永井音寧(ながい・ねね)選手は、大阪府出身の高校1年生。
TOKIOインカラミに所属されています。
2019年13歳の時に、第1回パルクール日本選手権女子フリースタイルで初代女王に輝きました。
2021年も連覇を果たし、女子パルクール界のフリースタイル部門では圧倒的な強さを誇ります。
2028年ロサンゼルスオリンピックで正式競技となることが有力視される「パルクール」の、日本の若き絶対的エースとして期待されています。
──最近多く知られるようになってきたパルクールですけれども、知らない人のために、どのようなことを競うか教えていただけますか?
パルクール の種目としては主に2つあって、「スピードラン」は障害物競走みたいな感じで、“スタートからゴールまでをどれだけ速く走れるか”というシンプルな競技なんですけど、「フリースタイル」は、アクロバットな動きだったりダンスの動きだったり、1つのセットを自由に動いて良いという競技で、本当に“自由演技”という感じです。
──トリックの技の出来栄えを採点してもらう、ということですか?
そうですね。安全性だったり創造性だったり難易度だったり、そういうところを見て得点がつけられます。
──フリースタイルは、時間制限はあるんですか?
大会によって違うんですけど、長かったら、90秒間とか60秒間とか。最近では、「10秒間だけでバトルマッチする」みたいなこともあります。
──10秒でどんなことができるんですか?
大技ですね。どれだけ大きい技を入れられて、どれだけ会場を盛り上げられるか、という感じです。
──永井選手は、短い時間と長い時間、どちらが得意ですか?
長い時間は体力的にしんどいので、あまり得意じゃないので、なるべく短い方がいいかなと思います。でも、10秒は10秒で技をまとめるのが難しいので、30秒ぐらいがちょうどいいです(笑)。
──公園とか街中で練習することもあるんですか?
パルクールは元々外でするトレーニングなので、外で練習することの方が多いですね。
──たまたま通りかかって見られたら、めちゃくちゃラッキーですね! 永井選手は普段、公園でどんなことされてているんですか?
公園では、演技の中の「flow(フロウ)」(技を繋げて連続的に技をスムーズに行う一連の動作のこと)という部分を練習したり、中(の練習場)でできるようになった技を外でチャレンジしたりしています。
繋ぎの部分は本当に大事だと思います。技、技、技だけだと、本当に“技をしているだけ”なので、“そこをどれだけクリーンに繋げられるか”も、得点にも関わってきます。
──大会では、会場の障害物などをその時に初めて見るわけですよね。その時に「この辺を使ってこういう流れにしよう」と、最初から最後まで決めておくんですか?
私は頭で考えることがあまり得意ではないので(笑)、感覚で決めているので、いつもとりあえず動いてみて「この技ができそうだな」とか、迷ったら「ここはどうしたらいい?」って選手の人に聞いたり(笑)、そうやって決めています。
──やっている最中に、「ここはこうしたかったのに、ちょっと違う技になっちゃった」みたいなこともあるんですか?
たまにあるんですけど、自分はめちゃめちゃ確かめてからやるので、それはあまりないです。
たまに、大会前に絵で見せてくれるところもあるんですけど、それで考えて行っても、「高すぎてできない」とか「低すぎてできない」とかが多いので、そういう時はすごく困りますね(笑)。
──逆に、現地で初めて見た時の方がわかりやすいですか。
そうですね。見るのとやってみるのとではやっぱり違うので、見て「できるな」と思っても、やっぱりできなかった、ということもあります。
──そして、年齢制限のために、今年の10月開催予定の世界選手権には出場できないということですけれども、やっぱり早く世界で戦ってみたいという思いはありますか?
もちろん、世界に行きたいなという気持ちはあります。SNSとかで世界の人たちと交流することもあるんですけど、(他の選手が)世界大会に行っているのを見て、「あ~、自分も早く出たい!」と思います。
──それだけ早くからアクロバットやパルクールに触れられていても、“怖い”という感覚はありますか?
