松野杏莉(まつの あんり)選手は2007年、千葉県のご出身。
ご両親の影響で3歳からサーフィンを始め、2021年、中学生でJPSA(日本プロサーフィン連盟)のプロ規定に合格。
その年の全日本選手権ガールズの部では、4位に入賞。
昨年(2023年)9月に開催された福島の復興イベント『Kitaizumi Surf Festival 2023』では、見事優勝! 優勝賞金の100万円を獲得されています。
──松野選手が昨年優勝されました、『Kitaizumi Surf Festival 2023』ですけれども、3.11の東日本大震災以前は毎年多くの大きなサーフイベントが開催されてきた北泉海岸で、もう一度開催したい、海を取り囲むライフスタイルのカルチャーやその素晴らしさを子供たちに残していきたい、という趣旨で開催されまして、ロングボードの世界チャンピオンや多くのトッププロサーファーたちが集結した大会だったそうです。 この大会での優勝は、プロになってから初めての優勝だったんですか?
はい。
──初めての優勝がこんなに大きな大会で、しかも賞金も100万円という大会で優勝した時のお気持ちはどうでしたか?
その試合は優勝を目標にして試合に出ていたんですけれども、まさか自分が優勝できるなんて思っていなくて。しかも、賞金100万円という…16歳という年齢にとっては、もう大金じゃないですか。すごく嬉しかったですね。
──ちなみに、その100万円はもう使っちゃいました?
全部使いました。(試合の)次の日から2週間くらいアメリカに行ったんです。その旅費に使いました。
──アメリカに行ったのは、大会などに参加する? それとも何か練習のため?
大会もそうですし、普通に修行でも行きまして、弟と一緒に行って、2人分の旅費を払いました。
──ちなみに、そもそもサーフィンを始められたきっかけは何だったんですか?
両親が元々サーフィンをしていて、それの影響で始めました。
出身は、私は一宮なんですが、父が神奈川で、母が千葉の長南町というところです。
──では、(ご両親も)元々海のそばで、サーフィンがお好きだったという感じなんですか?
そうですね。
──一宮は東京オリンピックでもサーフィンの会場になった場所(釣ケ崎海岸)ですし、小さい頃からサーフィンは家族みんなでしていた?
はい。
──東京オリンピックのサーフィンは観ていらっしゃったんですか?
ライブで観戦していました。
──その時はまだコロナ禍の影響があったので、すぐそばにトップサーファーたちが集結しているのに、観に行けないもどかしさはありましたよね。
めっちゃありました。生で観たら絶対に迫力がすごいじゃないですか。だから生で観たかったんですけれども、ライブでもすごく刺激を受けて、その日の練習からすごく気合が入りました。
──オリンピックのあの映像で見る一宮の海はどうでしたか? 普段(波に)乗っていらっしゃるところですけれども。
あんなに(波が)大きかったら、多分、普段は(海に)入らないです。(波の)サイズが大きすぎて。
──波のコンディションが。でも、波がある方がサーフィンしやすそうとか楽しそうとか、素人は考えてしまうんですけれども。
サイズがあった方がいいんですが、オリンピックの時の波は…もしオリンピックじゃなかったら、多分、あまり入らないんじゃないかなと思います。
──その東京オリンピックでは、日本人選手が活躍しましたよね。男子は五十嵐カノア選手が銀メダル、そして女子は都筑有夢路選手が銅メダル。やっぱり日本人がメダルを獲得したということも刺激になったんじゃないですか?
はい。自分もああなりたいなという思いが強まりました。
──今年はパリ・オリンピックが開かれますけれども、やっぱりいつかオリンピックに出てみたいなという思いはありますか?
はい。その次のロス・オリンピックを目指しています。
──早くも、その先を見据えて。高校生ということなので、学業と両立するのは大変じゃないですか?
そうですね。でも、私は通信(制の高校)に通っているので、少し融通が利くので。
──サーフィンは、1日どれくらい練習されるんですか?
大体、4時間から6時間ぐらいですね。
──それは、海に入るだけじゃなく、陸上のトレーニングも含めてですか? 陸上でのトレーニングというのは、どういうトレーニングをされるんですか?
体力をつけたりとか、あと、足とかを鍛えたり、そういう感じですね。
──14歳でプロ公認を取得されたということなんですけれども、これはテストみたいなものがあるんですか?
はい。トライアルというものがありまして、そこにエントリーをして、規定のラウンドで勝ったりとか、1本のライディングで点数を出してプロになったりとか、いろいろなパターンがあります。
──公認をもらうのは、どのくらい難しいものなんですか?
実際は2%ぐらいと言われています。
──100人受けたら2人しか受からないというぐらい難しいテストに、一発で合格されて、すごいですよね。 プロになって、何か変わったこととかはありましたか?
サーフィンの技術面とメンタル面と、あと、考え方がとても変わりました。
──考え方というのは、プロになる以前とどのように変わったんですか?
考え方はメンタルとも結び付けられるんですけど、試合会場の雰囲気とかも(プロになる前とは)全然違って、1年目はその雰囲気にのまれて全然勝てなかったりしたんですが、そこでメンタルがとても強くなったなと思います。
──でも、2年目になってようやくその世界に慣れてきて、自分の実力が出せるようになったということなんでしょうか。
はい。
──ロサンゼルス・オリンピックを目指すとおっしゃっていましたけれども、パリ・オリンピックのある、オリンピックイヤーの今年の目標をお聞かせください。
ワールドジュニアに出場することと、あと、JPSAのグランドチャンピオンを獲ることと、アメリカのナショナルチャンピオンなることです。
──具体的に、目標がはっきりしていますよね。学業との両立は大変だと思いますけれども、ぜひ頑張ってほしいと思います。 この番組では毎回ゲストの方にcheer up songを伺っています。松野選手の心の支えになっている曲を教えてください。
ビリー・アイリッシュさんの「Ocean Eyes」という曲です。
──どんなところがお気に入りなんですか?
曲の雰囲気もそうですし、落ち着いてる感じでとても好きなんです。
──ビリー・アイリッシュさんは、お好きなアーティストなんですか?
はい。ビリー・アイリッシュの曲が好きなんですけど、特にこの曲が一番好きです。
──海のそばにお住まいで、サーフィンをしながら好きな音楽を聴く。本当に素敵なライフスタイルですよね。 ご両親もお若いし、音楽もお好きなんですか?
そうですね。でも、家だと私がずっと音楽を流しているので。あまり母たちは音楽は聴いていないと思うんですけど(笑)。
──お家でのDJというか、音楽担当なんですね(笑)。
はい(笑)。
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