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2022.10.01

金メダルへの“20年”

今週の「SPORTS BEAT」は、オリンピックに5大会出場を果たしたアーチェリーの山本博選手をゲストにお迎えしました。
山本博選手は、神奈川県横浜市出身の59歳。
1984年、大学在学中にロサンゼルスオリンピックで銅メダルを獲得。
さらに2004年のアテネオリンピックで、20年ぶりとなる銀メダルを獲得。
オリンピックに5大会出場を果たし、現在も現役選手として活躍。
昨年は、東京オリンピック・パラリンピック競技委員会の顧問会議顧問を務めるなど、幅広く活躍されています。



──今月31日に60歳になられるそうです。おめでとうございます。

そうなんです。ついに還暦でね。来年から赤いユニフォームに変えようかと思っています。

──(笑)。今でも現役を続けるために気をつけていることはありますか?

昔からそうですけど、「食う」・「寝る」・「遊ぶ」。
まずは食事をバランス良く摂ること。他のスポーツ、陸上や水泳の選手みたいにストイックにタンパク質だなんだといろんなことを考えなくても、アーチェリーの選手は、そこまで運動量の高い競技ではないので、バランス良く食事を摂って、後は睡眠をしっかりと取る。
僕は、現役になって20代から今日に至るまでとにかく睡眠だけはすごく気にするので、平均で7時間は取る。それでも身体が疲れている時は8時間、9時間と、自分の身体のコンディションに合わせて睡眠時間を調整しています。
そして最後に「遊ぶ」というのはどういうことかというと、僕にとってアーチェリーは「遊び」なんです。30代の時に、すごく成績が悪かったんです。その時はアーチェリーを「遊び」じゃなくて何か崇高なもののように捉えていて、命を賭けてやっていたんですが、それがプレーの時に“力み”となって良い成績が出ない…ということがあったんです。
元々スポーツの原点は「遊び」から始まっているから、みんなから「よくこんなに練習するね」って言われるんですけど、僕にとっては「練習」でなく「遊び」なので、「よくこんなに遊んでるね」なんてことは普通によくあるじゃないですか。だから、たくさん遊んで、食べて、寝て…というのが基本ですね。

──やはりアーチェリーは目が重要だと思うんですけど、目のトレーニングというのはされたりするんですか?

トレーニングは、30代の頃にみなさんに薦められては色々としましたけども、僕はそういうトレーニングというのは長続きしないんですよ。

──やっぱり「遊び」でないと、なかなか続かないですか?

そうなんです。生真面目に向き合うのが好きじゃなくて。
それで、結果として何が起きたかというと、45歳くらいから老眼と乱視が出て来ましたね。一度、あるスポーツ選手に「乱視が治るよ」と薦められてレーシック手術をしたですけれども、僕には合わなくて…。その後も色々と試した結果、右眼だけ老眼のコンタクト(レンズ)を入れているんです。
若い時は、70メートル先にある的を狙う時に、的にピントが合っていて、手前にある照準器をぼやかして見ていたんです。けれども、右目に老眼用のコンタクトレンズを入れた今は、手前にある照準器の方にピントを合わせて的の方をぼやかすという、若い時とは狙い方を変えるようになりました。これが一番の大きな変化ですかね。
本当はしたくなかったんですが、この年齢ではその方法が一番最良なので、今の身体にあった攻め方をして狙っています。

──来春には国体に出場される。それが2度目の栃木国体。

アーチェリー競技って、国体の歴史の中で、正式種目の競技になったのが比較的遅いんです。今回の国体は77回目なんですが、42年前の栃木国体で初めて正式種目になったんですよ。僕はその時横浜高校の3年生で、個人と団体に出場して、両方とも優勝しているんです。
それから時を経て、今は東京の選手団の団長として出場させてもらっているので、選手としての出場は控えさせていただいていたんですが、今回は(42年前と同じ)栃木県であるということ、そしてコロナ禍で2年間国体が中止だったものですから、縁のある栃木国体にもう一度出場出来たら、僕の中で1つの思い出が作れるなと思って。国体は団体でしか出場出来ないものですから、東京都の選手たちとチームを組むのも自分にとって新たな刺激を得られるかなということで、予選から出場しまして、それで関東地区を勝ち抜いて、今回、本国体に42年ぶりに出場することになりました。

──国体は持ち回りで開催されるので、なかなか同じ国体に出るという経験はできないですよね。

そうですね。仰る通り、開催県は1周まわらないと回ってこないので、その大会に、高校生以来もう1回出られるというのは、すごく幸せです。それまでにコロナなどに感染して出場できない、なんてことにならないよう、気をつけます。

──その国体の後に、10月21日から開催される全日本ターゲットアーチェリー選手権大会、こちらに出場される?

