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2024.05.11

“まだ渇望している自分がいる”心は次のロス五輪へ

今週の「SPORTS BEAT」は、セーリングの新種目、フォーミュラカイトの岩城拓海選手に、リモートでお話を伺っていきました。
岩城選手は1995年、鹿児島県のご出身。
7歳から親の影響でセーリングを始め、小学生のころはヨット、中学ではウィンドサーフィン、高校からは福岡第一高等学校でセーリング競技と向き合い、ヨットでは全国高校総体で個人4位、団体2位という成績を残し、鹿屋体育大学へ進学。
大学時代には世界選手権にも出場しますが、卒業とともに競技生活からも引退なさいます。
しかし東京オリンピックに同世代でしのぎを削っていた選手が出場したことをきっかけに競技生活に復帰。
フォーミュラカイトクラスのオリンピック採用を知り、パリ・オリンピック出場へと挑まれていました。


──リモートで東京のスタジオとつながっていますが、岩城選手は今、どちらにいらっしゃるのでしょうか?

今、宮古島からです。

──宮古島を拠点とされたのは、フォーミュラカイトの練習に適した場所ということなんですか?

そうですね。たまたまなのもあるんですが、もともとオリンピックを目指す前に、インストラクターとして宮古島に呼ばれて、インストラクターをしているタイミングでカイトボードがパリ五輪の正式種目に決まって、オリンピックを目指す、という形になったので。

──インストラクターで呼ばれたというのは、フォーミュラカイトではなく?

「セーリング」という競技の中に「カイトボード」という種目があって、その中に「フォーミュラカイト」というものがあるんです。

──「フォーミュラカイト」というのは、どのような競技なんですか?

まず、その「セーリング」という競技が、風を用いて海の上を走ってレースをするという競技になっています。わかりやすいもので言うと、ヨットとかウィンドサーフィンが同じ種目に入ったりします。例えば水泳だったら、自由型があって、バタフライがあったり、陸上競技だったら、100m走があって、ハードルがあったり…。それらと同じように、「セーリング」という(競技の)中にヨットがあって、ウィンドサーフィンがあって、フォーミュラカイトというものがあって、そのフォーミュラカイトが、今回のパリ・オリンピックから(五輪競技の中に)入ったということになります。

─一般的なカイトサーフィンとはちょっと種類が違うんですよね?

そうですね。(フォーミュラカイトは)「ホイール」という道具を使っていまして。(ホイールは)“水中翼”というもので、海の上を滑空して走る、いわゆる浮いた状態で走る。

──カイトサーフィンはサーフィンのボードがあるけれど、(フォーミュラカイトは)そのボードの下に水中翼がつき出ていて、競技中はボードが浮き上がっているという状態ですよね。いわゆる高速艇とかありますけれども。

そうです。その技術を応用して、できるだけ接水面積、抵抗を減らして、高速で走る、というような競技になってます。

──カイトサーフィンと比べるとスピードが違うんですか?

もう、出ているスピードが全然違います。だいたいカイトサーフィンで、(時速)4~50km。フォーミュラカイトの場合だと、最高80kmぐらいまで出る競技になっているので、かなり(スピードが)速い競技になっています。

──フォーミュラカイトというのは、タイムを競う競技なんですか?

タイムというよりは、レースになります。全長でだいたい3kmぐらいなんですが、1kmぐらいのコースを周回するという競技になっています。
競艇とかを思い浮かべていただけたらいいと思います。スタートの仕方も似ているので。

──(レースでは一度に)3~40人、みんながカイトを張ってるわけですよね。接触とかはしないですか?

普通にします。体と体がぶつかることはなかなかないんですが、カイトとカイト同士がぶつかることはけっこうあります。

──選手にとっては厳しいレースですが、観ている方にはすごくエキサイティングなレースなんですね。

そうですね。コケる時も相当な形でコケ方をするので。ちょっと油断しただけで簡単にコケてしまうような競技になるので、観ている方としても、“何かすごいエキサイティングなことをしているな”というところが伝わるような競技だと思います。

──岩城選手はフォーミュラカイトでのパリ・オリンピック出場をかけて、4月にフランスで開催された参加40艇中、上位5位までに出場枠が与えられるラストチャンスレガッタに出場されましたが、残念ながら、出場は叶いませんでした。
日本人でラストチャンスレガッタに出場されたのは、岩城選手お1人だったんですか? 挑戦を終えた今のお気持ちをお聞かせいただけますか?

