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2022.08.20

小学校卒業と同時に1人上京!?人生を変えたフェンシングとの出会い

今週の「SPORTS BEAT」は、フェンシング日本代表の向江彩伽選手をゲストにお迎えしました。
向江彩伽(むかえ あやか)選手は、城北信用金庫に所属する福岡県出身の24歳。
2013年、15歳の時に中国で開催されたアジアユースゲームズで優勝。
2018年には、全日本フェンシング選手権大会の個人戦で2位に輝き、団体戦では、2018年から2連覇を達成。
パリオリンピックでの活躍が期待される、女子フェンシング界 期待のホープです。



──近年、東京オリンピックで男子エペ団体が金メダルを獲得するなどフェンシングに注目が集まっていますが、向井選手が競技を始めたきっかけは何だったんですか?

元々福岡県出身で小学生の頃までは福岡で過ごしていたんですが、そこで「福岡県タレント発掘事業」という、“福岡でスポーツのトップアスリートを発掘しよう”という県の事業があって、そこでフェンシングの体験をしている時に、たまたま同じところで合宿をしていた日本代表のコーチが見にきていて、「やってみないか?」と声をかけてもらったのが、フェンシングを始めたきっかけになります。

──その「福岡県タレント発掘事業」には、ご自身で「参加したい」と言ったんですか?

元々、小さい頃からすごく運動が好きだったので、最初は“自分がどれくらい運動神経があるのかな?”という興味本位で応募したんですけど、そうしたら受かっちゃって(笑)、それでこの事業に参加することになりました。

──それまで、フェンシング自体を知ってはいましたか?

私が小学4年生の時、北京オリンピックで太田雄貴選手がメダルを獲得されていたので、フェンシング自体は知ってはいたんですが、まさか自分がフェンシングを始めるとは思っていなかったので、ビックリしましたね(笑)。

──小学校卒業と同時にフェンシングに打ち込むために上京されています。これはお1人で上京されたんですか?

はい。1人で上京して東京にある寮に入って、寮生活を始めました。

──福岡県のタレント発掘事業を受けたのが小5。その(小学校卒業までの)短期間で、“私はフェンシングでの道で生きて行くんだ!”って決心したわけですよね。

そうですね。(日本代表のコーチに)声をかけてもらって、「トライアウトがあるんだけど、受けてみないか」「もし受けるんだったら、合格したら東京に行くことになるから、1週間で決めてきてね」って言われて(笑)。

──すごいなぁ(笑)。それで覚悟を決めたんですね。ご両親には相談したんですか?

相談はしましたね。その1週間は毎日が家族会議で、ずっと家族で話し合っていて。でも、基本的には“やりたいことをやってきなさい”という感じでした。

──もちろん応援したい気持ちはあれど、ご両親は小学校を卒業して中学校から別々なんて想像もしていないわけじゃないですか。そこは、やっぱり涙々のお別れだったのでは?

そうですね。上京してから、かなりホームシックになって。初めての寮生活で、身の回りのことも1から自分でしなくてはいけなくなって、競技もけっこうハードな練習だったので(寮生活との)両立が難しくて、最初の頃は毎日のように母に連絡して泣いてました(笑)。

──寮生活で周りに住んでいらっしゃる方も、将来有望なアスリートばかりだったんですよね。

そうですね。上京して入ったところが「JOCエリートアカデミー」というところだったんです。東京オリンピックでメダルを獲得された卓球の平野美宇選手やレスリングの須﨑優衣選手たちと同じところで生活していたので、周りはトップアスリートばかりで、刺激的でした。
自分の種目以外のスポーツアスリートと関われるということで、共感してくれる部分もたくさんあって、周りにアスリートがいること(のメリット)は大きかったと思います。

──そしてフェンシングには、「エペ」「サーブル」「フルーレ」という3種類の種目があるんですけれども、向江選手はサーブル。これはご自身で選ばれたんですか?

私の場合は、「フェンシングを始めてみないか?」と言われた時にはサーブルということが決まっていたので、自分で選んだわけではないんです。

──声をかけられた時点で「サーブルの選手としてやってみないか?」ということですか?

はい。世界で見ると、フルーレもエペもサーブルも、どの種目もやっている選手が(満遍なく)いるんですけど、なぜか日本は絶対にフルーレからスタートして、その後にエペやサーブル、もしくはフルーレへと分かれていく感じだったんです。でも、「最初からエペやサーブルの選手を育てよう」という話が協会の中で出ていたみたいで、私は最初から「サーブルをしないか?」と言われました。

──でも、実際にフェンシングを始めてみて“やっぱりフルーレの方が…”とか“エペの方をやってみたかったな…”なんて思うことはなかったんですか?

それが全然なくて(笑)。本当にサーブルで良かったと思います。
フルーレとエペは“突く”種目なので、フェンシングというと基本的に“突くスポーツ”を想像されると思うんですけど、サーブルは“斬る”種目で、相手を斬っているんです(笑)。

──“突き”もあるし“斬って”も良いんですよね?

