Athelete News
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16.04.30
日本水泳界の遺産「戦う情熱、受け継がれる意志」
今週の「ATHLETE NEWS」は、競泳の元日本代表で、北京、ロンドンオリンピックと2大会連続出場を果たした、伊藤華英さんをお迎えして、お話を伺いました。


──先日行われた日本選手権、北島康介選手が引退発表をされた瞬間どう感じましたか?

100メートルの平泳ぎ、準決勝では派遣標準記録というのを切って、”北島康介5度目のオリンピックか!?”と、会場中が盛り上がったんですけど、次の日の決勝では2人とも派遣標準記録を切れていないという、会場のシーンとした感じがいまだに覚えているし、”どうしたらいいのかな?”と、思っちゃいますね。

──決勝のほうがタイムが遅くなってしまうというのは、どうなんでしょうか?

異様な空気感が増す状態になるので、プレッシャーもありますし、2本泳いで3本目なので、疲れているっていうのもあるんですよね。
そのあとに、北島選手のインタビューで「まぁ、しょうがない」と言っていたので、いつも彼に助けられるという印象でした。

──最終レースとなった200メートル、ライバルが多いということでしたが、途中までは2位につけていましたね

北島選手が「このタイムでは世界と戦えないから、これが結果なんだ」と言っていて、”いつも世界を見ている人の発言だな”と思って、後輩にも見習ってほしいなと思いました。

──5大会連続オリンピック出場まであと一歩、というところまで現役を続けられる。その強さはすごいですよね

若いときは、本当にやんちゃな先輩という感じで、すごく元気で面白い人です。
本当にピュアで競うことが好き、33歳になってもそれを継続してたことが、彼をずっとトップでいさせられた要因じゃないかと思います。

──オリンピック、2大会連続で2冠ですよね。本当に強かったです

今でも鳥肌立っちゃいますけど、わたしは2008年、金メダルを2個とったときに一緒だったんです。
あの時の興奮、北島選手のゾーンに入る怖さ、”もう話かけられないな”っていう空気、レースの1、2時間前でぱっと変わるんですよね。
表情、雰囲気、”誰も話しかけられないな”っていう空気になりますね。

──実際に金メダルをとってしまう勝負強さですよね

私たちが見ていて、あの時は”何が起きても金メダルをとる”っていう自信があったんですよね。絶対にやってくれるだろうと思っていて。
その時に聞いた「君が代」は、初めて感動しました。”私たち日本人だったんだな”というのを、北島選手のおかげで感じられた大会でした。

──北島選手の引退で、日本水泳界も大きな影響を受けるのでしょうか?

いろんな記事を見ると、「北島ロス」と言われてますけど。北島選手が残したレガシーを大切にして、世界と戦う覚悟、プライドを持っていくことを、背中を見て選手は受け継いでいると思うので、北島選手を近くで見ていた選手が34人の中にいるので期待しています。

──日本選手権では、若い女性スイマーの活躍が光りましたよね

アトランタ以来じゃないかと思いますね、若手が育っているなと思います。
今井月選手は小さい時から注目されていて、メディアや先輩、いろんなところに揉まれているわけですよ。いろんな思いをして結果が出なくて、注目されたのに代表に入れなくて…、という経験をして。
ある程度、早熟な経験をして、今回のオリンピック、200メートル個人メドレーで選ばれたので、そういう意味では落ち着いていけるんじゃないかと思います。

──池江璃花子選手は伸び盛りというか、強いですよね

あそこまでいっちゃえば、これからヒロイン、エース、日本を引っ張っていく女子の選手になると思うので。
今回のオリンピック、どんな世界を彼女の目で見るのか、それが成長の期待に広がるところですね。どうなるのか、私としてはドキドキしています(笑)。
私自身も、「いまはタイムを伸ばせるうちに、伸ばしなさい」ということを伝えて、選考会の次の日の合宿では、”チームジャパンなんだぞ”ということは教えられていると思うので、一気にプレッシャーが来てると思いますね。
そのへんを、うまく先輩たちに力を借りながら、弱音を吐きながら迎えてほしいなと思いますね

──毎回、ゲストの方のお気に入りの一曲を伺っています。 伊藤華英さんが現役時代によく聞いていた曲や 支えになっていた曲はありますか?

松たか子さんの、「明日、春が来たら」という曲です。
わたし、同世代のスポーツ選手が多くて、こないだもサッカー選手が「この歌好きなんだよね」って話をしてて。90年代の音楽なので、高校生のときに聴いていたんですよね。桜もすごかったし、聴いたら”気分がいいな”と思って、復活気味です(笑)。

──高校時代、水泳の練習はきつかったですか?

自慢じゃないんですけど、高校3年間、放課後の掃除を一回もしたことないんですよ(笑)。
すぐに練習に行かなきゃいけなくて、みんなと遊びに行ったり、お茶とか行きたかったんですけど……みんなに「掃除よろしくー!」とか言って、みんなに助けられましたね。
音楽が友達くらいの感じで頭の中にいつも音楽が流れていて、モチベーションになったり、気分転換にもなるし、助けられましたね。

来週も、伊藤華英さんをお迎えして、リオオリンピックへの展望を伺います。
お楽しみに!

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