四元奈生美(よつもと なおみ)さんは、4歳から卓球を始め、数多くの大会で優勝。
2001年、大学卒業と同時にプロへと転向され、2004年には中国超級リーグに参戦し、北京チームに所属。ここでは外国人初の所属選手となり、総合優勝に貢献されました。
2008年には全日本選手権、混合ダブルスで準優勝。
現在は、コメンテーターやデザイナーとして活躍なさっています。
今回はリモートでお話を伺っていきました。
──四元さんといえば、2000年代から2010年代にかけて、ファッショナブルな衣装をまとい、卓球界でもかなり目立つ存在だったと思いますが、このファッションというものはいつからどのようにして始められたんですか?
本格的に始めたのは22歳で、大学卒業してプロになろうと思った時に始めたんですが、実は中学校の頃から(ウェアの)色を変えたり、カスタマーデザインを…線は何色とか、ここの部分は白にしようとか、ちょこちょこデザインを始めていました。
私は女子校だったんですけれども、当時は、「なおちゃん、何部?」と聞かれて「卓球部」と答えると、どうしても、カーテンを閉め切っているイメージとか、暗いとかダサイとかそういうイメージがあったみたいなんです。
──確かに、体育館の隅っこの方にちょっと追いやられている感じがありましたよね(笑)。
そうなんですよ(笑)。
そんな中で(卓球台も)深緑の台で、なかなか可愛いユニフォームも着れないとなると、やっぱり女子校だと、どうしても“もっと可愛いものを(着たい)”と。“卓球をやっている人は暗くないのに、なぜ暗く見えちゃうんだろう、もっと可愛いものを着たい!”と思ったのがきっかけですね。
──大学卒業後、22歳になってから本格的にファッションに力を入れられて、周りの反応はどうでしたか?
やっぱり賛否両論だったと思いますね。
私自身は、ウェアをもっと明るくすることで、卓球が少しでもメジャーに、明るい方向に繋がるんじゃないかと思って始めたんですが、「負けたらどうするんだ」とか、いろいろ言われていたのは事実だと思います。
──「オシャレに力を入れるならもっと練習をしなさい」みたいなことは、負けた時に言われてしまうかもしれないですよね。
そうですね。今は卓球がすごくメジャーになって、“やるスポーツ”というだけではなく“観るスポーツ”にもなったと思うんですが、当時は、卓球は“観るスポーツ”ではなく“やるスポーツ”という感覚の方が強かったんです。
だから、「あまり髪の毛を染めてはいけない」とか、例えば「アクセサリーはつけてはいけない」とか、今ではわりと自由なんですが、(当時は)そういう空気はずっとありましたね。
──でも、四元さんのファッショナブルさが話題となって、卓球の知名度を上げることに貢献されてきましたよね。
そう言っていただけるとありがたいです。
──そして、パリオリンピックが1ヶ月後に迫ってきましたが、卓球の日本代表といえば、2012年のロンドンオリンピックで女子団体が銀メダルを獲得して以降、2016年のリオデジャネイロオリンピックでは男子シングルスの水谷隼さんの銅メダル、男子団体の銀メダル、女子団体も銅メダル、そして前回の東京オリンピックでは混合ダブルスで金メダル、女子シングルスで伊藤美誠選手が銅メダル、女子団体が銀、男子団体も銅と、メダル獲得が続いています。最近の卓球界のめざましい活躍はどう感じていらっしゃいますか?
すごいですよね。今、2000年生まれの子たち…「黄金世代」と言われている、早田ひな選手、平野美宇選手、今回は出場できませんが、伊藤美誠選手。この3人が本当に強い。私が選手をしていた頃にはまだ小学生で、すごく可愛い子たちだなという感じだったんですけれども。
──今回のパリオリンピックの代表に、東京オリンピックでメダルを獲って活躍した伊藤美誠選手が選ばれないという。これが逆に日本の今の選手層の厚さを表してるのかなと思いました。
そうなんです。卓球界の今のレベルというのは、本当にジュニアがどんどん強くなってきているので、どこかコンディションが悪いとか、怪我によって上手く練習ができないとなってしまうと、どんなに強くてもあっという間に代表から漏れてしまうので、そのあたりが中国と似てきているなとは感じます。
──一方、男子の張本智和選手、戸上隼輔選手、篠塚大登選手に関してはいかがですか?
