Athelete News
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18.05.12
怒りを燃やし続けて
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今週の「Athlete News」、義足のプロダンサーとして世界で活躍する大前光市さんをゲストにお迎えしました。

大前光市さんは、1979年生まれ、岐阜県出身。高校時代からバレエを始め、大阪芸術大学でバレエを選考。大学を卒業後、プロのバレエダンサーを目指していた24歳の時、暴走した車にはねられ左足の膝から下を失いました。
しかし、数か月後に義足を付けて、ダンスを再開。
おととしのリオ・パラリンピックの閉会式では、片足での連続4回のバク転という超人的な技を入れたダンスを披露。
さらに、去年の紅白では、平井堅さんと共演、現在は義足のプロダンサーとして世界で活躍されています。


──一躍脚光を浴びたおととしのリオ・パラリンピックの閉会式。10万人の観客の前でソロダンサーを務めましたがどんな感覚でしたか?

10万人というと、ひとりひとりのお客さんの顔が見えない状態、夜だったのでプラネタリウムにいる感じです(笑)。

──義足が光っているのがすごく印象的でした

僕の特徴である義足を光らせて、”この人は義足だよ”というのを、あえて目立たせるんです。

──ポール状になっている義足は、また特徴があるんですか?

あります。例えばパイプみたいな足なんですけど、足につけると、普通の両足を持ったダンサーと同じ動きができます。
僕のダンス用の義足は足の形をしていないんですね。先っぽが丸いことで、自由に地面を捉えることができるんです。

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──交通事故に遭ったのは、憧れの舞踊団のオーディションの最終選考直前だったそうですが
絶望から再びダンスをやろうと思った気持ちの変化はどこからだったんですか?


負けず嫌いだったっていうのが一番ですね、努力してきたのに終わってしまうっていうのはもったいないと思ったし。
お父さんが反対してたんですね、「そんなのは一握りの人間しかできないから、ちゃんとした仕事に就け」みたいな感じだったんですけど。
その親父が、事故をした時に病院に駆けつけてくれて、どん底の僕の手を握り「光市、おまえ頑張れよ!おまえならできる!」って言ったんですよ。
その時に、”親父は反対してたと思ったけど、応援してくれてたんだ!”って、その時にすごい力をもらった気がして。

──またバレエダンサーを目指そうと思われたんですか?

最初はそうですね、前と同じように踊りたい、復帰したいと思いました。

──難しさもあったんですか?

やっていくうちに難しいことだっていうのが分かってきて。僕が入りたかったところのオーディションも、4回受けに行ったんですけど、4回とも落ちたんですよ。
最後に言われたのが、「君はプロにはなれない」と言われて、”やっぱり、今まで通りの動きはできない”難しいなと思って、方向転換したんです。
ダンサーはそれだけじゃないんだから、踊ることは続けられると思って。どんな形になっても僕はプロダンサーになってやると、怒りがこみ上げてきたんですね。それが今でもずっと続いているという感じですね。

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──リオパラリンピックのドキュメント番組を見させていただきました。連続バク転にチャレンジする、何回も練習で失敗しながらも続ける姿。
そして、本番では4回連続のバク転を決める、そのエネルギーに心打たれました


障がいを持っている人って、普通の人以下に見られるところがありまして、そういうのが癪なんですよね。
障がいを持っていたとしても、普通の人以上のことができる、魅力を持っているんだぞっていうのをはっきりと形で示したかったんですよ。
なので、インパクトを持ったことをしたいと思って、バク転を片足でできたら少しは見直すだろうという怒りからきてますけど(笑)。

──大前さんが今後ステージで表現したいこと、伝えたいことは何ですか?

人には種類があるんだと、ジャンルごとじゃなくて、僕はやっぱりアート寄りなんですよね。
ステージでダンスを表現するって、自由度が高いんですよ。僕がダンスを踊っていることで、他の障がいを持っている人とかも、”自分のダンスを踊れば、普通の人以下に見られないんだな、じゃあ僕も自分のことを考えよう”みたいな。
それぞれがオリジナルを見付けていくような、手助けになるような表現をしていきたいですね。


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