Legend Story
  • mixi
  • Facebook
  • ツイッター
  • Google
16.07.09
ロサンゼルスオリンピック アンデルセン

オリンピックのマラソン史上、これ以上インパクトの強いゴールシーンがあっただろうか…。
その女性選手は、フラフラになりながらも
ただひたすらゴールを目指した。

「女子選手には危険過ぎる」との理由で開催されていなかった女子マラソンが、ロサンゼルスオリンピックで初めて公式競技となった。

しかし、8月の猛暑のなかでのレースは過酷を極め、高温・多湿に体調を崩す選手が続出。
日本代表の増田明美も16キロ付近で途中棄権した。
 
地元アメリカのジョーン・ベノイトがオリンピック女子マラソンの初代金メダリストとして
ゴールテープを切ったおよそ20分後、ひとりの選手が競技場に入ってきた。

スイス代表のガブリエラ・アンデルセン、39歳。
脱水症状に陥り、左に、右に、足をふらつかせながら、ゴールに向かう。

係員がすぐさま彼女のもとに駆けつけるが、アンデルセンは自力でゴールする意思を見せる。
医師もアンデルセンの状態を判断し、ゴールまで走ることを許した。
   
アンデルセンは千鳥足になりながらもトラック1周をおよそ6分かけ、完走を果たした。
    
その姿には、彼女の意志の強さ、スポーツの持つ過酷さ、様々なものが表れていた。

盛大な拍手に包まれたアンデルセンのゴールシーンは、
その後もオリンピックの名場面として何度も取り上げられ、今も世界中の人々の記憶に刻まれている。