Athelete News
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18.10.13
スムーズに筋肉を動かすために
今週の「Athlete News」は、箱根駅伝4連覇!青山学院大学駅伝部、
影の立役者 フィジカルトレーナーの中野ジェームズ修一さんをゲストにお迎えしました。
マラソン大会に参加するリスナーも多いかと思いますが、青学のトレーニングメソッドについて伺いました。

中野ジェームズ修一さんは1971年生まれ 長野県のご出身。
フィジカルを強化することで競技力向上や怪我予防、
ロコモ・生活習慣病対策などを実現する「フィジカルトレーナー」の第一人者で
卓球の福原愛選手、バドミントンの藤井瑞希選手など多くのアスリートから絶大な支持を得ています。
2014年からは青山学院大学駅伝チームのフィジカル強化指導も担当。
早くからモチベーションの大切さに着目し、日本では数少ないメンタルと
フィジカルの両面を指導できるトレーナーとしても活躍を続けています。
中野ジェームズ修一さんが技術責任者を務める、
東京・神楽坂の会員制パーソナルトレーニング施設「CLUB 100」は、
「楽しく継続できる運動指導と高いホスピタリティ」が高い評価を受けています。
『世界一伸びるストレッチ』、『青トレ 青学駅伝チームのコアトレーニング&ストレッチ』などベストセラーも多数。
そして、先月、徳間書店から
「ランナーのための自己ベストを出せる最強ウォームアップ講座」を出版されました。



──中野ジェームズ修一さんは2014年から青学の駅伝部のフィジカル強化指導を担当しているんですが、
最も大事にしているのが“準備運動”だと言います。準備運動の目的について伺いました。


準備ってどうやってしたらいいのかって言うと、基本的には人間の体の準備をするパーツっていうのがあって、心臓と筋肉と関節。この3つを準備することが重要です。
心臓を準備するには、心臓を拍動させることが重要です。つまりスポーツで足を使わないスポーツってあまりないと思いますよね。
足を動かすってことは、私にたくさんの血液を送らなければいけないですね。そうすると、まだ安静にしてる時に体の中に流れている血液の量は少ない状態です。
ですが、大きな筋肉を動かしてあげれば、それだけたくさんの血液が必要になってきます。そうすると、まだ体の中でたくさんの血液が準備できてない状態で、少ない血液で足を急に動かすわけですので拍動を早くしなきゃいけないわけですね。
そして、血液を送らないといけなくなってきます。なので最初はゆっくり歩くところから始まって、少しずつスピード上げていく、小さな動作から大きな動作へ並行して血液の量を合わせていくことが心臓の準備になるんです。
もう一つ、筋肉の準備っていうのが最初体を動かしてない時っていうのは筋肉の温度が冷えてる状態です。なので、筋肉をしっかり動かしてあげれば筋肉の血行が良くなります。
筋肉は血行が良くなると筋肉の抵抗が下がるので、スムーズに筋肉が動きやすくなります。
そのためには止まっていないで動かさなきゃいけないんですね。
もう一つ準備が必要なのは関節ですね。人間の関節って骨と骨が繋がっているんですけどもロボットと同じようにジョイント部分っていうのは必ず油が必要です。
体を動かしてない時っていうのは当然関節を動かしてないので油があまり出てない状態ですね。なので、少しずつ動かしてあげると関節の中の潤滑液がしっかり出て来て関節の動きがスムーズに、滑りが良くなるんです。
関節の動きをスムーズにしてあげる、潤滑液を出してあげるためには動かしていかなきゃいけないんですね。
そう考えると、心臓、筋肉、関節。全部動かさないと準備ができないってことなんです。なので、準備運動では静的ストレッチではなくて動的ストレッチ。
動くストレッチと呼ばれる、できるだけ動かす準備運動っていうのが世界的にも主流になってきてますね。

──みなさん運動する前に準備運動はするとは思うんですけども、そのやり方や質が大事なんですね。
では、ランナーに適している動的ストレッチは、どこの部分を入念に行うべきなのでしょうか?


走るためには肩甲骨と股関節を一番よく使っているんですけど、腕振りをするときに肩関節をしっかり動かします。
肩関節っていうのは腕の骨、で上腕骨のところと鎖骨のところだけで動いてるわけではなくて、腕を振るっていう動作は肩甲骨がしっかり動いてくれることによって腕振りっていうのができてくるんですね。
肩甲骨の周辺の筋肉がしっかり動くように準備をしておくと、肩関節だけではなく肩甲骨の根元の部分から動いてくれるので、よりたくさんの筋肉を負担なく動かすことができるんです。
体の背骨の中心の部分から動かすことができるので腕振りっていうのが推進力になってくれるんです。
肩甲骨が固まってしまうと背骨と肩甲骨が動かない。固定された状態で上腕骨だけ動かしますので、腕を振っているんだけど腕振りが推進力になってくれないんですね。
肩甲骨がしっかり準備運動で動かせてくると、自然な腕振りができて、その腕振りが自然と推進力になり、結果的に楽に走れるっていう感覚に繋がってくるんです。
なので、ランナーのためウォーミングアップでは、肩甲骨をしっかり動かす動的ストレッチを大切にしています。
また、ランナーは股関節も動かします。股関節の屈曲と伸展という動作の繰り返しで人間は走っているんですけど、当然、股関節を曲げて伸ばしてっていう動作の繰り返しですので、しっかりそこで準備運動してあげれば足も自然に上がるし、自然に蹴り上げられます。