張本選手は2回目のオリンピックということで、本当に日本のエースですし、プレー自体も世界のトップクラス。男子選手なんですけれども、台にピタッと前に付いて、威力のある、速さのある攻撃ができるんですね。それが本当にすごくて、バックハンドも速いですし、今回も大車輪で何とか団体戦も2点取ってくれたら嬉しいなと思っているところです。
──台に対する立ち位置、前後みたいなところにも注目すると、いかに張本選手が前で反射よく打っているか。
そうなんです。男子選手は、台から下がって後ろからパワーで両ハンドの攻撃、ドライブを打つという選手が多いんですが、張本選手は(あまり下がらず)前の方に付いていても、威力のあるドライブが打てるんですよ。
ここがすごいところで、前に付くことによって、後ろにいるよりもそれだけボールが返ってくるのも速いですよね。なのに速く返ってきたボールをパワーのあるボールで返せるということで、逆に相手に(打ち返す)時間がないんですよ。
──カウンターみたいに決まる。その代わりリスクを負うというか、前に出ている分、張本選手が対応ができなくなる可能性もあるということですよね。
そうです。でもそれを上回る速さと安定感で、相手がもう対応できない。なので、(張本選手は)強いです。
──男子は、今まで日本の卓球界を引っ張ってきてくれた、精神的支柱の水谷隼さんが引退されましたが、すごく若い3人が揃いましたよね。
戸上選手、篠塚選手が初出場ということで、思い切ってオリンピックを楽しんでもらって、一生懸命練習してきた分、それが全部プレーに出てくれたら嬉しいなと思っています。
──戸上選手は明るい選手というイメージがあるので、大舞台でも活躍してくれるんじゃないかなと勝手に期待しているんですけども(笑)。
と、思います。大物ぶりというか、「僕のフォアハンド強打を見てください!」という感じで(笑)。ものすごいフットワーク力と、フォアファンドの威力が素晴らしいので、その辺りも注目だと思います。
──パリオリンピックの卓球は、開会式翌日の7月27日から8月10日までの15日間開催され、最初にメダルが確定するのが7月30日、日本勢の2連覇に期待がかかる混合ダブルスです。そして、8月3日には女子シングルスの決勝、翌4日に男子シングルス、さらに、8月9日に男子団体でメダルが確定し、翌10日に女子団体決勝が行われます。パリオリンピックの見どころは?
最初は混合ダブルスから始まりますので、東京オリンピックに引き続き今回もここで金メダルを獲って、良い形でスタートを切ってほしいです。
──中国という壁は、相変わらず分厚いと思いますけれども…。
中国の壁は厚いですけれども、今大会、本当に過去最強のチームです。特に女子は、2月に行われた世界選手権の団体戦で、あと一歩のところまで迫っています。
中国選手は追い込まれるとプレッシャーに負けてしまう時もありますので、とにかく追い込んで追い込んで、そのまま逃げ切って勝ってほしいです。
──この番組では、ゲストの方にCheer Up Songを伺っています。四元奈生美さんの心の支えになっている曲を教えてください。
ZARDさんの「負けないで」です。
大変な時とか辛い時でもこの曲を聴くとすごく元気になりますし、あとは声が綺麗ですよね。大好きです。
今回お話を伺った四元奈生美さんのサイン入り色紙を抽選で1名の方にプレゼントします。ご希望の方は、番組公式X(旧ツイッター)をフォローして指定の投稿をリポストしてください。当選者には番組スタッフからご連絡を差し上げます。そして今回お送りしたインタビューのディレクターズカット版を、音声コンテンツアプリ『AuDee』で聴くことができます。放送できなかったトークが盛りだくさん! ぜひお聴きください!