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2024.10.26

2026年W杯出場へ向けて…森保ジャパンが目指すサッカーとは?

今週の「SPORTS BEAT」は、元サッカー日本代表の前園真聖さんをゲストにお迎えし、お話を伺っていきました。
前園真聖さんは、1973年生まれ。
鹿児島実業高校から、Jリーグ 横浜フリューゲルスに入団。
1996年、アトランタオリンピック本大会では、ブラジルを破る「マイアミの奇跡」をチームのキャプテンとして演出。
2005年の引退後、2009年にはラモス監督率いるビーチサッカー日本代表に選出され、ビーチサッカーワールドカップに出場しました。
現在は、メディアや全国でのサッカー教室を通してサッカーの普及活動に尽力されています。

なお、収録スケジュールの関係でワールドカップ・アジア最終予選は第3節サウジアラビア戦終了時点となっています。


──お話を伺っているのがオーストラリア戦の日のお昼ということで、僕たちはまだ結果を知らないんですけれども(※オーストラリア戦は1-1で引き分け、勝ち点合計10で現在グループC暫定1位)、日本代表は、オーストラリア戦の直前までは本当に順調すぎるほど順調ではないですか

そうですね。特にこの最終予選では、これまでは初戦でつまずいたり色々あったんですが、非常に良いサッカーをしていて、久々に「日本代表、強いな」と思いましたし、安定しているように見えますね。

──その状態になった理由としては、何かきっかけがあるんでしょうか?カタールのワールドカップではドイツもスペインも破ったりしてすごかったですが、その直前などは森保監督に対する選手の不満が少し見えたりする瞬間もありましたよね。

選手からも少しコメントが出たりしましたが、まず、森保監督の4年プラスさらに4年の8年(2018〜2026年)という任期はこれまでの日本代表監督ではなかったことなので、(2018年からの)4年間の積み重ねがあって、また、森保さんはこの(留任後の)4年をまた違う形で変えていくというところで、最初、選手には少し戸惑いはあったと思います。

──森保監督自身が変えようとしている部分がある?

システムももちろんそうですし、サッカーのやり方もそうですし、目指しているのは「ワールドカップでベスト8以上」というところなので、この(留任後の)4年で新しいことをやり始めて、そこで選手の“不満”というか、「これからどうするの?」という声が出てきたのは確かでしたね。でもそれが今、良い形になってきている段階です。

──日本代表に長谷部さんが訪れたことがいいきっかけになったのかなと思いましたが、今はコーチとしても入られている?

はい。試合の時はベンチには入れませんが、今回の日本代表の期間はずっと帯同するということで、もちろん名波浩さん、前田遼一さんといった元日本代表の選手たちが今(コーチとして)入っていますが、より選手たちと近いところの位置づけとして、長谷部さんは(現日本代表の選手とも)一緒に戦っていますし、より海外のことも選手のことも知っていますし、そういう意味では(監督と選手の)間に良い形で入っているというイメージでしょうか。

──次の北中米ワールドカップではさらにアジア枠が広がりましたよね。モチベーションも含めて、戦い方は変わってくるものなんですか?

当然、少し枠が広がって日本は出やすくなるのは間違いないですよね。そうなると、今ほとんどの日本代表選手は海外でプレーしているので、“中4日、5日で日本に帰ってきて試合をしてまたアウェーでの試合に行く”みたいな時差の問題はこれからどんどん広がっていくと思います。
そういった意味では、例えば、日本で試合がある時は、ある程度勝ち点が積み重なっていたら日本主体のJリーグメンバーで(試合をする)とか、そういうこともこれからできるのかなと、なんとなく僕は思っているんですけれども。

アジアで日本が戦う時は、基本的に日本が主導権を持って試合を運べるじゃないですか。でもワールドカップに行くと、例えば前回のスペインやドイツなど日本より格上のチームが相手になると、相手の方が主導権を持つ時間が長いので、アジアとワールドカップとでは少し違う戦い方になるんですよね。ここをこれからどのようにやっていくかというところは課題だと思います。

──そこは(アジア予選とワールドカップとでは)別という風に割り切れるものなんですか?それとも、やはりワールドカップに向けて「ある程度実験的にこういう戦いをしよう」とするのか、まずはアジアで勝つことが大事だということで、勝ち切るための戦略を取るのか。

今試している、今年から始めているのは、“ワードカップに出場した場合、日本がどのように戦うか”というところを構築してアジアでも戦っていると思います。
前回のワールドカップでは、相手が強いからなるべく守備、守備、守備で、相手が8割ボールを持っていてこちらは2割、その少ないチャンスをものにしますよ、という戦い方しかできなかったんですが、これからはおそらく、“どんな相手でもある程度主導権を持つ”というサッカーを(目指していて)今回のアジアの大会からずっとやってきているので、そこは期待できるかなと。そのメンバーがまたレベルアップして揃ってきているので、十分戦えるんじゃないかなと思っています。



──その戦い方でまだ強豪国と戦っていないので、(日本代表選手)それぞれが海外で活躍しているからといって互角に戦えるかどうかは実際にやってみないとわからないですよね。

