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18.09.01
秋田型高校野球育成・強化プロジェクト
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今週の「Athlete News」は、國學院大學准教授でプロ野球チームにデータ解析システムを提供する、株式会社ネクストベース 取締役 神事努さんをゲストにお迎えしました。

第100回大会という記念の全国高校野球選手権大会、夏の甲子園が閉幕して、準優勝の金足農業高校フィーバーの熱がまだまだ続いています。
吉田投手率いる金足農業高校の強さの秘密は、秋田県をあげて取り組んだ「秋田型高校野球育成・強化プロジェクト」にあったそうです。
この強化プロイジェクトのメンバーに、以前この番組に出演してくださった、國學院大學准教授でプロ野球チームにデータ解析システムを提供する株式会社ネクストベースの取締役 神事努さんがいらしゃったということで取材をしてきました。
「秋田型高校野球育成・強化プロジェクト」はどういった背景で立ち上がり、どんな取り組みをおこなってきたのでしょうか?


2011年に立ち上がりました。それまで、夏の甲子園13年連続で初戦敗退していて、それを秋田県としてどうにかしたいという思いから始まりました。
秋田県は軟式野球が強い地域ですので、中学3年生から硬式野球に慣れさせる取り組みや、中学生に対して社会人の選手が教えたりしています。そのほかにも、県外から甲子園で優勝した監督さんをお呼びして“秋田でもやれるんだ!”という自信を持たせる取り組みも行いました。

その中のひとつで僕がやったのは、スポーツ科学を使って強くしようというところが僕の仕事でした。
審判の方たちもお呼びして、ジャッジの仕方であるとか、高校野球を支えてる人たちを指導するであるとか、解説者の方をお呼びして、広く強くするためにはどうしたらいいのか。
また、守備やピッチング、バッティングなどの技術を教える人もこのプロジェクトには参加していました。
甲子園というところになると、緊張したり、スピーディなものが要求されますので、全国での戦い方といことを考えると
全国流の試合運びみたいなところで、審判さんが試合の流れを握っていますので。
そういうところも全国スタンダードに合わせる、これけっこう微妙ですけど、かなり一生懸命やられていて成果が出たかなと思います。

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──このプロジェクトがもたらす効果は、グラウンド意外にも大きな影響をもたらせてくれると言います

初出場となると環境が全然分からないので、食事や練習環境などが分かりません。
秋田県でやると、毎年、監督さんの報告会が行われるので。監督さんが抱いた不便さ、もっとこうしたら良かったというものが、県として知識が溜まっていくんです。
いろんな高校さんが甲子園に出たとしても、県として知識、知恵が溜まっていくことによって、どの高校さんが甲子園出たとしても、ある程度常連校みたいな戦い方ができるんですね。

──金足農業高校の立役者、吉田輝星投手ですが、ボールの伸びが良いと言われていますよね。
これも「秋田型高校野球育成・強化プロジェクト」の成果だったそうです


伸びがいいというのは、いろんなところで言われますが。数値で見ると、高校生の平均よりホームベース付近で21センチホップする。
これも秋田県の取り組みの一つで、フライを打たせる、空振りさせる、特徴のある球質でした。ゴロを打たせると守備の影響を受けやすくなるので空振りを取ることを選択しました。そうすると伸びのあるボールを投げるために腕を縦に振りましょう、ボールの回転軸を直角にしましょう、きれいなバックスピンにしましょうとなります。
決勝で2番手で投げた内川投手も、例えば、秋田県出身のロッテの成田投手など、縦に腕を振って投げるというのが秋田県の特徴となりました。

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──技術指導していた神事さんから見て、吉田輝星投手の凄さはどんなところにあるのでしょうか?

知的好奇心というか、どうやって打ち取ったらいいのかというのをよく考えていると思います。
技術指導するとどうしても良いフォームにとらわれがちですが、結果的には対戦のバッターを打ち取ることが必要になります。
バッター対話しながら、バッターを見てボールを投げていくっていうことが必要になると。
そういう意味では、一流の選手は対戦のバッターを見て、反応を見ながら、コースであるとか、球速であるとか、ボールの変化球を変えていくというところがあるので。
そういう意味では甲子園見てると、バッターを見ながら強弱つけたりとか、それが吉田投手の凄さこれはプロに共通することかなと思います。

──最後に、「秋田型高校野球育成・強化プロジェクト」が高校野球に与える影響について伺いました

高校野球の面白さは、ドラマチックさや人間性とかそういうものから作り出されるストーリーに、皆さん興味があると思いますが。
そのストーリーにデータを乗せていくという形でスポーツのサイエンスを使ってもっともっと面白くなると思います。

指導者も今まで感覚で指導していたことも、数値化を使って目標設定することができるので。そういう意味では今回の吉田投手のボールの変化量みたいなところが皆で流行っていくことによって、より良いスポーツ界というか、体罰に頼らずデータを使ってきちんと選手を伸ばす効果に繋がるといいと思っています。


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