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2024.11.02

悔しさを力に掴み取った金メダル

今週の「SPORTS BEAT」は、パリオリンピックのフェンシング男子フルーレ団体で金メダルを獲得した松山恭助選手をゲストにお迎えし、お話を伺っていきました。
松山恭助選手は、1996年生まれ、東京都のご出身。
高校時代、オリンピックメダリストの太田雄貴さん以来となる高校総体3連覇を果たし、2016年のリオデジャネイロオリンピックの後、現役を引退された太田雄貴さんの後を受け、男子フルーレ団体のキャプテンをつとめ、東京オリンピックに出場、4位入賞を果たしています。



──まずは、パリオリンピック金メダルおめでとうございます!

ありがとうございます。

──今回のパリオリンピックには、東京大会とは違った気持ちで臨まれたんでしょうか?

そうですね。まずは個人的な世界ランキングもですし、団体戦の世界ランキングも全て含めて本当の意味でメダル争いができる位置にいたので、そういう意味ではオリンピックの前の段階から(前回とは気持ちが)全然違ったのかなと思っています。

──東京大会の次の日からすでにパリオリンピックを目指していらっしゃった松山選手ですが、ご自身の成長の実感はいかがでしたか?

悔しさというものをずっと常に持ち続けてこの3年間やってきましたし、あと、東京オリンピックが終わってからすぐ、フランス人のエルワン・ルペシューコーチが男子フルーレのコーチに就任しまして、彼は東京オリンピックでフランス代表として出場して優勝したメンバーの1人で、東京オリンピックで戦った相手だったんですが、そういう方がコーチになって、彼と出会ったのも1つの転機でしたし、色々なことが良い方向に進んだのかなと思っています。

──コーチが変わったことで何か新しい発見はありましたか?

一番大きかったのは、“自信を持って自分が持っているものを常に出す”ということを一番に教えてもらったことです。
彼は自分の実力や技術を本当に買ってくれていたので、“持っているものを常にしっかり出せるようにする”ということ、自信を植え付けてくれたことが指導の中で一番大きかったかなと思います。
実力がじわじわついてきたことによって、他人と自分をあまり比較しなくなったというか、自分のやるべきことだけに集中してやっていたので、周りが気にならなくなって、自分と他の選手を比較するようなことは減ってきましたね。

──そして、満を持して挑んだパリオリンピック。個人戦があった数日後に団体戦があったわけですけれども、日本のフルーレ団体メンバーは個人戦で飯村選手4位、松山選手が10位、そして敷根選手が18位という結果でしたが、メンバーのそれぞれの調子というのはいかがでしたか?

飯村選手は4位という素晴らしい結果で、彼は初めてのオリンピックで楽しんでいて調子は良かったと思うんですけれども、僕個人は意外と調子は良くなかったんです。 実は、個人戦もなんですが、団体戦に関しても調子が良くないまま終わってしまって。
ただ、気持ちのコントロールというかメンタル面のところで、良くない状態でもしっかり自分を出す練習、持っているものを出す練習をこの3年間やってきていたので、まさにそれが実ったといいますか、準備していたことをしっかり発揮できたオリンピックでした。
ただ、個人戦もメダルを狙っていたので、残念な気持ちの方が大きかったですね。

──松山選手はパリオリンピック期間中は絶好調というわけではなかった?

そうですね。むしろちょっと調子は良くなかったです。
この話はまだどこにもしていないんですが、実は今年の5月にぎっくり腰が原因で(病院で)調べてみたら、ヘルニアを発症していたんです。でも、シーズンもこれからオリンピックに向けて、という時期だったので(練習を)休めなくて、オリンピックまでずっとリハビリとフェンシングの練習を並行してやっていましたし、オリンピックの個人戦の前日に急に腰がちょっと痛くなったりして、運が悪いといいますか、実はそういうところもあったんです。
でも、“怪我をしている”ということを言い訳にしたくないというか、やっぱり結果を出すことが全ての世界なので、言い訳をしても、変な話、誰も助けてはくれないんですよね。 結局自分がやれることをやって、自分が望む結果を自分で掴み取るしかないので。

──松山選手の真の強さを感じました。
個人戦と団体戦でやるべきことは同じだと思いますが、松山選手はなぜ団体で金メダルを獲得することができたと思われますか?

