三好南穂(みよし・なほ)さんは、千葉県出身の28歳。
スリーポイントシュートを得意とし、日本代表でも活躍。
2016年のリオデジャネイロオリンピックから2大会連続のオリンピック出場を果たします。
昨年行われた東京オリンピックでは、日本勢初となる銀メダル獲得に貢献。
所属していたトヨタ自動車アンテロープスでは、Wリーグで2連覇を果たし、今年引退されました。
──三好さん、現役生活、お疲れ様でした! 今は毎日、どんな風に過ごされているんですか?
ありがとうございます。今はサポートスタッフとしてチームに残っているので、今の現役選手たちに自分の伝えられることを教えていけたらなと思っています。
──そして去年といえば、東京オリンピックという大きな舞台がありました。そこで日本バスケ史上初となる金メダルを獲得しました。感動をありがとうございます!
ありがとうございます(笑)。
──勝ち進んでいくたびに手応えというか、“周りの反響がすごいな!”という感じはあったんですか?
正直、(周りは)“多分、バスケットは勝てないだろう”という感じがあったと思うんですけど、やっていくうちに本当に自分たちでも強くなっていくのがわかりましたし、試合を重ねるごとに「メダルが獲れる」と選手も確信してきている感じはしました。
──世間の注目度は感じていたんですか?
そうですね。あの、(SNSの)フォロワーが増えて…(笑)、それで感じました。
──(笑)。そして女子チームといえば、トム・ホーバス ヘッドコーチ。試合中に大声を出していて印象的でしたけれども、どのような方なんですか?
みなさんもご存知かと思うんですけど、本当に怖いんですよ!(笑) 常に試合中でも怒ってはいるんですけど、でもやっぱり、選手のことを自分の子供のように、“愛してくれる”じゃないですけど、最後までずっと自分たちを一番に信じてくれていた人だなと思います。
──練習でも厳しいんですか?
試合より練習の方が怖いです(笑)。ちょっと震えちゃいます。
1人1人の選手の強みを理解して、失敗してもいいんですけど、そこをやらないと怒るんです。例えば私だったら、私は3ポイント(シュート)が強みだったので、“3ポイントを打たない”という行動をしたら、常に厳しく「あなたは何が強みなの?」「打ちなさい!」と言われていました。
なぜ自分は日本代表に呼ばれているのか。自分だったら3ポイントを強みとして呼ばれているので、“そこを打たないと呼んだ意味がない”というところはありましたし、打ち続けたことによって、今回の東京オリンピックでは3ポイントを武器に女子バスケも勝つことができたので、トムさんの言葉を信じてやってきて良かったなと思います。
──3ポイントを打つ時は、やっぱり怖いんですか?
シュートが入らなくなったりとかすると“打ちたくない”とか思っちゃいます(笑)。調子が良い時は本当に何も考えずに打つことができるんですけど、シュートが入らなかったり、それこそ日本代表の選考とかで“この場面でシュートを決めないとメンバーに入れない”とか考えたりすると、(シュートを打つことが)怖いと思うことは、時々ありますね。
──その日本代表のチーム自体も、3ポイントはかなりの成功率。これは大きな武器になってましたよね。
そうですね。日本はやっぱり身長が小さい分、どこで戦うかと言ったら、スピードと3ポイントの精度。これはずっと掲げていたので、そこがしっかり出せた大会だったんじゃないかなと思います。
──あと、トム・ホーバス ヘッドコーチは、100ぐらいフォーメーション、戦略があると聞きましたが…。
めちゃくちゃあります。もう頭がパンクするんじゃないかっていうぐらい、あります(笑)。
──ご自身のチームとかでは、そういう“決まり事”というか作戦は、どれくらいあるんですか?
大体、10から20ぐらい。多くても20。
──全然違いますね!