日本人は1人でした。
大会が終わった直後は、率直に「悔しい」という気持ちが大きかったです。でも、“ギリギリの戦い”というよりは、今回の場合は、明らかに技術差というものがありました。周りが自分が想定していたよりも速かった中で、大会自体は4日間あったんですが、半分過ぎた時点で、得点的にオリンピックが叶わないということが決まってしまったんです。でもあと2日戦わないといけないという中で、悔しさというのは相当ありました。

──フォーミュラカイトという競技自体がまだ新しい競技ですから、大会に参加して初めてわかることも、きっとたくさんあると思うんですが。

僕の場合ですと、ここ(パリ・オリンピック出場)に向けてやってきたのは当たり前なんですけれども、活動自体、資金的な問題などで最後のゴールに向けて走りだすのにギリギリだったというところがあって、やっぱり、そこで“(準備が)間に合わなかったな”という感覚が大きかったですね。1人でやってきて、何もわからない状況でやっと出れた世界選手権が、今回の最後の選考だったので。
やっぱり間に合わなかったな、というのが感想というか、思うところですね。

──今後はどうしていきたいと思われていますか?

まだ大会が終わったばかりで、詳しいプランみたいなものは決まってはいないんですが、スポンサーの方に本を出している方がいて、たまたまその本を、帰りの、落ち込んでいる飛行機の中で読んだ時に、本の表紙の裏側の部分に、金の文字で「憧れから始まって、そして渇望する。それが夢なんだ」ということが書いてあったんです。(オリンピック出場が断たれた後の)飛行機の中で、オリンピックというものに憧れを抱いて嫉妬して、渇望している自分がまだいるなということを、それを読んだ瞬間に思ったんです。
なので、次のロスをまた目指して活動していきたいなと。どういう風に活動していくかということはまだ全然決まっていないんですが、そこの“柱”みたいなものは、わりと早い段階で見つけられたなと思います。

──この番組ではゲストの方にCheer Up Songを伺っています。岩城拓海選手の心の支えになっている曲を教えてください。

SPYAIRさんの「イマジネーション」です。
僕は昔から漫画やアニメが好きで、これは「ハイキュー!!」というアニメの主題歌になっている曲なんですけど、その中で、挑戦していく姿勢だったり、立ち向かう姿勢というものが、アニメの中でもちろん語られていますし、この曲がそれをまとめて語ってくれてるというところがあって、そこにすごく共感したんです。
大会の時も「ハイキュー!!」を観たりしているので、僕のモチベーションにつながっている曲になっています。

──フォーミュラカイトの難しさ、すごさがより多くの人に伝わるといいですよね。

そうですね。今回、フォーミュラカイトがオリンピックに選ばれたのも、“魅せられる”競技だと思っているので、多くの人に知っていただいて、観ることで楽しんでいただけるように、僕自身もそうですし、競技自体もそういう風に発展していければなと思っています。

──どういうところに行けば観られるんですか?

基本的にはYouTubeですね。あと、Facebookとかでも大会の中継をやっていたりするんですが、最近だとSNSなどでもショート動画とかを上げていたりするので、そういうものを観て楽しんでいただけたらなと思います。



今回お話を伺った岩城拓海選手がパリ・オリンピックに向けて作ったオリジナルTシャツにサインを入れて、抽選で1名の方にプレゼントします。
ご希望の方は、番組公式X(旧ツイッター)をフォローして指定の投稿をリポストしてください。当選者には番組スタッフからご連絡を差し上げます。

そして今回お送りしたインタビューのディレクターズカット版を、音声コンテンツアプリ『AuDee』で聴くことができます。
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