19.09.28
一番大切なもの
松本薫さんは、1987年9月11日、石川県金沢市のご出身。
6歳から柔道を始め、帝京大卒業後、フォーリーフジャパンを経てベネシードに所属。
女子57キロ級で2010、2015年の世界選手権優勝、2012年ロンドンオリンピック金メダル、2016年リオデジャネイロオリンピック銅メダル。
この年11月に結婚し、翌年6月に長女を出産。
そして、今年2月に現役引退を表明されました。
──振り返ってみてどのような柔道人生でしたか？
最初好きではなかった柔道だったんですけど、長年続けていって“好きから始めなくても何か掴めるものってあるんだな”って、柔道を通して思いました。
──結局最後まで好きではなかったんですか？
そうですね（笑）。勝つ喜び、達成する喜びは柔道を通して学んでいったんですけど、柔道でずっと生きていきたいか…教育者とかは、みんな柔道が好きな人がやっているんですけど。
私は柔道は勝負として、目標としてやっていたので。
──柔道でつかめたものは何だったんですか？
居場所ですね、“自分はここにいるぞ！”っていう居場所はできました。
そうですね。5人兄弟の4番目だったのでみんなに紛れてしまう、ずっと“私はここにいる！”っていう主張をしていたんです。
私の兄弟はすごい天才だったので、どうしても埋もれてしまう部分があって。
自分には欠けている、自分に自信がないところは幼少期あったので、柔道を通して“私はここにいるんだ！”という自信を持つことができました。
──2012年のロンドンオリンピックでいきなりの金メダル、その前の大会北京では補欠ですよね
金メダルをとってだいぶ変わったんじゃないですか？
変わりました。注目されることがなかったので、その時点でも世界は変わって。
金メダルをとったことによって、自分への柔道家の覚悟をしっかり持つようになりました。
今までは“勝ちたい！ 勝ちたい！”っていうだけだったんですけど、金をとってからは、「勝ちたい」というのと、いろんな人に支えられてることに気付くことができたので。
「恩返しをしたい」とか、いろんな思いが出てきました。
──リオ オリンピックの準決勝は信じられない敗戦でしたね
負けるはずじゃなかったんですよ、油断したんです。
ほとんど負けたことがなかった相手だったので、一回だけ負けたことがあって、あとは全部勝ってたので。その時点で隙が出てしまって。
パッと見たら私が上を向いていたので、その瞬間に“やっちまった！ この舞台でわたし何してた！？”って。
畳を降りた瞬間に、メダルだけは絶対とらなきゃと思ったのですぐ切り替えたんですけど。
出る前から負けるなっていうのは感じはしていて、野獣になれない、子育てが一番になってしまっていたんです。
優先順位が娘の方が一番で、だんだん差が開いていってしまって。初めて野獣スイッチが入らなくて、畳に上がって、逆に負けた時は“やっと終われる”っていう安堵感がありましたね。
──それもあって引退を決意されたっていうことですか？
そうですね“もう私は競技者じゃないな”って。
野獣ではないんですけど、若い頃は尖っていたので（笑）。
私の被害者がいっぱいいて（笑）。私、勝つために、自分のことにストイックになってしまう部分があって…いろんな後輩が練習中に痛い目を見てるんですよ。自分が納得いかないと、その後輩を離さなかったりとか（笑）。
練習終わってから、被害者の会の人達にすごい責められます「ごめんなさい」って（笑）。
──番組では、ゲストの方にCheer Up Songを伺っています。松本さんの心の支えになっている曲を教えて下さい
清水翔太さんの「DREAM」です。
試合前に野獣スイッチが強くなりすぎて、闘争心が出すぎてるときに落ち着かせるために聴いていた曲ですね（笑）。
今週のゲスト、松本薫さんの“サイン色紙”をプレゼントします！
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