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2023.10.21

日本ラグビーが進むべき方向とは?「世界目線で個を成長させることが重要」

今週の「SPORTS BEAT」は、ラグビーの元日本代表で、代表試合トライ数の世界記録保持者、ワールドラグビー殿堂入りを果たしている大畑大介さんをゲストにお迎えし、お話を伺っていきました。
大畑大介さんは、1975年、大阪府のご出身。
小学生の頃からラグビーを始め、高校生で高校日本代表に選出、大学で日本代表入りを果たし、1996年のアジア選手権で、初めての代表入りながら、3試合で10トライをあげます。
その後も日本のみならず、オーストラリアやフランスのクラブなどで活躍を続け、ワールドカップには1999年と2003年、2度の出場を果たされています。




──現在フランスで開催中のラグビーワールドカップ。フランスの盛り上がりはいかがですか?

フランスのワールドカップって、お祭り感もすごいですし…1987年にラグビーワールドカップが出来て、それから、アマチュアの大会から少しずつプロ化していく流れの中で、2007年のフランス大会というものが、ラグビーが世界的な大きなスポーツイベントとなるきっかけになったと言えるほどの、大きな大会だったんですね。
それからの2023年大会ということで、今回もめちゃめちゃ盛り上がっていますね。

──フランス大会では、日本代表、ブレイブ・ブロッサムズは2勝2敗で2大会連続の決勝トーナメント進出はならなかったわけですが、大畑さんはどうお感じになりましたか?

日本はどうして上に行けないのかというと、“個を成長させる”という意味で言うと、やはりいろんな経験をすることが大事だと思うんです。
ストレス下の中で成長するということは大きいので、国内で、自分のやりやすい環境でプレーすることも大事ですが、もう一段成長するには、自分が経験したことがないところで経験する。より厳しい環境、もう一度自分自身をリセットして、新しくチャレンジする環境というものが大事だと思うんです。
その上でチームとして活動するという、非常に難しい部分はあると思うんですが、こういったシステム作りはすごく大事だと思います。

その中でも一番大事なことは、僕はもう、「じゃあ、2027年のワールドカップで結果を残そう」というだけではないと思うんですね。
日本のラグビー自体が、これからどこへ向かっていくのか。
大きな指針があるならば、一番大事なのは「育成」だと思うんです。
…と考えた時に、今、大学ラグビーとリーグワンは、レベルがかなり離れてきているんです。とはいえ、帝京大学のように、ものすごい選手が、素晴らしいモチベーションを持ってプレーをしているんですけれど、でも、彼らの、自分たちの目指す姿であるところが、「大学ナンバー1」と言われるようなところであって。
世界各国の選手はそれ以上の場所を目指しているので、同じ20、21(歳)の選手の目線が、日本とはちょっと違うんですよね。世界規格と同じ目線を持つことは大事だと思うので、大学ラグビーの年代の選手たちが、より高いレベルで経験を積み、より高い環境の中で目指すべくポジションを確定することによって、自分自身のモチベーションも変わるし、普段の生活が変わると思います。
そういう環境に身をおけるような、そういった目線が持てるような組織作りをしていかないと、僕は絶対にダメだと思います。

日本は、大学ラグビーを…藤木さんは早稲田出身ですが、早稲田大学のラグビー部って、すごい文化だと思うんですね。だから、それをゼロにする必要はないので、うまくそのあたりをハイブリッドでやることが出来れば、日本のラグビーは素晴らしい環境の中でラグビーをやっていけると思うので、システムをうまく変えていってほしいなと思います。

──大学ラグビーに重きを置くと、中々他の活動は難しいですが、やはり「世界的に」となった時に、一番大事な年齢かもしれないと思うと、もっと違う経験が積める環境があるといいですよね。

だから、目線を子供に向けてやっていくならば、“ラグビーって、こんな新しいことで、こんな環境で、こんなプレーが出来るんだ”とか、“こういう選手が成長できるんだ”というようなことであれば、今すぐには伝わらないかもしれないけど、次の世代、次の世代へと、つながっていくと思うんですよね。
今回、サッカーがワールドカップで大きな成果をあげた中で、今、サッカー日本代表の躍進がすごい。そして、下の世代もすごいじゃないですか。
そういう風に、個の選手のパフォーマンスで、“あんな選手になりたい!”、そのチームがさらに活躍することで、“あのチームに入りたい!”というモチベーションに変わっていくと思います。

ラグビーも、2015年から本当に多くの成果を上げて、姫野(和樹)キャプテンもワールドカップから帰って来た時に言っていましたが、「これだけ多くの人が(空港に)来てくれている」と。少し前までは(ワールドカップから帰って来ても)空港に誰もいなかった。僕も、(帰国しても空港に)誰もいなかった時代ですから(笑)。
逆に、僕が2007年にアキレス腱を切って帰って来た時は、ものすごい報道陣がいました(笑)。悲しかったですね。チームとして結果が残せたとか、チームとしてワールドカップから帰って来た時には人がいなかったけれど、アキレス腱を切って帰った時にはめちゃめちゃ人がいたという。

──それはでも、ラグビーだけじゃなくて、大畑さんが(テレビ番組『スポーツマンNo.1決定戦』の)「スポーツマンNo.1」に輝いたりしたこともつながって、今のこの(ラグビーの)人気じゃないですか?

