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2022.08.27

日本バレーボール界の“今”と“これから”

今週の「SPORTS BEAT」は、元バレーボール日本代表の川合俊一さんをゲストにお迎えしました。
川合俊一さんは、新潟県出身の59歳。
ロサンゼルスオリンピック、ソウルオリンピックと2大会連続で出場。
全日本のキャプテンも務め、男子バレーボール界を牽引されました。
1990年に現役を引退後、日本人初のプロビーチバレーボール選手となります。
現在は、日本バレーボール協会会長、日本ビーチバレーボール連盟名誉会長、トヨタ自動車ビーチバレーボール部ゼネラルマネージャーなどの肩書きを持ち、多方面で活躍されています。



──日本バレーボール協会の会長に就任されて5ヶ月が経ちましたが、選手のみなさんは、現場で、川合さんが会長になられたことをどのように受け止めている感じなんですか?

どうなんですかね。多分、“バラエティでこの間までボケてた人がちゃんとしたことを喋るな”っていう感じじゃないでしょうかね(笑)。
でも、すごく温かい目で見てもらっています。

──選手にとっても距離感が近くなりそうですよね。

僕が選手の時って、会長とか聞いてもピンと来なかったんですよ。(関係が)離れすぎちゃっていて。あの感じは良くないなと思うので、こういう時期だから難しいですけど、コロナ禍が過ぎたらみんなでご飯を食べに行ったりしたいと思っています。

──今年の6月から7月にかけて行われた国際大会「FIVBネーションズリーグ」。序盤、男子チーム・女子チーム共に快進撃でしたよね。

すごかったですよ。女子は8連勝、男子もまあまあ強いチームに勝って、本当に良い成績で。

──男子チーム日本代表の主将・「100年に1人の逸材」と言われてセリエAで活躍している石川祐希選手。素晴らしかったですよね。

そうですね。まず、すごくなったのは、イタリアでプレーして“そう簡単にスパイクがブロックされない打ち方”を勉強していて、それがチーム全体に伝わっていったんですよね。もう、“一か八か”みたいなスパイクは滅多に打たないですから。それが他の選手にも伝わって「ああいう風にやらなきゃいけないのか」ということで。
だから、リバウンドを取るとか、(石川選手のプレーに影響されて)粘りが出てきたんです。
あと、石川選手のすごいところは、今26歳ですけど、チームのまとめ役ですよ。大体、石川選手が言えば「そうしようか」みたいな方向になるので、もちろん選手としても有望ですけれども、将来のバレー界の中心になっていって、(いずれは)協会の人間になってくれたら、“協会をまとめる”という意味でも、石川選手は良いんじゃないかなと思いますね。あれだけまとめる能力のある人は中々いないですからね。

──レベルの高いイタリアで単身ずっと戦い続けてきて、やっぱり他の選手たちの信頼は厚くなりますよね。

だって、イタリアって、世界中から(身長が)2m5cmとか2m10cmとか、そんな人たちが集まってきているところで戦ってますから。そこでもう本当にびっくりするぐらい活躍してるんですよ。それを見ているので、やっぱり他の選手にも相当刺激になっていますよね。
だから今、学生には「僕も海外に行こうかな」なんて選手が増えてきているんです。
でもそうすると、日本国内でプレーをしないので(笑)。国内のVリーグの方では、良い選手がどんどん出ていっちゃう。サッカーも野球もそうなんでしょうけど、中々苦しいところではありますね。

──でも、西田有志選手は実際にイタリアに行って活躍して、またVリーグに戻ってきましたよね。

戻ってきましたね。やっぱりちょっと一回り大きくなって、打つコースも幅も出てきたし、ああやって(海外に)行って帰ってきてくれたら、日本で国内のリーグも盛り上がると思うので、(海外で)勉強して、最後は日本に帰ってきてもらって盛り上げてもらいたいなと思います。

──日本男子は、やっぱり西田選手のあのサーブもすごい武器ですよね。

西田選手はサウスポーでしょ? だから、シュート回転みたいになるんですよ。バレーボールって、大体6人に1人ぐらいしかサウスポーがいないので、大抵右利きの人のサーブを受けるんですけど、(西田選手が打つと)サウスポーでちょっとシュート回転になるので、普段そんなに取り慣れていないボールが来るから、相手選手は嫌でしょうね。
それと、スピードとね。ものすごいスピードで、サーブではもう世界でトップレベルの選手ですから。日本の選手で世界でトップレベルになるなんて想像もしていなかったですよ。多分、(普通なら)世界と同じぐらいのスピードで打っちゃうと、身長がそんなに高い方ではないので、アウトになるんです。少し高さがないと角度がつかないので。西田選手はジャンプ力があるので、ものすごい角度でガーっ打つので、あれはすごいですね。

──そんな西田選手と、さらに石川選手のサーブもあるということは、やっぱり男子は強くなったな、と。

そうですね。あと、今、大学生で(身長が)2m超の選手がいるんですよ。ここが育ってきてくれたら、またすごいことになりますよ。石川選手がちょっと疲れてきたなと思って交代したら、2m10cmが出てくるっていう(笑)。「なんだ日本、すげーな」みたいな、そんなチームになったらいいと思いますね。

──そして女子チームですけれども、監督に復帰された眞鍋(政義)さんは、川合さんと一緒に日本代表で活躍されていたということですけれども、どんな方なんですか?