すごく怖いです。いつも怪我の心配をしていますし、技もどんどん難しくなっていくにつれて、本当に怖くなります。技をするだけでも1時間ぐらいかかるような技もあります。
やっぱり大技をする時に怖くなりますね。大技の中でも、高いところから飛んだり回ったりするのは、本当に怖いです。
──でも、怖がりすぎると体も萎縮してしまって、失敗に繋がるわけじゃないですか。どういう風に克服してるんでしょうか。
室内で技を練習したりするんですが、気持ちの部分では…良いのかわからないんですけど(笑)、「これができたら世界大会に出れる」みたいなことを考えたり、「これができたら外でこの技ができる」とか、色々考えながらやっています。
──2024年のパリオリンピックでは、パルクールの採用は見送られて、お披露目だけになりました。2028年のロサンゼルスオリンピックで正式競技になるんじゃないかと有力視されていますけれども、オリンピックに出てみたいという気持ちはありますか?
出れるなら、もちろん日本代表として出てみたいですね。
──オリンピックは、今まで見たりしていましたか?
東京オリンピックは見ていました。スケボーだったり、似ているカルチャーの人たちの演技を見たりして、「楽しそうだな」と思いました。
──それこそ若い選手たちがメダルを獲得していたので、それは刺激になったりしたんじゃないですか?
「すごいなあ」の一言でしたね(笑)。
──永井選手もすごいじゃないですか(笑)。
ありがとうございます(笑)。でも、オリンピックに出られるなら金メダルを獲りたいので、これから世界大会に出られるようになったら、そういう部分も見ながら、海外の選手たちの動きに対応していけるようにできたらいいなと思っています。
──まだ(オリンピックで)正式に競技として採用されるかどうかもわかりませんし、それよりも早く世界選手権に出られる年齢になって、そこで活躍したいなというのが、まず、先の目標なんでしょうね。
そうですね。世界選手権は、今年の日本選手権に優勝すれば来年から出られるので、出られたらいいなと思っています。
──そして、この番組ではゲストの方にcheer up songを伺っています。永井音寧選手の心の支えになっている曲を教えてください。
キアラ・セトル & The Greatest Showman Ensembleの「This Is Me(ディスイズミー)」です。
──こちらは映画「グレイテスト・ショーマン」の中の曲ですけれども、この曲を知ったきっかけは、映画を観たことでしょうか?
そうですね。もともとパルクールだけじゃなくて、「コントーション」という軟体系の動きのスポーツとかもやっていたんです。
最初はサーカスの人になりたくて「グレイテスト・ショーマン」を観たんですけど、(「This Is Me」を聴いて)自分らしくいられる曲だな、と思いました。
──サーカスというと「シルク・ドゥ・ソレイユ」とか色々ありますが、そういうものにも興味があったんですか?
そうですね。最初はパルクールだけでやっていこうとは思っていなかったので、それこそシルク・ドゥ・ソレイユに出たかったんです。
──いつぐらいから「パルクールでいこう」と決心をされたんですか?
小学校6年生か中学校1年生の時に、パルクールの大会でシンガポールに行ったんですけど、その大会で(泉)ひかりちゃんとかと出会って、「パルクール、楽しい!」ってなって、パルクールにしよう、と決めました。
──この曲は、競技前や練習中も聴かれますか?
たまに聴いたりします。この曲は、パルクールの大会に初めて出た時に(演技で流した曲だった)。今ではあんまりないんですが、(当時は)何の曲で演技したいか、自分で曲を選べたんですよね。その時は、初めての大会だし、まだ小学生で「恥ずかしいな」とか「みんなの前で動くのは怖いな」という気持ちがあったんですけど、この曲を聴いていたら「これでいいんだ」「これが自分なんだ」という気持ちになれたので、好きですね。
──最後に、永井選手が「ここを見てほしい!」というアピールポイントを教えてください。
日本でも世界でもそうなんですけど、女の子がしないような大技。みんな1回転ひねりとかが多いんですけど、自分はその上で2回転ひねりをしたりとか、他の人がしない技…体がすごく柔らかいので、そういうところを使った独特な技とかが、自分のポイントかなと思います。
今回お話を伺った永井音寧選手のサイン入り色紙を、抽選で1名の方にプレゼントします。
ご希望の方は、番組公式ツイッターをフォローして指定のツイートをリツイートしてください。当選者には番組スタッフからご連絡を差し上げます。
そして今回お送りしたインタビューのディレクターズカット版を、音声コンテンツアプリ『AuDee』で聴くことができます。
放送できなかったトークが盛りだくさん! ぜひ聴いてください!