個人戦から団体戦まで中6日ぐらいあったんですが、実は全く(気持ちを)切り替えられなかったんです。
個人戦でもメダル獲得を目指していて、それが叶わなかったということで精神的にもかなりダメージがありましたし、さらに、日本チームが、僕らの試合まで3日連続でメダルを獲得していたんです。すごいプレッシャーになりましたし、ジェットコースターのように気持ちのアップダウンがあってすごく苦しかったんですけれども、団体戦の当日は、やっぱり(団体戦のメンバー)全員が僕と同じように悔しさを持っていて、「このまま帰れない」という気持ちがあったので、あとはもう、特別なことをやるのではなく、自分たちがここまでの3年間で積み上げてきたものをとにかく発揮するだけだと。それが最初から最後までできたことが優勝に繋がったと思っています。

──松山選手は前回大会に続きキャプテンを務められていましたが、団体戦の前はメンバーのみなさんを鼓舞するようなお声がけもされたんですか?

個人戦が終わって、やっぱりみんな悔しくて、“(団体戦で)メダルを獲れるのか”という不安がすごかったので、とにかくまず自分の気持ちを正直にみんなに話したんです。「俺、実はちょっと不安なんだよね」とか「本当は悔しいんだよね」とかそういうことを話したら、みんなも「そうだよね」「僕もやっぱり絶対に勝ちたい」とか、結構みんなシンプルで、やっぱり(自分と)同じなんだなということを…わかってはいたんですけれども、改めて共通認識として(気持ちを共有して)、それでチームが繋がったというところはありました。

──金メダルを獲得された瞬間、率直にどんな感情が湧いてきましたか?

“オリンピックのチャンピオンなんだ”ということを感じているようで感じていない、ちょっと不思議な感覚でした。
とにかく1日を通してずっと集中していて、もう目の前の1点、目の前の相手、目の前のチーム、そこだけに集中していたので、まずは勝ったことに対するシンプルな喜び…それがオリンピックだからということではなく、試合に勝ったことに対する嬉しさがあったのと、そこからチームメイトとかを見て、“やっぱりオリンピックで勝ったんだな”と。観客もすごく湧いていたので、じわじわと(実感が湧いてきて)、何か不思議な感覚でしたね。

──フェンシングの本場フランスで開催されたパリオリンピックで、日本のフェンシング界は金メダルが2つ、銀メダルが1つ、銅メダル2つと競技の国別ランキングでは1位となる大活躍を見せてくれました。 フェンシングは世界ランク1位ということもあって、もう世界から見たら日本はフェンシングの強豪国ですね。

──まさにそうですね。 ここ数年で日本という国が、1つの種目だけじゃなくどの種目でも、ワールドカップやオリンピック、世界選手権などいろんな大会を含めてメダルを狙える位置に来たというのは、世界からも間違いなく強豪国だと見られていると思います。

──オリンピックの後に、子供たちと触れ合う機会もありましたか?

そうですね。母校の小学校と中学校では、オリンピック前のタイミングで(訪問して)少し(生徒たちに)話をして、「メダルを獲って帰ってきます」みたいなことを高らかと宣言してしまって(笑)。

──(笑)。有言実行じゃないですか!

それで、(実際にオリンピックで金メダルを獲ったので)絶対にまた行かなければと思ったんです。
自分が金メダルを獲って思ったのは、大人もそうですけれど、(金メダルは)子供たちに夢を与えられるというか、それはフェンシングでも別のスポーツでも他の分野でもいいんですが、“自分も頑張ろう”と思える、そういう活力を与えられるものだと思ったので、まずは早い段階で母校にメダルを見せに行かないとと思って行きました。

──さて、この番組ではゲストの方にCheer up songを伺っています。松山恭助選手の心の支えになっている曲を教えてください。

King Gnuさんの「飛行艇」という曲が好きです。
普段、僕は洋楽を聴くことが多いんですけど、特にオリンピックになると、東京の時もそうだったんですが、邦楽というかJ-POPをすごく聴きたくなるんです。それで今回もKing Gnuさんを聴いて気持ちを高めたり、“よし、頑張ろう”みたいな感じになっていましたね。
とにかく前向きにさせてくれる曲なので、落ち込んでいる時に聴くというよりは、まさに“これから戦いに行くぞ”という時に聴きたい曲です。


今回お話を伺った松山恭助選手のサイン入り色紙を抽選で1名の方にプレゼントします。
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そして今回お送りしたインタビューのディレクターズカット版を、音声コンテンツアプリ『AuDee』で聴くことができます。
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