おそらくそれまでにマッチメイクで強い強豪国と戦うことはやっていくと思うんですが、おっしゃる通り、「日本が主導権を持って戦う」と言っても、実際にマッチアップしたらやっぱり相手の方がボール持つ時間も長くなることもあるでしょうし、その時には当然、守備の時間や、守備をどのように構築して(ボールを)奪ったらどういう攻撃をするかなど、バリエーションも必要になってくると思います。必ずしも主導権を握れるとは限らないので。

──そういった戦術面は刻々と日々バージョンアップしていっているわけですよね。その中で日本代表としてはどのような戦略や戦術で世界に追いつこうとしているんでしょうか。

今試しているのは、システムは前回のワールドカップと一緒で、「3バック」といってディフェンスを3枚置くんですけれども、ウイングバックの左と右が後ろに下がってきたらその3枚にプラスになって5バックになる。前回のワールドカップの時はそれを直前でやったんですが、今回はこの予選前からずっとやっていて、それが今、形となって出てきているので、攻撃の時はその両サイドが上がると(攻撃に)人数をかけられる、守備の時は下りてくるから後ろが5枚になる。その形をベースに攻守をどんどんレベルアップしていくというのが今の段階です。
この両サイドは大変なんですよ。僕はできないです(笑)。「もう僕は攻撃だけさせてくれ!」という感じです(笑)。
でも今は、前の選手は攻撃だけして点を取っていればいいという時代じゃないので、前の選手…例えば三笘選手も堂安選手も、全員守備もしてなおかつ攻撃でもパワーを出さなきゃいけないというサッカーを、今、構築している。そうじゃないと今は戦えないので、本当にすごいと思います。「なんであんなに走れるの?」って僕は思うんですけど(笑)。

──逆に僕が心配するのは、あまりにも選手が揃いすぎていて「誰を使おうか」と監督は悩むと思うんですが、時差がある中で(日本代表として招集されて)、自分のチームでは活躍しているのに、代表に来た時に試合に出られなかった選手のモチベーションは大丈夫かなと。

僕もそこを一番心配しているんです。
選手としては、海外からわざわざこの試合のために来て1試合も出られなくてベンチにいて、でも自分のチームではスタメンでバンバン出て、自分自身でも自信はあるのに…という。でもその選手たちをうまくマネジメントをしてるのが森保さんなんですよね。だからあまり腐る選手がいないんです。

──モチベーターとしてやっぱり優秀なんでしょうね。

そこに、元日本代表の名波さんや前田さんなど選手の気持ちがわかる人たちに間に入ってもらう、みたいなことをうまくやってきているんじゃないかなと思います。

──海外の監督がこれまでフラットスリーだったりいろんなことを教えてくれましたけれども、でも逆に日本人監督だからこそわかり合えるものがあったり、プラス面もあるんですよね。
でも、世界にはすごい監督もいっぱいいるわけじゃないですか。(海外でプレーしている選手たちは)その元でプレーしていて、戦術面も知っているし、そこに対抗するのもすごく大変ですよね。

そうですね。(海外でプレーしている選手は)ビッグクラブで世界の最先端のサッカーを日常でやっているわけです。日本代表の活動期間は本当に少ないので、普段はクラブチームでそのサッカーをしている選手が、日本代表に来た時に、今度は森保監督のサッカーをする。(普段は)海外のクラブがスタンダードなのに、“森保監督の(やり方は)何か違うな”と思ってしまう選手が出てはいけないと思うので、(森保監督は)その(海外のビッグチームの)レベルに引き上げていくという作業を今年に入ってからやり始めたと思うので、そこのギャップは最初はあったと思うんです。
でも、選手たちはやはりプロフェッショナルなので、当然、監督とも会話をするし、選手同士でも会話をするし、先日、守田選手が「選手同士も本当に高いレベルで求めあって、今までになく高いレベルで会話ができて、話し合ってチーム作りができているので、今、非常にいい状態だ」と言っていましたが、やっぱりそういう意味では、選手のレベルも上がっているし、監督、スタッフのレベルも上がっていかないと世界では戦えないというところはもちろんあると思います。

──何か、ワールドカップが楽しみになってきました。

ぜひみなさんにも応援してもらいたいですね。

──さて、この番組では毎回ゲストの方にCheer up songを伺っています。前園さんの心の支えになっている曲を教えてください。

長渕剛さんの「STAY DREAM」です。
同じ鹿児島の大先輩で、昨年も鹿児島で同じイベントに参加させていただいたんです。高校生のいろんな悩みを聞きながらだったんですけれども、この「STAY DREAM」を歌ってくださって、高校生以上に僕は感動してるんですけど(笑)。
僕は幼少期から聴いていましたが、今の学生も、知らなくてもあの場で歌を聴いて涙を流していました。本当に「前を向いて頑張ろう」という勇気になるような曲を長渕さんは書いてくれるので、みんな勇気もらったと思います。背中を押してくれたんじゃないかなと思います。



今回お話を伺った前園真聖さんのサイン入り色紙を抽選で1名の方にプレゼントします。
ご希望の方は、番組公式X(旧ツイッター)をフォローして指定の投稿をリポストしてください。当選者には番組スタッフからご連絡を差し上げます。

そして今回お送りしたインタビューのディレクターズカット版を、音声コンテンツアプリ『AuDee』で聴くことができます。
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