田澤廉(たざわ れん)選手は、2000年生まれ、青森県のご出身。
駒澤大学時代には、箱根駅伝に4年連続出場、大学駅伝3冠の立役者、そしてアメリカのオレゴンで開催された世界選手権にも1万メートルで出場するなどの活躍をされ、大学卒業後、トヨタ自動車へ入社。
初めて出場した今年の全日本実業団対抗駅伝競争大会、いわゆる「ニューイヤー駅伝」では、3区を走り、見事、8年ぶりの優勝に大きく貢献されています。
──まずは、ニューイヤー駅伝優勝、おめでとうございます! 昨年末、番組に出演してくださった太田智樹選手が、2区の区間賞を獲る快走でトップに立ち、その太田選手からタスキを受けて2位との差をさらに広げる活躍となりましたが、初めてのニューイヤー駅伝、いかがでしたか?
もともとあまり自分の状態が良くなかったので、ギリギリまで出場するかしないか考えていたんです。ただ、会社の人もそうですし、応援しくださる方がたくさんいらっしゃるので、そういった人たちに恩返しするにはこのニューイヤーが一番かなと思っていたので、そういう意味を持って出場しました。
──実際にタスキを受けて走り始めた時は、やっぱり“キツいな”という感じだったんですか? それとも、トップだったので気持ち良く走ることができた?
1区の大石(港与)さんが4位で来た時点で、絶対に太田(智樹)さんは自分のところに1位で(タスキを)持って来ると思っていたので、後続との差をリードしなきゃいけない、それが自分の仕事だと思って走り出しました。
──トヨタチームの「チームとしての強さ」というのは、どのようなところにあるんですか?
今回の区間順位を見ていただければわかると思うんですが、先輩たちが区間賞をたくさん獲られていて、個人としても世界を見据えているような選手がたくさんいる中で、駅伝でもしっかり力を発揮できる先輩たちが(チームに)いることが、今回の優勝に大きく関わってきたのかなと思っています。
──田澤選手は、トヨタに入られてからも、大学時代と同じく大八木(弘明)監督の元で練習されているとお聞きしましたけれども。
そうです。トヨタの練習には行っていなくて、合宿の時だけ太田選手と練習する時があるぐらいですね。
──チームメイトの皆さんとは(普段は一緒に練習をしていないので)“(気持ち的には)初めまして”という感じだったと思いますが、すぐに輪の中に入れるものなんですか?
普段はあまり(一緒に)いないんですが、みんな優しい人ばかりなので、話しかけてきてくれたりしますし、ムード的には良い感じです。
──太田選手がゲストで来てくださった時に、「世界を見据えて戦っている田澤選手と一緒に練習して、その存在がとても刺激になる」とおっしゃっていました。 (太田選手の加入は)トヨタチームには大きなプラスになったんじゃないかなと思いますけれども。
直接的に自分が何かをしたというわけではないんですけれど、自分が入ったことによって士気が上がったとか、少しでもプラスになっていれば嬉しいなと思いますね。
──このままトヨタの連勝が続いていくんじゃないかと思うほどの、素晴らしい優勝でしたよね。
正直言って、僕は、来年トヨタが優勝すると思っていたんです。最初からいい流れで先輩が(タスキを)持って来てくださったので、そのおかげで、今年優勝することができました。いい意味で予想が外れました(笑)。
──田澤選手は、去年の12月10日に、今年のパリ・オリンピック出場権獲得にも大きな影響のある、第107回日本陸上競技選手権大会の1万メートルにも出場されましたが、優勝した塩尻和也選手をはじめ、トヨタ自動車の太田智樹選手など、3位までが日本記録を更新するハイレベルな大会となりました。その中で、田澤選手は自己ベストを2年ぶりに更新する27分22秒31の4位という結果でした。 手応えはある走りだったと思いますが、3人が日本記録を更新というかなりハイレベルなレースでしたね。
そうですね。僕自身も日本記録を狙おうと思っていたんですが、なかなか思うような練習が積めていなかったので。せめて自己ベストを、というところを目標に走りました。すごくハイレベルでした。
──そこに向けての調整と言うか、練習の積み方というものが如実に結果にあらわれるものなんですか?
そうですね。やっぱり、27分00秒というのは、それに相応する練習がしっかり積めていなければ出ない記録なんです。この1年間、試合が多かったという関係上、僕がやりたい練習がなかなかできなかったこともあって、致し方ないかなと思います。
その中でも、大学3年生の時に出した自己ベストを2年ぶりに更新できたということは、自分の中でも少し進展があったかなと思いますし、すごくいいレースだったなと思います。
──パリ・オリンピックの参加標準記録が27分ちょうどということで、これを切ると日本人初の26分台に突入するわけですけれども、今回の試合結果を見ていると、ついに日本人の26分台が出るんじゃないか、という可能性を感じたんですが。
まず、27分10秒を切るのも非常に厳しいと言われているんです。でも、この前の大会では塩尻さんが27分09秒(27分09秒80)で優勝したと思うんですけれども、(日本人が27分を切るのは)そう遠くないのかなと思いますね。
27分10秒なら僕もそう遠くない未来に出せるんじゃないかなと感じましたし、やっぱり26分台は自分が最初に出したいと思っています。
──あのスピード感の中でさらにタイムを上げるというのは、相当きついことなんですか?
厳しいですよ。簡単じゃないですね(笑)。やっぱり根本的な練習内容を変えないと厳しいと思います。
──この番組では、ゲストの方にCheer Up Songを伺っています。田澤さんの心の支えになっている曲を教えてください。
LE SSERAFIM & Nile Rodgers(ル・セラフィム アンド ナイル・ロジャース)の「UNFORGIVEN」です。
K-POPがずっと好きで。高校の時、BLACKPINKというグループが好きだったんですが、最近は、LE SSERAFIMとかaespaとか、幅広く好きです(笑)。
K-POPに限らず洋楽とかも普段聴くんですけど、(K-POPは)なんかこう、テンション上がるような曲が多いなと思っていて。レース当日の、アップする時とかにも聴いています。
──LE SSERAFIMは、去年の紅白に出てらっしゃいました。さすがに次の日がニューイヤー駅伝ですから、観ていないですよね?
観ていないです(笑)。テレビを付けていなかったです。
レースの日の朝は、早起きする人もいるのかなと思いますけど、僕はゆったりめなので、けっこうギリギリまで寝ていて…“大丈夫か?”みたいな感じです(笑)。
──前日に緊張して寝られない、なんてことは?
まったくないですね(笑)。中学校とかの頃はよくあったんですが、やっぱり慣れですかね。中学校の時とかは全国大会とかに出るたびに緊張していましたけれども、高校を卒業する頃には、駅伝とかも、あまりプレッシャーは感じなかったです。
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