(トム・ホーバス ヘッドコーチの作戦は)本当にすごい量です。紙で出されてくるんですけど、もう本…広辞苑ぐらいの厚みなんじゃないかっていう(笑)。
トムさんが練習中に1つ1つのフォーメーションの動きを書いた紙を持ってるんですけど、本当に広辞苑ぐらいの厚さの紙を持ってました(笑)。多すぎて選手で数えたんですけど、100以上ありました。
──それは、試合中に誰かが「何番目のフォーメーションで」と指示をするということですか?
そうですね。町田瑠唯選手のポジションの、ポイントガードの人がコールをしてやる、という感じです。
──あの展開の最中だと、「100以上あったって同じ数字しか言わないよ!」みたいになりがちじゃないですか?(笑)
時々同じ数字にばかりなったりするんですけど(笑)、相手によって“どのフォーメーションが効くか”いうこともあるので、相手をスカウティングして、事前にだいたい何個か(有効なフォーメーション)を決めて、試合で使っていきます。
──今振り返ってみて、日本代表というのはどのようなチームでしたか?
本当に1人1人が、誰がどんな強みを持っているかを理解して、それを最大限に活かすようにみんなが信頼しあってプレーできたチームなんじゃないかなと思います。
──銀メダルという、手にできる結果があったというのも大きな喜びなんじゃないですか。
本当に、表彰台に立った時の景色が忘れられなくて。よくテレビとかでも、メダルを獲った方たちが「重い」って言ったりしていたんですけど、実際にかけてみて「こんなに肩が凝るのか」っていうぐらい重くてびっくりました(笑)。本当に今まで頑張ってきた分、銀メダルを獲れて“報われた”じゃないですけど、そういう風には感じましたね。
──三好選手としては「最後の1年」と決めていた中でのオリンピックという大きな大会で、そこで得た銀メダル。
出場できただけでもすごく嬉しかったんですけど、さらに銀メダルという、本当に最高のご褒美をもらえたなと思いました。
──そして、この番組ではゲストの方にcheer up songを伺っています。三好南穂さんの心の支えになっている曲を教えてください。
ゆずさんの「栄光の架橋」です。
もともとすごく良い曲だなとは思っていたんですけれども、リオオリンピックのメンバーに入って壮行会がありまして、その時にゆずさんが来て、目の前で(「栄光の架橋」を)歌ってくださったんです。そこから自分の中でも“意味合いが変わった曲”と言いますか…歌詞を見ても自分をとリンクするところがあったりして、そこから時々、聴いていて勝手に涙が出てきたり、そのぐらい、自分の中では大きな曲だなと思います。
──最後に、バスケをしているリスナーに向けて、3ポイントが上手くなるための秘訣を教えていただけますか。
一番はやはり「無心で打つこと」が大事だと思うので、無心で打つために、自分のシュートフォームが何が一番フィットしているのか、それを感じて、それを打ち続けてたくさん練習することが秘訣だと思います。
──ちなみに、一番多かった時は、1日に何本ぐらい練習をされていましたか?
1日1000本“入れる”練習をやっていました。
──何時間かかるんですか!?
午前午後で練習もあるので、それ以外で1000本打っていたので、朝は6時から打って、夜は10時ぐらいまで打ち続けた日もあります。
──何を意識しながら、何を思いながら、どこを目指しながら打つものなんですか?
練習で意識しているのは、“常に同じ角度で打つ”ようには意識してます。打ったボールの軌道が50度、51度になるように。軌道が低くなると、リングの手前に当たって落ちてしまうので、“低くならないように”というのは意識して打っていました。
今回お話を伺った三好南穂さんのサイン入り色紙と、トヨタ自動車アンテロープスキャラクターぬいぐるみ、さらにバスケットボール型マスコットと三好さんの引退記念グッズをセットにして、抽選で1名の方にプレゼントします。
ご希望の方は、番組公式ツイッターをフォローして指定のツイートをリツイートしてください。当選者には番組スタッフからご連絡を差し上げます。
そして今回お送りしたインタビューのディレクターズカット版を、音声コンテンツアプリ『AuDee』で聴くことができます。
放送できなかったトークが盛りだくさん! ぜひ聴いてください!