕は呼ばれて、レンタルバックでジェフから戻ったんですけど一試合も使われず終わったんですよね。
その時のもどかしさ、悔しさと寂しさ、僕は静岡が地元なのですごく苦い思いをしました。その時に車の中でいろんな事考えるじゃないですか?
やっぱりポジティブにいこうと、“よし! 今度は俺はヨーロッパ挑戦してやる”とか、そういうことを、車の中でこの音楽を聴きながら考えていたのを思い出すなと思って。

僕は18歳でウルグアイに行ったんですけど、そのときにウルグアイの仲間が努力してヨーロッパに行くのを見ていたんですよ。
逆に脱落していくのもいるんですよ。そこから這い上がっていくところを見ていたので。
“今度は自分が挑戦する、自分がやりたいことをやる”じゃないけど、それで僕はクロアチアに行くわけなんですけどね。
その時にモチベーションをくれた歌なんですよね。


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