Athelete News
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15.10.10
音速の世界で見続けるものは
今週の「ATHLETE NEWS」は、
明日、富士スピードウェイで行われる、世界最高峰の耐久決定戦、WEC 富士6時間耐久レース決勝に出場する、「TOYOTA GAZOO Racing」中嶋一貴選手の インタビューをお送りしました。中嶋選手が耐久レースにかける思いについて伺いました。



ー実際にレースで使われているヘルメットを持ってきていただきました

普段、レースで使うヘルメットを間近で見る機会もないので、みなさん反応も様々で、意外と持ってみたら重いとか、軽いとか。
耳栓をして、さらにその中に無線がないと聞こえないので、耳にダイレクトに入ってくる感じなんですよ。
このヘルメットを被って運転しないといけないので、頭も重くなるし、それに耐えないといけないので、意外と体も鍛えないといけないんですよ。

ー基本的なことを伺いますが、WEC世界耐久選手権とはどういったレースですか?

その名の通り、耐久レースの世界選手権なんですけど。F1の1時間から2時間のレースに比べて、耐久レースになると短くても6時間レース。
6時間の場合は、2〜3人のドライバーで交代しながら走ります。

一番長いレースが「ルマン24時間」という大きなレース。24時間を走りっぱなし、24時間走り終わっときに、だれが一番長い距離を走れたかというのを、競うレースになります。

ーだいたい、どれくらいのペースで交代するんですか?

だいたい3、4時間くらいのペースで3人で交代しながら走るんですよ。
乗っていない時間が6、7時間。その間は食事したり、寝たりするんですよ。そういった準備もしないといけないので、その時間も重要。
緊張してる状態なので、寝られない人は寝られないですね。

ーいろんな意味の耐久ですね

機械が一番の難しいところですね。24時間何も壊れずにっていうのは、5000キロ以上走るので、そこを車のトラブルなく走るのが一つと、人間にとっても、体力もそうだし、メンタルも含めて失敗をせずに100%の状態で常に走るということを続けないといけないので、かなり難しいんです。
僕らだけではなくて、ピットで車の様子を見守っている人たち、戦略を立てる人たちは24時間起きっぱなしなので大変ですね。
エンジニアの人たちにとっても、大きなチャレンジですね。
みんなが良い仕事をしないと勝てないので、本当の意味でチームスポーツだと思います。

ー今年は怪我をされて、乗り越えた年ですよね?

そうですね、4月の終わり、練習走行中に背骨が折れまして、そこから「ルマン24時間」のレースに出れるかどうかも分からなくて。 普通に治すと3ヶ月と言われていて、たまたま、チームドクターの知り合いに骨のスペシャリストがいて、半分くらいの時間で復帰することができたので、今となってはやって良かったと思います。

ー医療の力だけではなくて、中嶋選手が「ルマン」に出たい!という強い思いが関係してそうですね

治療するにあたって、今すぐに治るだろうけど、50年経ったときに普通に治すより、もしかしたらリスクがあるかもしれないと言われましたが、ルマンは年に1回しかなくて、40歳まで現役を続けたとして、あと10回しかない。だから、無駄にしたくなかったんです。
ルマンでの優勝は、世界選手権の年間チャンピオンと同じ、もしくはそれ以上に価値があるんですよ。それぐらい、ルマンはレーサーにとって魅力があるものですね。


ーゲストの方に、お気に入りの一曲を伺っています。中嶋選手がよく聴いている曲、心の支えになっている曲を教えてください

先日、鈴鹿でF1があったり、この秋、モータースポーツ、いろいろなイベントが多いんですよ。子どもの頃に観ていたF1中継のエンディングテーマで流れていたRobin Zanderの「In this country」。最近、たまたま聴いてやっぱり良いなと思いました。


ー中嶋選手が、レースを通して一番興奮する瞬間とは?

やっぱり、優勝した時ですね。レースって年に何回も勝てるわけではないので。嬉しいことより悔しいことのほうが多いんですよ。普段のトレーニングもそうだけど、苦しい時間のほうが長いので。優勝できた時の歓びを得るためにやっているのが、一番大きいですね。

ー明日行われる、WEC富士決勝に向けての意気込みを教えてください。

唯一の日本でのレースになりますし、たくさんの方に応援に来ていただけると思っているので、その応援に恥じないようなレースをしたいと思います。
いい意味で、みなさんの期待に応えられるようなレース、4連覇を目指して頑張っていきますので、ぜひ応援をお願いします。