(突きは)一部あるんですけど、“突く”ということはほとんどなくて、基本的に“斬る”種目なので、動きもダイナミックでスピーディな試合展開で、すごく自分に向いていると思います。

──今回、初めて知ったんですけど、フェンシングで持っている剣の名前がそのまま種目の名前なんですね。

そうなんですか?(笑)

──おっと(笑)。エペはエペという(剣の)名前だし、フルーレはフルーレ(という剣)だし、サーブルはいわゆるサーベル。あの細い剣で、北イタリア辺りの決闘から来ていると聞きました。

元々、サーブルだけしか詳しくないんですけど(笑)、フェンシングは種目によって有効面が変わってくるんです。サーブルは元々騎馬戦からきているので、騎馬戦の下半身は馬に乗っているので、馬を傷つけてはいけないということもあって、サーブルは上半身しか有効面がないんです。それだけは知ってました(笑)。

──その馬も奪ってしまえば自分の戦力になるから馬は傷つけずに、(有効面は)上半身。エペは全身が有効面で、フルーレは(有効面は)胴だけという、それぞれ違いがあるんですね。 そして日本フェンシング協会の前会長の太田さんの時から、LEDビジョン等による斬新な大会も開催されました。選手としてはどのように感じていました?

ちょうど5年くらい前から、全日本選手権という日本で一番大きな大会の決勝でLEDが使用されてすごく豪華な演出になって、まるで海外の試合みたいな雰囲気で決勝が行われるようになったんです。
私は2018年の全日本選手権の決勝に残ることが出来たので、それを体験することが出来たんですけど、普通の試合よりも演出が豪華というだけでやはり気持ち的にもすごく昂りましたし、一度経験すると“来年も本戦とは違う、決勝のこの舞台で試合がしたい!”と思うようになったので、選手的にはかなりモチベーションが上がると思います。

──観ている方もそういう演出があった方がより楽しめますよね。元々ジャッジが電気で信号が付くということもあって、そういうエンターテイメント要素とも密接に関わっていけそうな競技ですよね。

そうですね。海外の場合、フェンシングという競技が有名(ポピュラー)ということもあって試合の演出がすごくて、ヨーロッパでは大きなスタジオや劇場などを貸し切って車で選手が登場したり、上からワイヤーで選手が登場したり…と、決勝などの上位の試合になるとキラッキラの中で試合が行われるので、本当にすごかったですね。

──新たに(日本フェンシング協会の)会長が武井壮さんになったということで、ますますエンターテインメント化していくんじゃないかなと。

そうですね。すごく楽しみです。ちょうど9月に全日本選手権があって、決勝は別会場になるということは既に発表されているので、今年もそこに残れるように頑張りたいなと思います。

──武井さんが会長になったと聞いた時にどう思いました?

いや、もうビックリでした。驚きしかなくて。
私は発表されるまで知らなかったので、まさかと思って。でも武井さんがテレビなどに出られているところを元々拝見していて、考え方がしっかりとしていてすごいなと思っていたので、選手のうちに色々とお話しを聞いてみたいなと思いましたね。

──そして、この番組ではゲストの方にcheer up songを伺っています。向江彩伽選手の心の支えになっている曲を教えてください。

FUNKY MONKEY BABYSの「ALWAYS」という曲です。

──この曲を知ったきっかけ、好きになったきっかけは?

元々FUNKY MONKEY BABYSが小学生から中学生ぐらいの時にすごく好きで、よく聴いていたんです。「ALWAYS」はアルバムに入っていた曲だったんですけれども、歌詞の「どんなに君が遠くへ歩いていったとしても ずっと見守る」という部分が、当時上京したての私には響いて…。
母が「この曲は今の私たち家族のことみたいだね」と言っていて、それがすごく響いたというか、歌詞を聴いてじんわりくるものがあって、今でもその当時のことを思い出しますし、今でもモチベーションが下がった時にこの曲を聴いて気持ちを上げるようにしています。

──最後に、2024年パリオリンピックへの意気込みを聞かせてください。

私は、前回の東京オリンピックでは出場権を獲得する為の1年間のレースが始まる直前に怪我をしてしまって、手術と長期のリハビリで全く試合に出れず、東京オリンピックに挑戦することすら出来ずに終わってしまって、とても悔しい気持ちがあるので、それを2024年のパリオリンピックにぶつけて、“今度は絶対に出場して絶対にメダルを獲得するぞ!”という気持ちで、これからも頑張っていきたいと思います。



今回お話を伺った向江彩伽選手のサイン入り色紙を、抽選で1名の方にプレゼントします。 ご希望の方は、番組公式ツイッターをフォローして指定のツイートをリツイートしてください。当選者には番組スタッフからご連絡を差し上げます。

そして今回お送りしたインタビューのディレクターズカット版を、音声コンテンツアプリ『AuDee』で聴くことができます。
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