でも、股関節の準備ができていなかったら、当然足も上げづらいです。上げづらいってことは、筋肉にも余計な力が入ってしまう。上げづらいと思うから走っていても気持ちが悪い。
でも、股関節がスムーズに動くようになってくると自然に足が前に出てしまう。自然に足が蹴り上げられるっていう感覚がつくと、最初から”もっと走りたい”って気持ちになってくると思います。

── 走る時ってついつい足ばっかりに注目しがちですけれど、腕振りが大事で、それをより効果的にするためにストレッチを入念に行う必要があると。
ストレッチをするときの注意点についても伺いました。


過剰な柔軟性っていうのは必要ないんです。よく、180度開脚できることを目標にする方とかもいらっしゃいますけれど、人間それぞれの関節には適度な関節の可動域制限ってのがあるんですね。
それ以上関節の可動域を広げてしまうと、今度は靭帯とか腱とかに負担がかかってしまう。なので、無理に痛いところまで頑張ってグイグイと伸ばしたりする必要はないです。
痛気持ちいいぐらいのとこで止めておいていただければ結構です。そのポーズを取った時に明らかに過剰な範囲のところまで伸ばしてしまうと、今度は関節が緩くなりやすかったり、逆に怪我をしやすくなったりします。
関節の可動域はどこまで持って行ったらいいのかっていうのは、そのスポーツの競技によって変わってきます。
何秒間伸ばしたらいいですか?って質問もよく来ます。何秒伸ばしたらいいのか。何セット行ったらいいのか。
世界中の研究者たちが柔軟性の研究をしているんですけど、個体差がありすぎてしまって何秒とか何分っていうのは断定ができないそうなんです。
ですが、いろんな文献を見てみると今一番多いのは、1部位のストレッチをするときにだいたい20秒〜30秒ぐらい伸ばして、2セットから3セット繰り返します。
これが一番多い目安になってくると思います。20秒〜30秒伸ばすのと、1分伸ばすのと効果はあまり変わらないって言われてるんですね。
なので、20秒〜30秒伸ばしていただいたら一旦緩めていただいて。または2分〜3分伸ばす。それを行ってあげると目安になると思います。

──ストレッチは筋肉を伸ばす時に息を吐くことで筋肉が弛緩しやすくなるので、ゆっくり呼吸をするのが大事とのこと。
そして気になるのが、レース前の準備です。
レース前の食事のタイミング、動的ストレッチのタイミングについて伺いました。


まず、レース前っていうのは食事をしっかり終わらせることが重要だと思います。
食事の内容によっても違いますけど、食べたものがしっかり消化されるまでに3時間から4時間ぐらいかかります。
なので、3時間から4時間前に食事を終わらせる。その後、徐々に準備運動が始まっていきます。
基本的に一番効率の良い準備運動っていうのは、スポーツをする動作に近い動作の準備運動が一番効率的なんですね。
レースに近くなればなるほど、軽いジョギングとかになってきます。そこから逆算して、3時間以内に食事が終わってからは動的ストレッチの繰り返しになっていきます。
肩関節を動かす。股関節の周りを動かす。しっかり体を動かせるようになってから、ジョギングに行くのも良いと思います。
気温が低い時だと体がどんどん冷えていってしまいますので、動的ストレッチをやって、軽いジョギングをして、レースの前に並んでる時に肩周りや股関節の動的ストレッチを立った状態で少し繰り返してあげる。
そうすると、関節が固まってしまうっていう感覚がなく、スムーズに走れると思います。

──最後に、中野ジェームズ修一さんのCheer Up Songを伺いました。

私がよくランニングをする時に聴く曲なんですけども、MONKEY MAJIKさんの「空はまるで」という曲です。
皇居の周りを週4回くらい走るんですけど、天気のいい時にその曲を聴くとめちゃめちゃ気持ちいいですね!
テンションをあげようと思った時にすごく速い曲を聴くよりも、歌詞とか曲調が気持ちがいいものを聴くと、スピードがあげられるんです。
この曲はゆっくりなんですけど、歌詞と自分の走りとかのイメージが非常にマッチしやすくて自然とスピードが上がる曲なんです。ちょっとキツイな、と思った時にかかるように選曲していつも走っています。






今週のゲスト、青山学院大学駅伝部 フィジカルトレーナー 中野ジェームズ修一さんの“サイン色紙”をプレゼントします!
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