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2022.10.22

父と二人三脚で世界に挑む

今週の「SPORTS BEAT」は、先週に引き続き、陸上女子中長距離界のエース、田中希実選手をゲストにお迎えしました。
田中希実選手は、兵庫県出身の23歳。
現在、豊田自動織機に所属されています。
女子1000m、1500m、3000mの日本記録保持者。
昨年の東京オリンピックでは、女子5000mと1500mの2種目に出場。
1500mでは8位となり、この種目で日本勢初の入賞を果たしました。
今年開催された世界陸上では、日本人選手初となる、800m、1500m、5000mの3種目に出場されました。

今回は、リモートでお話を伺っていきました。


──今週は田中選手の現在の取り組みについてお話を伺いますが、お父様の健智さんと二人三脚で歩まれてきたんですよね。

はい。“ずっと二人三脚で”というのともまた少し違うとは思うんですが、今は(父親が)コーチということで、練習は見てもらっています。

──最初ににお父様の指導を受け始めたのはいつ頃だったんですか?

大学2年生ぐらいからでしょうか。それまでは普通に中学・高校と、顧問の先生に見ていただいていて、父にはたまに、レース前とかに「今日はこれぐらいで走れるはずだから自信を持って」みたいなアドバイスを受けるぐらいだったんですけど、しっかり練習メニューを組み立ててもらって…となってきたのはここ数年かなと思います。

──お父様も陸上の選手だったんですよね。お父様に指導してもらおうと思ったきっかけは?

柔軟に、かつ、私のことを誰よりもわかって見てくれる人となったら父しかいなかったので、それで「(父親に)お願いしたい」ということになって、そこからです。だから父も、急にそういうことになった時には不安の方が大きかったんじゃないかなと思います。

──娘を指導する喜びもありながら、やっぱり戸惑いみたいなものもあったと。

やっぱり、“家族でやる”ということのしんどさの方がずっと先に立っていたのかと思います。誰よりも私のことをわかっているからこそ、私を見るのは絶対にしんどいというのはわかっていたので(笑)。だから、かなり(指導を引き受けるのを)渋っていた経緯はあるんですが、 でも最終的に、私が、「ちゃんと見てくれる人がいないけれど、やっぱり競技も頑張りたいし、どうしたらいいんだろう」という状況になってしまっていたので、だからこそ、手を差し伸べてくれたのかなと思います。

──例えば、お互いの意見が違ってぶつかったりしても、家に帰ったらお互いがいるわけですよね。どの部分でリセットされるんですか?

家でも外でも基本的に常に一緒なので、外にいる時も家にいる時とそんなに変わらないです。「外に出た瞬間にコーチと選手」となるわけでもなく、「親子」というのともまた別というか…昔からお互い一歩引いていた部分があったので、“ベタベタもしていないし、でも避けているわけでも仲が悪いわけではない”という関係が幼少期から普通でした。だから、家の中に陸上の話があるのが当たり前の家庭だったので、家に帰った時に“切り替える”とかもなく、そこの部分はそんなに違和感がないのかなと思います。

──お母様も北海道マラソンで優勝されたりしていますが、お母様に陸上のことについてもアドバイスを求めたりすることはあるんでしょうか。

母は基本的に感覚で走るような感じのタイプで、ネガティブなところは私とは似ているものの、私ほどこだわらないというか、「出来なかったら出来なかった時」みたいな感じです(笑)。だから、私が聞いても「そんな技術的なことは何もわからない。ただ怪我をしないように走るだけ」みたいな感じなんです(笑)。

──そして世界陸上の後に、海外にも行かれました。イタリアで大会に出て、3000mで優勝。その後ボストンで練習されて、ニューヨークで1マイルロード(5th Avenue Mile)のレースに出られた。これはどういう目的で行かれたんですか?

イタリアの方は、来年度の世界陸上に向けての権利獲得のために、ポイントを稼いでいく必要があったので行きました。今年の世界陸上の成績がそこまで良くなかったので、なんとか決まったイタリアの一戦だけでも何か来年に繋げられるレースにしたいということで、3000mに出ることにしました。
そのあとの1マイルロードは、アメリカのボストンに、私のサポートをしていただいているスポンサーのニューバランスの本社があるので、そこへの訪問も兼ねて(出場した)。そこ(ボストン)からニューヨークに行って、(1マイルロードは)ちょうどそのニューバランスがスポンサーの大会なんですが、そこでダイヤモンドリーグなどで転戦したトップ選手たちがヨーロッパから帰って来て走るので、その選手達に揉まれて走る感覚が、今後の世界陸上やオリンピックで“恐れない気持ち”というものを思い出すために必要かなということで。

──さあ、そしてこの番組では、毎回ゲストの方にCheer Up Songを伺っています。今週も田中選手の心の支えになっている曲を教えて下さい。

DREAMS COME TRUEの「決戦は金曜日」です。

──リリースが1992年ということで、田中選手がまだ生まれる前の曲ですよね。

私もそんなに普段から聴いていたわけではなくて、悩んでいた時に耳に入ってくる機会があって、聴くようになりました。

──最後に、田中選手が新たなチャレンジをする時に大事にしていることがあったら教えていただけますか?

私の場合は、不安な気持ちの方が先に立ってしまうことが多いので、新しいことを始める前には、不安を取り除くために色々書いたりしています。レース前にそういうことをすることが多いです。

──いろんなことを書き出してみる?

いろんな不安な気持ちがある時に、なぜ不安なのか自分でもわからない時もあるので 、とにかくまず「不安だ」というところから書き出してみる。そこから「こうなったらどうしよう」なども考えて書き出していくと、“自分でこう思っていたから不安だったんだ”とわかるんです。そういう感じで、自分がぼんやり感じていた不安やイライラの正体を、“書くことで見つける”という感じかなと思います。


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