普段はものすごく面白い人間です。ずーっと喋ってます(笑)。バレーに関しては、彼が一番最初にタブレットを使って…“データバレー”ね。その瞬間にどんどんデータが上がってくる。それを見ながら、「今この選手、決めてるようで意外と決まってないな」とかね。

──印象と実際のデータがズレていたりする?

はい。すごいスパイクを2本ぐらい打つと「うわ、調子いいな!」と思うんだけど、あとは決まってなかったり、「なんか調子良さそうじゃないな」と思っても全然ブロックをされていないとか、そういうところをデータで確認する。目から入ってくる情報とは違うので。もちろん、それ(データ)だけじゃない。それを駆使しながら色々作戦を立てていく。
女子バレーって、昔は、監督が1人で「俺についてこい!」みたいな感じだったんです。でも眞鍋監督は、野球みたいにサーブコーチ、ブロックコーチ、守備コーチ…って分担を分けていって、で、2時間ぐらい練習したら、「はい、終わり」。
(練習を短くすると)何が良いことが起こるかというと、2時間で終わっちゃうから、(選手が)「あれ、もうちょっとやりたい!」ってなる。で、各コーチに「私、こういう練習をしたいんですけど」って自分から言ってくるような、“やらされてない感”を出す練習をするので、そこが上手いですよね。

──そして、この番組ではゲストの方にcheer up songを伺っています。川合さんの心の支えになっている曲を教えてください。

今続編が公開されていますけど、映画『トップガン』。初めて観た時に、ビーチバレーをやってるシーンがあるんですけど、ビーチバレーを見たことがなかったので、“何これ?”ってなって。

──その時はバレーボールはやってらっしゃったんですか?

あの映画はたしか86年の映画なので、やっていました。日本のバレーボール関係者も、映画でビーチバレーを初めて見て“なにこれ?”ってなったらしいですよ。「海で、人数少ないけど、バレーボールやってるぞ!」って(笑)。
「Danger Zone」は、試合前に聴くと気持ちが盛り上がってくる。

──トム・クルーズさんと同学年なんですよね。

そう、一緒なんですよ。この間も第二作(映画『トップガン マーヴェリック』)を観に行って、“若いなぁ、トム”と思って(笑)。“俺ももうちょっと頑張らなきゃな”って(笑)。

──試合前に聴かれたりもしたんですか?

試合前にこの曲を聴いて、(気持ちを)上げていくんですよ。でも、試合前に上がりすぎちゃうと試合が始まってから落ちちゃうので、ダラーッとして、最後にこういう曲を聴いて(気持ちを)上げるというね。

──(曲を)聴くタイミングというのも大事なんですね。

(曲を聴くのが)早すぎると、試合の1時間くらい前に上がっちゃって、燃え尽きて試合に入ると落ちていくんです(笑)。だから試合の(直前の)“これから行くぞ!”という時に聴いていた曲ですね。

──さて、2年後にパリオリンピックが迫っていますけれども、そこに向かって何か改革を進めていたりはしますか?

まず1つは、“完全に監督を信頼する”ということです。現在、男子バレーはブラン(フィリップ・ブラン)監督、女子バレーは眞鍋監督にやっていただいてます。なるべくいろんな言い分は聞いて、ここ(監督たち)に気持ちよくやってもらうということ。
あと、東京オリンピックでは、日本は開催国だから、全種目出場したわけです。普通だったらアジアで1位にならないと出れない。新しい種目が増えてやたらとメダルを獲ったので、メダルを獲れなかったバレーボール日本代表は、ちょっと露出が少ない。やっぱり、しょっちゅう見ている人が試合をやるから“見てみよう”“応援しよう!”となるじゃないですか。やっぱりたくさんの応援があると選手も頑張るので、なるべくスターティングメンバーの名前くらいは国民のみなさんに知ってもらえるように2年間で持っていって、最後の(オリンピック)予選で、日本中が日本の男子・女子を応援してくれるような雰囲気にしたいですよね。
僕らは雰囲気づくりしかできないですからね。やっぱり期待が大きいと“よし頑張ろう!”っていう気になるじゃないですか。そういう気持ちになるような風潮に、ここ2年間で持っていきたいなと思います。

──そう考えると、「ネーションズリーグ」の大躍進というのは、みんなが注目したというか、希望を持てた素晴らしい戦いだったと思います。

だと思います。ネーションズリーグは毎年ありますので、来年のネーションズリーグでも活躍してもらって。僕らも応援しますけど、選手たちも自力で頑張って“このチームなら応援したい!”と思ってもらえる、そんなチームになってもらいたいですね。



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