出場します。(全日本ターゲットアーチェリー選手権大会には)かなりの回数出場しているんですけど、30歳くらいまでは、出場すると、優勝の確率が5割近かったんです。それからずっと勝てなくて優勝から遠のいているので、もう一度、チャレンジャーのつもりで、今脂が乗っている選手たちと対決できるマッチ戦のところまで進みたいなと思ってます。

──この大会は、パリオリンピックの選考会も兼ねている?

正式に強化部から発表になっていないですが、おそらくはそうですね。この大会で上位に入った選手が、11月に開催されるナショナルチームの選考会に出場できる権利を得ると思います。
来年のナショナルチームのメンバーに入っていなければパリの選考会の出場権利は得られないと思いますので、この大会がパリへ行く第一関門かなと思います。

──41歳でアテネオリンピックで銀メダルを獲得した時に、「あと20年かけて金メダルを目指す」と仰っていた、まさにパリオリンピックですよね。

そうですね。あっという間に20年が経ってしまいました。この20年は本当に苦労に苦労を重ねて、間に2回手術をしたりね。身体のいろんなところに問題が生じても何とか競技を辞めずにやってきたので、どんな結果になろうと、41歳の時に「あと20年かけて金メダルを目指す」と言ったこと…とりあえず自分は「目指す」ことはやってきたので、その道のりに恥じないような、最後の結果を出したいなと思っています。

──素晴らしい結果を期待しています。頑張ってください。 さあ、そしてこの番組では、毎回ゲストの方にCheer Up Songを伺っています。山本選手の心の支えになっている曲を教えてください。

ゆずの「栄光の架橋」です。

──この曲は、銀メダルとお獲りになったアテネ大会の曲ですよね。

そうです。あの時に、ゆずのお2人が一生懸命歌って、みんなを応援してくれた歌ですよね。

──やはりご自身の主題歌というか、テーマ曲でもありますか?

やはり、自分の人生に重なる部分が多かったり、今も、自分の成績が振るわなくて心が折れそうな時に車とかでかけると、「もう1回頑張ろうかな」という気持ちにさせてくれる曲ですね。
やはり人間は、どんなにポジティブな人でも一瞬でネガティブな気持ちに変わってしまうことってありますから、そういった“ちょっとまずいな”と思った時はこの曲をかけて、あの時を思い出して、もう一度あの時の自分になれるように導いていく、という。そういう歌ですよね。

──この曲は、本当に多くのアスリートが(Cheer Up Songに)挙げてくださる曲で、よくテレビや街中でも耳にしますよね。

自分がうまくいっている時は、ゆずの「夏色」とか、明るい曲をね。ゆずの北川(悠仁)君や 岩沢(厚治)君は、同じ横浜の同郷なので、仲が良くて。

──いつから交流があるんですか?

やっぱりアテネの頃ですね。アテネの頃に、彼らにアーチェリーの経験をしてもらって。その時に、北川君が横浜高校の後輩だったりとか、岩沢君は隣の高校だったんだけど、偏差値が僕らの高校より高い高校に行っていて(笑)。そういう中で、一緒にご飯を食べたりして。

──最後に、たくさんの夢を叶えてきた山本選手の、今後の夢を教えていただけますか?

今までアーチェリーを、50年近く、よく頑張ってきたなと。今後も続けたら何が見えてくるのか、探究しに行きたい。
あとは、スポーツをこういう年齢まで取り組む人がいるということをみんなに知ってもらって、日本のスポーツ文化というものが成長して、みんなのスポーツに対しての向き合い方がもっと変わってくれたら良いなと思っています。
日本というのは非常に結果主義が強くて、道のりとかをあまり眺めに行かないような部分があるような気がするので、そういった部分も含めてメッセージを送れるように頑張っていければと思っています。


今回お話を伺った山本博選手のサイン入り色紙を、抽選で1名の方にプレゼントします。 ご希望の方は、番組公式ツイッターをフォローして指定のツイートをリツイートしてください。当選者には番組スタッフからご連絡を差し上げます。

そして今回お送りしたインタビューのディレクターズカット版を、音声コンテンツアプリ『AuDee』で聴くことができます。
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