そう言ってもらえれば嬉しいですけれども(笑)。
僕は、なかなかチームとして結果が残せなかった中で、「ラグビー」というワードが少しでも世の中に出て欲しいと思ったから、とにかく自分1人でなんとかやろうと。自分の出来ることは何かと考えた時に、出れるメディアや、活字でも、とにかく鼻息荒くガンガン行きまくっていたんです。
逆にあの時期、ラグビーは元気がなかった。
でも、僕が『スポーツマンNo.1決定戦』で優勝した後に、子供から手紙が届いたんです。「僕はラグビーをやっているけれど、なかなか友達に自慢することが出来なかった。けれど、大畑さんがあの番組で活躍してくれたことによって、“俺たちのNo.1の野球”とか、“俺たちのNo.1のサッカー”、“俺たちのNo.1格闘技”より、大畑さんがNo.1だったので、やっと僕はラグビーをしているって自慢出来たんです」と来た時には、嬉しかったですね。

──そして、その手紙をくれた子が、今大会で活躍した?(笑)

…は、なかったんですけど(笑)。
でも実は、手紙をもらった翌週に、その子のお姉ちゃんが手紙をくれたんです。というのは、そのお姉ちゃんが僕のファンらしくて。弟くんが僕に手紙を送ったことを知らないんですが、お姉ちゃんが、僕のことをずっと自慢していてくれたらしくて…。で、その子の誕生日があるので、「大畑さん、出来れば何かお願い出来ますか?」と頼まれて、その日にその子に着くように、サインを送ったんです。
それから数年後、その子が大学でラグビーをしていて、「あの時に手紙を送った○○です。めちゃめちゃ嬉しかったです。ありがとうございます」と言われた時、鳥肌が立ちました。

僕は、子供の頃からラグビーをしていたんですが、友達に自慢することがなかったんですよ。その頃の僕の中のNo.1は、新日鉄釜石の松尾雄治さんだったんです。今では楽しいお父さんですけど(笑)。僕の中の、ラグビーの最初で最後のヒーローだったんですよね。
でも、僕の周りは、みんな大阪生まれ大阪育ちの野球少年で、みんなタイガースファン。だから、みんなは、「掛布が…」「バースは…」とか自慢しても、わかるんですよ。共通のヒーローだから。「ラグビーの松井ってすごいねん」って言っても「誰やねん」という顔をされるのがめっちゃ寂しかった。
それが、その手紙をもらった時に、みんなの中の、アスリートの中の大畑大介になれたんやな、と思えて。自分でも頑張れたんだなと思えましたね。

でも、今の子たちは全然違いますから。ラグビーをしている選手たちは、それこそ“姫野選手”といえば“ジャッカル”と言われるような、アスリート界の中でもそうですし、一般的にも顔と名前が一致する選手が数多く出てきたので。
これからそういう選手がどんどん個として出ていく。日本国内でも海外でも活躍する。そしてその選手たちがもっともっと活躍できる環境が増えていけば、日本としては、ラグビーはもっともっと発展していくと思います。
個の成長、完全なプロ化、チームとして進むべく方向をしっかり示していくということが、日本のラグビーが進んでいく一番大事なところかなと思います。
あとは、出来ればこういう形で、選手をいろんなメディアに出してほしいなと思いますね。

──この番組ではゲストの方にCheer Up Songを伺っています。大畑大介さんの心の支えになっている曲を教えてください。

ET-KINGの「愛しい人へ」です。
いやもう、「おまえとおったら おもろいわ どこのどいつも かなわんわ」。最高じゃないですか。
ラグビーって1人では出来ないので。仲間と仲間、隣の人間と隣の人間、お互い尊敬しあう意味。だから、「おまえとおったら おもろいわ」というのは、「おまえとおったら ええチームになれるわ」というワードですよ。

──最後に、今回のワールドカップを観てラグビーに興味を持った新たなファンのみなさんにメッセージをお願いします!

12月からリーグワンが開幕しますし、高校ラグビー、大学ラグビーも、ものすごい熱量で頑張ってくれているので、足を運んでくれたら嬉しいです。
姫野キャプテンが、「まだまだ日本ラグビーは進化します」と言っていましたので、ぜひ、応援してくれたら嬉しいです。



今回のワールドカップで活躍した選手はもちろん、次世代を担う選手も活躍する、ジャパンラグビー・リーグワン!
2023-24シーズンのスケジュールは、トヨタヴェルブリッツ初戦は、12/9(土)パロマ瑞穂ラグビー場で午後2時30分キックオフ予定。
レギュラーシーズンは、来年のゴールデンウィークまで。その後、プレーオフで日本一が決定となります!




今回お話を伺った大畑大介さんのサイン入り色紙を、抽選で1名の方にプレゼントします。 ご希望の方は、番組公式X(旧ツイッター)をフォローして指定の投稿をリポストしてください。当選者には番組スタッフからご連絡を差し上げます。

そして今回お送りしたインタビューのディレクターズカット版を、音声コンテンツアプリ『AuDee』で聴くことができます。
放送できなかったトークが盛りだくさん! ぜひお聴きください!

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